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冬真ルート
第36話
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すぐに追いつけると思っていたのに、気づいたときには知らない場所に辿り着いていた。
誰かに声をかけてしまっていいのかなんて分からないし、どうしようかと考えこんでしまう。
「あれ?困りごと?学部どこ?」
「えっと、その…」
突然男の人に話しかけられて困ってしまう。
答えてしまってもいいのか分からなくて俯いてしまいそうになっていると、ぐっと腕をひかれた。
「こんにちは。ふたりはカップル?」
「そういうのじゃないですよ。八木さんは今日もお店ですか?」
「まあ、そんなところかな。そうだ、ラムネいらない?」
その言葉に、私の警戒心は一気に覚醒した。
「すみません。急いでいるので失礼します」
「ちょっと待って!八木さんごめん。また今度」
よく分からない建物に向かって走っていると、後ろからさっきの男性が近づいてくる。
勢いよく腕を掴まれそうで怖い。
追いつかれそうになった瞬間、前から腕が伸びてきた。
「冬真…?」
「こっち」
あんまり周りから見えない場所まで連れてきてくれて、冬真は息を吐いた。
「どうしてここにいるの?」
「忘れ物を見つけて、届けたくて…ごめんなさい」
「書類忘れてたんだ。…気づいてなかった」
彼は少しだけ申し訳なさそうに下を向く。
何か話しかけようとした途端、さっきの人が追いついたらしく近づいてきた。
「やっと見つけた…って、東雲の知り合いか」
「なんで牛久が彼女を追いかけてるの?」
「その子、困ってるみたいだったから話を聞かせてもらおうと思ったんだ」
牛久と呼ばれた男性は心配そうにこちらを見つめている。
逃げようとして申し訳なかったと反省した。
「あ、あの」
「どうしたの?」
「さっきの、ラムネのお兄さんとはお知り合いなんですか?」
「知り合いというか話し相手かな。俺、家に帰ってもいつもひとりだからさ。
ふたりの邪魔をしたくないしもう行くよ。また後でな、東雲」
牛久さんはそのまま去っていく。
その背中を見送りながら、ラムネ売りの人のことを冬真に話しておこうと決めた。
「さっき、話しかけられました」
「牛久に?」
「それもなんですけど、ラムネ売りのおじさんがいたんです」
そこまで伝えたところで、彼は複雑そうな顔をした。
「何か話しかけられた?」
「ラムネはいらないかって…。さっきの人と距離が近いように感じたので、冬真の知り合いだとは知らず逃げてしまったんです」
「…そう。教えてくれてありがとう。だけどもうここには近づかない方がいい。
今日は僕が隠れ場所にしているところまで連れて行くけど、不用意に近づかないで」
「分かりました」
よく分からないまま頷いて、そのまま後ろをついていく。
辿り着いたのは真っ暗な部屋で、すぐに明かりをつけてくれた。
誰かに声をかけてしまっていいのかなんて分からないし、どうしようかと考えこんでしまう。
「あれ?困りごと?学部どこ?」
「えっと、その…」
突然男の人に話しかけられて困ってしまう。
答えてしまってもいいのか分からなくて俯いてしまいそうになっていると、ぐっと腕をひかれた。
「こんにちは。ふたりはカップル?」
「そういうのじゃないですよ。八木さんは今日もお店ですか?」
「まあ、そんなところかな。そうだ、ラムネいらない?」
その言葉に、私の警戒心は一気に覚醒した。
「すみません。急いでいるので失礼します」
「ちょっと待って!八木さんごめん。また今度」
よく分からない建物に向かって走っていると、後ろからさっきの男性が近づいてくる。
勢いよく腕を掴まれそうで怖い。
追いつかれそうになった瞬間、前から腕が伸びてきた。
「冬真…?」
「こっち」
あんまり周りから見えない場所まで連れてきてくれて、冬真は息を吐いた。
「どうしてここにいるの?」
「忘れ物を見つけて、届けたくて…ごめんなさい」
「書類忘れてたんだ。…気づいてなかった」
彼は少しだけ申し訳なさそうに下を向く。
何か話しかけようとした途端、さっきの人が追いついたらしく近づいてきた。
「やっと見つけた…って、東雲の知り合いか」
「なんで牛久が彼女を追いかけてるの?」
「その子、困ってるみたいだったから話を聞かせてもらおうと思ったんだ」
牛久と呼ばれた男性は心配そうにこちらを見つめている。
逃げようとして申し訳なかったと反省した。
「あ、あの」
「どうしたの?」
「さっきの、ラムネのお兄さんとはお知り合いなんですか?」
「知り合いというか話し相手かな。俺、家に帰ってもいつもひとりだからさ。
ふたりの邪魔をしたくないしもう行くよ。また後でな、東雲」
牛久さんはそのまま去っていく。
その背中を見送りながら、ラムネ売りの人のことを冬真に話しておこうと決めた。
「さっき、話しかけられました」
「牛久に?」
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「ラムネはいらないかって…。さっきの人と距離が近いように感じたので、冬真の知り合いだとは知らず逃げてしまったんです」
「…そう。教えてくれてありがとう。だけどもうここには近づかない方がいい。
今日は僕が隠れ場所にしているところまで連れて行くけど、不用意に近づかないで」
「分かりました」
よく分からないまま頷いて、そのまま後ろをついていく。
辿り着いたのは真っ暗な部屋で、すぐに明かりをつけてくれた。
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