裏世界の蕀姫

黒蝶

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夏彦ルート

第22話

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「デザイン、どれがいい?」
朝食をとっていると、夏彦に沢山のデザイン画を見せられる。
どれにしようか決められずに困っていると、彼は後でゆっくり見て決めてほしいと言ってくれた。
「朝御飯、今日もすごく美味しい」
「あ、ありがとう、ございます...」
少し照れくさい気もするけれど、私は彼に美味しいと言ってもらえることが嬉しかった。
こんな私でも誰かの力になれる、そう思うとやっぱり気分が晴れていく。
「ごちそうさまでした。…月見ちゃんはちょっとデザイン画を見ててね」
「あの、片づけを、」
「それは俺がやるから、月見ちゃんは無理しないでもっと休んでて」
夏彦は笑顔だったけれど、昨日だって帰ってきたのは月が沈んでしまう頃だった。
あまり寝ていないなら休んだ方がいいはずなのに、上手く説明できない。
積み上げられているものを確認して、そのなかからデザインをひとつだけ選ぶ。
それから、コサージュやシュシュというものを作ってみた。
少しでも負担を減らせるなら、私にできることを一先ずやってみようと思う。
「月見ちゃん、デザイン決まっ…」
夏彦はただ呆然としたように立ち尽くしていたけれど、いつものように微笑んで私の手元を見つめた。
「本当に手際がいいね。昔からやってたの?」
「…少しだけならやっていました。本で読んで、これなら破れた洋服も直せるかなって…」
普通の人たちからすれば、自分で縫って直すのはおかしいことだろうか。
少し流れた沈黙にそんなことを考えていると、夏彦が口を開いた。
「そっか。気に入った洋服があるなら、リメイクしてみるのもいいかもよ?」
いつもとは違う雰囲気に困惑しつつ、リメイクとはどういったものなのか考えこんでしまう。
「あの、それってどうやってやるんですか…?」
「たとえば、古くなった服から布を切り取っておいて今作ってるシュシュやコサージュにしちゃうとか…あ、あと軽いものを入れるバッグくらいなら作れるかも!
あんまり丈夫なのは無理だろうけど、やってみる?」
「…やってみたいです。やり方、教えてください」
あの家で手に入れたものというのはあまりいい気分にはならないけれど、苦楽を共にしてきたのはこういったものだけだ。
それなら、少しやってみてもいいのではないかと考えた。
それにしても、洋服からバッグを作るというのは一体どうすればいいのだろう。
「それじゃあまずは布選びからだね。今回はどの服をリメイクしようか?」
「可能なら、これでやってみたい…です」
私が取り出したのは、もう着ることは叶わないであろう小さめサイズのワンピースだ。
「これだけあればできそうだね。早速はじめちゃおうか」
「…うん」
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