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冬真ルート
第41話
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「ふたりとも、何かあったのか?」
沈黙が流れるリビングで、秋久さんが困ったように話しかけてくれる。
「ごめんなさい。私のせいなんです」
「どういうことだ?」
「違、そういうわけじゃ…」
「まずはお嬢ちゃんの話から聞かせてもらおうか」
どこまで話していいか分からないので、細かいことは避けることに決めて少しずつ話す。
「私は、冬真に隠し事をしていたんです。怒らせてしまうのは当たり前で、申し訳なくて…」
ただ、謝りたいと思っていた。
いつもみたいにただ話をしたかったのに上手くいかない。
どんなふうに話していたのか分からなくなってしまって、冬真の心の罅を広げてしまうのが怖くて何も言えなくなってしまっていた。
「たしかに隠し事はよくないが、内容によるな。話せないものもあれば話さないこともある。
お嬢ちゃんの隠し事はどっちだ?」
「分かりません…」
私が話さなかったことで、結局冬真を追いつめてしまった。
けれど、冬香さんとの約束もちゃんと守りたかったのだ。
「そうか。それなら後は本人に訊くしかないな」
「え…?」
冬真はやっぱり怒っているような気がする。
ただ、断定できる何かがあるわけでもないから何も言えなかった。
恐る恐る冬真の方を見ると、困ったような顔をしている。
「別に怒ってない。僕はただ考え事をしていただけで、君に怒ってるわけじゃないよ」
「そう、なんですか?」
「うん。手の手当てをし直そうとは考えてたけどそれだけ」
私に怒っているわけじゃない…ということは、冬香さんには怒っている?
どうして怒っているんだろう。
訊いても教えてもらえそうにないけれど、理由を知りたいと思った。
それに、兄弟ならふたりが一緒にいない理由もあるんじゃないだろうか。
「ちょっと来て」
「は、はい」
「俺は仕事場にいるから、さっきの奴等のことを知りたくなったら連絡してくれ」
「うん。ありがとう」
秋久さんがひらひらと手をふって去っていくのを見届けた後、すぐ冬真に腕を掴まれた。
「あ、あの…」
「やっぱり血が滲んでる。換えた方がいい」
「ごめんなさい」
「別に謝る必要なんてない。君が悪いわけじゃないんだから」
いつもより少し冷たさを感じる話し方だったけれど、本当に怒っているわけではないらしい。
大人しく治療を受けていると、彼は少し苦しげな表情を見せた。
「大丈夫ですか?もしかして怪我をしているんじゃ…」
「これくらい大したことないよ。慣れてるから」
人に優しくできる人はすごいと思う。
ただ、冬真にはもっと自分自身を大切にしてほしい。
直接伝えてしまっても大丈夫か不安に思いながら、巻かれていく包帯をただじっと見つめた。
沈黙が流れるリビングで、秋久さんが困ったように話しかけてくれる。
「ごめんなさい。私のせいなんです」
「どういうことだ?」
「違、そういうわけじゃ…」
「まずはお嬢ちゃんの話から聞かせてもらおうか」
どこまで話していいか分からないので、細かいことは避けることに決めて少しずつ話す。
「私は、冬真に隠し事をしていたんです。怒らせてしまうのは当たり前で、申し訳なくて…」
ただ、謝りたいと思っていた。
いつもみたいにただ話をしたかったのに上手くいかない。
どんなふうに話していたのか分からなくなってしまって、冬真の心の罅を広げてしまうのが怖くて何も言えなくなってしまっていた。
「たしかに隠し事はよくないが、内容によるな。話せないものもあれば話さないこともある。
お嬢ちゃんの隠し事はどっちだ?」
「分かりません…」
私が話さなかったことで、結局冬真を追いつめてしまった。
けれど、冬香さんとの約束もちゃんと守りたかったのだ。
「そうか。それなら後は本人に訊くしかないな」
「え…?」
冬真はやっぱり怒っているような気がする。
ただ、断定できる何かがあるわけでもないから何も言えなかった。
恐る恐る冬真の方を見ると、困ったような顔をしている。
「別に怒ってない。僕はただ考え事をしていただけで、君に怒ってるわけじゃないよ」
「そう、なんですか?」
「うん。手の手当てをし直そうとは考えてたけどそれだけ」
私に怒っているわけじゃない…ということは、冬香さんには怒っている?
どうして怒っているんだろう。
訊いても教えてもらえそうにないけれど、理由を知りたいと思った。
それに、兄弟ならふたりが一緒にいない理由もあるんじゃないだろうか。
「ちょっと来て」
「は、はい」
「俺は仕事場にいるから、さっきの奴等のことを知りたくなったら連絡してくれ」
「うん。ありがとう」
秋久さんがひらひらと手をふって去っていくのを見届けた後、すぐ冬真に腕を掴まれた。
「あ、あの…」
「やっぱり血が滲んでる。換えた方がいい」
「ごめんなさい」
「別に謝る必要なんてない。君が悪いわけじゃないんだから」
いつもより少し冷たさを感じる話し方だったけれど、本当に怒っているわけではないらしい。
大人しく治療を受けていると、彼は少し苦しげな表情を見せた。
「大丈夫ですか?もしかして怪我をしているんじゃ…」
「これくらい大したことないよ。慣れてるから」
人に優しくできる人はすごいと思う。
ただ、冬真にはもっと自分自身を大切にしてほしい。
直接伝えてしまっても大丈夫か不安に思いながら、巻かれていく包帯をただじっと見つめた。
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