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夏彦ルート
第12話
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新しいコサージュを作っていると、ケージからにゃんと声がした。
「…あなたもひとりだったの?」
中から出すと針に近づく可能性があるので、外から然り気無く声をかけてみる。
怖がられてしまうかもしれないと思っていたけれど、にゃんとひと鳴きして目を閉じた。
「…お水、ここに置いておくね」
取り敢えず分かっているのは、人間と同じように飲まず食わずでは生きていけないということだ。
「月見ちゃん、お疲れ様。ご飯にしよう」
「あ、ありがとう、ございます」
「こいつ、どんなものが好きなのかな?取り敢えず猫のおやつを買ってきたんだけど…」
夏彦はお弁当をテーブルに広げ、猫の方を覗き見ている。
「あの、さっき見たとき寝ているみたいだったんですけど…」
「ああ、それで音がしないのか。よかった、元気ないんじゃないかと思ってたから…。
水あげてくれたの月見ちゃんでしょ?ありがとう」
「私にできることは、これくらいしかなかったので」
「全然これくらいなんかじゃないよ。そういえば…名前、どうしようか」
卵焼きを食べながら、ある疑問が浮かんでくる。
「名前、勝手につけてもいいんでしょうか」
「さっき花菜に連絡したら、寧ろ頼むって言われた。
でも俺、ネーミングセンスとか皆無なんだよね…」
夏彦は何か思いついたように私の方をじっと見つめる。
「…というわけで、月見ちゃん、何かいい名前ないかな?」
「わ、私ですか?」
「どんなのでもいいよ。そいつが気に入ってくれればね」
名前なんて考えたこともない。
どんなふうにつけるのがいいのか分からずに、どうしても考えこんでしまう。
「ちょっと待てって、勝手に出ると危ないから!」
夏彦ケージから出そうとした瞬間、猫はじたばたと暴れまわり回りのものを落としていく。
最終的に全身に塩をかぶって静止した。
「本当に危ないから大人しくしてて?って、聞いてないし…」
塩が入っていた瓶とじゃれる姿を見ていると、ある単語が口をついて出た。
「…ソルト」
「え?」
「ソルト、はどうでしょうか?毛も真っ白だから…」
少しの間沈黙が流れる。
やっぱりセンスがないと思われてしまっただろうか。
「いいね、涼しげだし!」
「え…?」
てっきり罵倒されると思っていた私は、ただ呆然と固まることしかできなかった。
「月見ちゃん、呼んであげて」
「……そ、ソルト」
すると猫は顔をあげ、左腕にすり寄ってくる。
「ほら、そいつも気に入ったみたい。それじゃあ、ソルトに決定!
申し訳ないんだけど、散らばったものを箒ではいてもらってもいいかな?」
「え、あ、はい…」
真っ白な毛並みの猫…ソルトは夏彦に抱き上げられてどこかへ連れていかれる。
何をするのか少し気になったものの、片づけに集中することにした。
「…あなたもひとりだったの?」
中から出すと針に近づく可能性があるので、外から然り気無く声をかけてみる。
怖がられてしまうかもしれないと思っていたけれど、にゃんとひと鳴きして目を閉じた。
「…お水、ここに置いておくね」
取り敢えず分かっているのは、人間と同じように飲まず食わずでは生きていけないということだ。
「月見ちゃん、お疲れ様。ご飯にしよう」
「あ、ありがとう、ございます」
「こいつ、どんなものが好きなのかな?取り敢えず猫のおやつを買ってきたんだけど…」
夏彦はお弁当をテーブルに広げ、猫の方を覗き見ている。
「あの、さっき見たとき寝ているみたいだったんですけど…」
「ああ、それで音がしないのか。よかった、元気ないんじゃないかと思ってたから…。
水あげてくれたの月見ちゃんでしょ?ありがとう」
「私にできることは、これくらいしかなかったので」
「全然これくらいなんかじゃないよ。そういえば…名前、どうしようか」
卵焼きを食べながら、ある疑問が浮かんでくる。
「名前、勝手につけてもいいんでしょうか」
「さっき花菜に連絡したら、寧ろ頼むって言われた。
でも俺、ネーミングセンスとか皆無なんだよね…」
夏彦は何か思いついたように私の方をじっと見つめる。
「…というわけで、月見ちゃん、何かいい名前ないかな?」
「わ、私ですか?」
「どんなのでもいいよ。そいつが気に入ってくれればね」
名前なんて考えたこともない。
どんなふうにつけるのがいいのか分からずに、どうしても考えこんでしまう。
「ちょっと待てって、勝手に出ると危ないから!」
夏彦ケージから出そうとした瞬間、猫はじたばたと暴れまわり回りのものを落としていく。
最終的に全身に塩をかぶって静止した。
「本当に危ないから大人しくしてて?って、聞いてないし…」
塩が入っていた瓶とじゃれる姿を見ていると、ある単語が口をついて出た。
「…ソルト」
「え?」
「ソルト、はどうでしょうか?毛も真っ白だから…」
少しの間沈黙が流れる。
やっぱりセンスがないと思われてしまっただろうか。
「いいね、涼しげだし!」
「え…?」
てっきり罵倒されると思っていた私は、ただ呆然と固まることしかできなかった。
「月見ちゃん、呼んであげて」
「……そ、ソルト」
すると猫は顔をあげ、左腕にすり寄ってくる。
「ほら、そいつも気に入ったみたい。それじゃあ、ソルトに決定!
申し訳ないんだけど、散らばったものを箒ではいてもらってもいいかな?」
「え、あ、はい…」
真っ白な毛並みの猫…ソルトは夏彦に抱き上げられてどこかへ連れていかれる。
何をするのか少し気になったものの、片づけに集中することにした。
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