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春人ルート
第6.5話
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彼女は疲れないのだろうか。
いつも遅くまで起きていて、なかなか眠れていないことをよく知っている。
「その子たちと留守番してて」
「はい。…いってらっしゃい」
「いってきます」
誰かと一緒に暮らすのはどのくらいぶりだろうか。
あまり絆されないように気をつけなければと思いつつ、自らが見てしまったものを胸に仕舞いこんでいる。
「…ハル!」
「夏彦、あまりそう呼ばないでほしいと、」
「春人がいくら呼んでも気づかないから、こう呼べば反応するかなって思って」
夏彦とは腐れ縁だ。
...ただ、その優しさに甘えないようにしなければと気を引きしめる。
「もうアッキーたち来てるだろうし、早く行こう?」
「…そうですね」
あるバーの扉を開くと、そこには秋久と冬真の姿があった。
「悪いな春人。夏彦を拾ってもらって」
「ちょ、今夜は迎えに来てもらったんじゃなくてちゃんと自分で行ってたら鉢合わせしただけなんだけど!?」
「遅くなってすみません」
ただ一礼すると、何やらじっと視線を感じる。
「どうかしましたか、冬真」
「いや…同居人、大丈夫なのかなって」
「彼女には仕事があるからと説明してあります。当然詳細は話していませんが、そうしなければ流石に不安にさせてしまうでしょう?」
勿論それだけではない。
俺がやっていることは、決して正解と呼べるようなものではないからだ。
そんなことにたまたま居候している月見を巻きこむ訳にはいかない。
「一先ず会議、始めるか」
秋久の一言で緊張が走りつつ、あっという間に話し合いが終わった。
「春人にはいつものを頼みたい」
「分かりました。それでは僕はいつもどおり作っておくことにします」
「それじゃあ作戦はそれでいく。みんなよろしく頼んだ」
それぞれで解散していくものの、やはり話すことはできなかった。
「何考えてるのか分からないけど、あんまりひとりで考えこみすぎないように。
…まあ、彼女のこと考えてたんだろうけど」
夏彦は人のことをよく見ている。
その点なら冬真が1番得意そうだが、秋久も侮れない。
「彼女の捜索願は出されましたか?」
「ううん。アッキーにも一応調べてもらったけど、その形跡がないって」
「そうですか…」
他人から見れば、俺がやっていることは決して正解とは言えない。
だが、俺にとってはこれが正しいやり方だ。
「色々とありがとうございます」
「ふたりきりのときくらい、前みたいにため口でいいのに」
その言葉にはただ苦笑するしかない。
人は誰しも秘密を抱えている。
俺も月見に仕事のことは話せない。
…だからこそ、あの日見たものも幻だと思うことにしておこう。
彼女の身体中にある傷痕を思い出すと、少しだけ自らの忌々しい記憶が甦る。
自分の子どもに愛を注げないのなら、何故生んだのか不思議でたまらない。
家路を急ぎながらもやもやしたものを抱える。
──あの蔦の謎はいつか解いてみたいと考えてしまうのは、らしくないだろうか。
いつも遅くまで起きていて、なかなか眠れていないことをよく知っている。
「その子たちと留守番してて」
「はい。…いってらっしゃい」
「いってきます」
誰かと一緒に暮らすのはどのくらいぶりだろうか。
あまり絆されないように気をつけなければと思いつつ、自らが見てしまったものを胸に仕舞いこんでいる。
「…ハル!」
「夏彦、あまりそう呼ばないでほしいと、」
「春人がいくら呼んでも気づかないから、こう呼べば反応するかなって思って」
夏彦とは腐れ縁だ。
...ただ、その優しさに甘えないようにしなければと気を引きしめる。
「もうアッキーたち来てるだろうし、早く行こう?」
「…そうですね」
あるバーの扉を開くと、そこには秋久と冬真の姿があった。
「悪いな春人。夏彦を拾ってもらって」
「ちょ、今夜は迎えに来てもらったんじゃなくてちゃんと自分で行ってたら鉢合わせしただけなんだけど!?」
「遅くなってすみません」
ただ一礼すると、何やらじっと視線を感じる。
「どうかしましたか、冬真」
「いや…同居人、大丈夫なのかなって」
「彼女には仕事があるからと説明してあります。当然詳細は話していませんが、そうしなければ流石に不安にさせてしまうでしょう?」
勿論それだけではない。
俺がやっていることは、決して正解と呼べるようなものではないからだ。
そんなことにたまたま居候している月見を巻きこむ訳にはいかない。
「一先ず会議、始めるか」
秋久の一言で緊張が走りつつ、あっという間に話し合いが終わった。
「春人にはいつものを頼みたい」
「分かりました。それでは僕はいつもどおり作っておくことにします」
「それじゃあ作戦はそれでいく。みんなよろしく頼んだ」
それぞれで解散していくものの、やはり話すことはできなかった。
「何考えてるのか分からないけど、あんまりひとりで考えこみすぎないように。
…まあ、彼女のこと考えてたんだろうけど」
夏彦は人のことをよく見ている。
その点なら冬真が1番得意そうだが、秋久も侮れない。
「彼女の捜索願は出されましたか?」
「ううん。アッキーにも一応調べてもらったけど、その形跡がないって」
「そうですか…」
他人から見れば、俺がやっていることは決して正解とは言えない。
だが、俺にとってはこれが正しいやり方だ。
「色々とありがとうございます」
「ふたりきりのときくらい、前みたいにため口でいいのに」
その言葉にはただ苦笑するしかない。
人は誰しも秘密を抱えている。
俺も月見に仕事のことは話せない。
…だからこそ、あの日見たものも幻だと思うことにしておこう。
彼女の身体中にある傷痕を思い出すと、少しだけ自らの忌々しい記憶が甦る。
自分の子どもに愛を注げないのなら、何故生んだのか不思議でたまらない。
家路を急ぎながらもやもやしたものを抱える。
──あの蔦の謎はいつか解いてみたいと考えてしまうのは、らしくないだろうか。
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