物置小屋

黒蝶

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物語の欠片

『童話売りの魔女』第3話候補

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『思い出して、あなたの王子様を』
私は、思い出せるだろうか。
彼とは何処で会ったのだろうか。
彼は一体...色々考えていると、全く眠れなかった。
(ダメだ、頭がふらふらする...)
もうすでに授業は終わったのだが、眠気で動けない。
窓を見ると、親が迎えにきている家があった。
(...小さい頃から憧れてたな)
私は誰かに迎えにきてもらったことがない。
いつも帰りは独りで...独り?
小さい頃、本当に独りだっただろうか。
誰かが側にいてくれたような気がして、けれど思い出せなくて...そんな気持ちに戸惑ってしまう。
(クロエ...私もう、どうしたらいいか分からないよ)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
あの二人の物語は着実に進んでいる。
しかし、あの子が思い出す気配はない。
(思い出せなければ...)
私はそっと本を開く。
...私の力で本のなかに入りこむためだ。
本が光はじめる...。
「あなたは?」
目を開けると、そこには紛れもない王子がいる。
「私は、童話の魔女」
「魔女さん...?」
「お姫様との時間、楽しい?」
「...うん。僕は色葉が笑ってくれればいいから」
私は驚くしかなかった。
(人間の愛でもここまで深い愛があるとは...)
人間はすぐに裏切る。
自分の心が満たされれば、平気で傷つけ切り捨てる。
けれど、この二人は違うのかもしれない。
「現実に、帰りたい?」
そう問いかけると、目の前の王子は笑いながら...しかし悲しそうにこう言った。
「勿論、還りたい。還って、色葉を側で守りたい。でももし、色葉が僕のことを分からなかったら...僕はここからでも守るよ。たとえ、僕が現実に帰れなくても」
『たとえ、僕が現実に帰れなくても』...私はその言葉の重みをよく知っている。
『私が死んでも守るから!』
...大切な人を失うのは、とても苦しい。
私にできるのはなんだろうか。
やはり、王子様を思い出してもらうしかない。
でもそれがダメなら...
「...物語が、必要」
「え?」
「待ってて。私が、なんとかしてみせる。...物語は、ハッピーエンドがいいもの」
(依頼者は、契約に違反している...だから、私がやりたいようにしても、文句は言えない)
それから私は自らの館へと戻った。
彩葉に思い出してもらう為に。
王子様の生活を取り戻す為に。
...契約者の違反を罰する為に。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ようやくここまで直せました。
なかなか厳しい...かもしれません。
せめて、彩葉たちの物語が終わるまでは手直ししたいです。
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