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クロス×ストーリー(通常運転のイベントもの多め)
バレンタイン報告会-詩音×久遠-
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その日はただ外を歩いていた。
すると、足を引きずって歩く女性が目に入る。
(お仕事中なのかな...)
道行く人たちが次々と通りすぎていくなか、どうしても放っておけなくて声をかけてみる。
「...あの、大丈夫ですか?」
「あら、恥ずかしいところを見られちゃったわね」
その人の笑顔は誰かに似ていて、なんだか親近感がわいた。
(足を捻ったのか、それとも転んだ拍子に何かあったのか...)
見極めきれずに何を話したらいいのか迷っていると、近くにベンチがあるのを思い出す。
「...赤くなってるし、あんまり動かさない方がいいかもしれません。
あくまで応急処置しかできませんが、痛むようでしたらすぐに病院に行ってください」
「親切にありがとう。私にはあなたと同じくらいの娘がいるんだけど、ここまでてきぱきと処置はできないかな...。
助けてくれてありがとう。引き留めてしまってごめんなさいね」
「いえ、私が止まりたかっただけですから。娘さんのこと、本当に大切なんですね」
その場を離れようとすると、約束の相手が駆け寄ってきた。
「詩音、見つけた...!」
「遅れてごめんなさい、久遠」
「え、久遠?」
「お母さん...!?」
そこで漸く気づく。
物腰柔らかい雰囲気に、優しい笑顔...そして、娘思いという点。
どうして気づけなかったのだろう。
「さっきはありがとう。お母さんも楽しそうだったし...」
「私はただ手当てしただけだから、お礼を言われるようなことはしてないよ」
ふたりで街を歩くのは、バレンタイン前に会って以来だ。
もしよかったらうちでパーティーをしようと誘ったものの、道が複雑なので駅まで迎えに来たのだった。
「すごく綺麗な家だね」
「掃除はしているけど、そこまで細かくやっている訳じゃないよ。...どうぞ」
「お邪魔します」
いつもの殺伐とした雰囲気を少しでも隠せるようにはしたつもりだけれど、ちゃんとできているのかどうかは分からない。
「紅茶と、あとはお菓子を用意したんだ」
「え、これってフォンダンショコラ!?」
「私はまだまだ久遠のことを知らないから、食べられそうなものをと思って作ってみたんだけど...駄目だったかな?」
「すごく嬉しい...。こんなに本格的なものを友だちからもらうのは初めてだよ!
ありがとう、詩音」
彼女はきっと、然り気無く自然に言ったのだろう。
(『友だち』...)
たった一言で私の気分は一気に明るくなる。
何がいいか迷った挙げ句、結局前回会ったときに話したものを作ったのだ。
紅茶の準備をしていると、久遠は鞄からマフィンを取り出して私に差し出す。
「詩音のに比べたら全然だけど、一応作ってみたんだ」
「私も、友だちから貰うのは初めてだから嬉しい。ありがとう」
ただ一緒にテーブルを囲んで、ゆったりと淹れたての紅茶とお菓子を楽しむ。
何もかもが初めてで、上手く言葉にできないくらいの喜びが溢れだした。
すると、足を引きずって歩く女性が目に入る。
(お仕事中なのかな...)
道行く人たちが次々と通りすぎていくなか、どうしても放っておけなくて声をかけてみる。
「...あの、大丈夫ですか?」
「あら、恥ずかしいところを見られちゃったわね」
その人の笑顔は誰かに似ていて、なんだか親近感がわいた。
(足を捻ったのか、それとも転んだ拍子に何かあったのか...)
見極めきれずに何を話したらいいのか迷っていると、近くにベンチがあるのを思い出す。
「...赤くなってるし、あんまり動かさない方がいいかもしれません。
あくまで応急処置しかできませんが、痛むようでしたらすぐに病院に行ってください」
「親切にありがとう。私にはあなたと同じくらいの娘がいるんだけど、ここまでてきぱきと処置はできないかな...。
助けてくれてありがとう。引き留めてしまってごめんなさいね」
「いえ、私が止まりたかっただけですから。娘さんのこと、本当に大切なんですね」
その場を離れようとすると、約束の相手が駆け寄ってきた。
「詩音、見つけた...!」
「遅れてごめんなさい、久遠」
「え、久遠?」
「お母さん...!?」
そこで漸く気づく。
物腰柔らかい雰囲気に、優しい笑顔...そして、娘思いという点。
どうして気づけなかったのだろう。
「さっきはありがとう。お母さんも楽しそうだったし...」
「私はただ手当てしただけだから、お礼を言われるようなことはしてないよ」
ふたりで街を歩くのは、バレンタイン前に会って以来だ。
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「掃除はしているけど、そこまで細かくやっている訳じゃないよ。...どうぞ」
「お邪魔します」
いつもの殺伐とした雰囲気を少しでも隠せるようにはしたつもりだけれど、ちゃんとできているのかどうかは分からない。
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何もかもが初めてで、上手く言葉にできないくらいの喜びが溢れだした。
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