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Until the day when I get married.-Light of a new request-
第139話
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「ここ、行きたい」
アイリスが指さしたのは、一軒のバー。
「...おまえはまだ、酒は飲むな」
「分かった」
俺は早速ジュースを注文した。
アイリスは無言でそれを飲んでいる。
俺はこういうとき、なんて話しかければいいのか分からない。
カムイに聞けば答えてくれるだろうか。
「エリックは何を飲んでるの?」
「これか?これは、ビー・アンド・ビーだ。結構強めのものだから、アイリスがもう少し大人になっても飲めないかもしれない」
「飲めないの...?」
アイリスが悲しそうな表情で俺を見ていた。
(うっ、言葉を間違えたか。...ん?)
俺は数席先の男に見覚えがあった。
間違いない、あいつだ。
「何故事件のことが載っていない!」
男が苛ついているのが見てとれた。
「次の手を打つとしよう!果たして回避できるかな?」
そう言いながら、男はにやついて去っていった。
「アイリス」
「どうしたの?」
「おまえは俺が守る。何があっても俺の側を離れるなよ」
「...分かった」
俺の手をきゅっと握るその手はとても小さく、そして温かかった。
(カムイに知らせておかなければ)
ー**ー
深夜...メルが寝たあと、通信機が反応していた。
嫌な予感がしながらも、俺は応答した。
「エリック、どうしたの?」
『あの男を見掛けた』
「何処で?」
『バー《コネクト》だ。アイリスが入ってみたいと言っていてな...』
エリックからある程度の話を聞いた。
自分たちには気づかなかったこと。
新聞を見ながら事件について載っていなかったことに腹をたてていたこと。
何かを企んでいる様子だったこと。
「一応気をつけておくね。アイリスのことはお願い」
『言われなくても俺が守る』
「ふーん...?」
『な、なんだそのふーんとは!』
エリックが照れているのが通信機越しでも伝わってきた。
「いや?女性を守るだなんて言うとは思ってなかったから...」
『カムイ、もう一つ相談がある』
「何?」
『おまえはメルとどう話しているんだ?』
俺は一瞬、質問の意味が分からなかった。
しばらく思考を巡らせ、なんとか察することができた。
「それは、」
「カムイ...?」
メルが目をこすりながらベッドルームから出てきた。
「ごめんね、起こしちゃった?」
「...いえ...」
まだ眠そうな様子で、小さく欠伸をしていた。
「眠かったら寝ていいよ」
「いえ、何か大切なお話なのではないんですか...?」
俺はふと思った。
俺が答えるより、メルの方が的確なアドバイスができるのではないかと...。
「メル、申し訳ないんだけど...俺と一緒にエリックの相談にのってくれないかな?」
ー*ー
私は一気に目が覚めた。
私が、人の相談にのる...?
そんなことができるのだろうか。
「私、上手にできないかもしれません...」
「上手じゃなくていいんだ。一緒に話を聞いてほしい」
「分かりました」
私はカムイに手渡された、いつも私が借りている通信機を耳につけた。
「お待たせしました」
『おまえたちは本当に仲がいいな』
「それはいいから、メルにも相談にのってもらおうよ」
エリックさんの小さなため息が聞こえたあと、ゆっくりと話しはじめた。
『俺は、アイリスとどう話せばいいのか分からない』
「どう話せば、とは?」
『例えば、メルとなら紅茶の話を聞いたりするだろう?カムイが意地悪してこないか、とか...』
「そんな話してたんだね」
カムイが苦笑気味に呟いた。
『まあな。...アイリスは聞いたことに対してなら答えてくれるが、そこから先の会話に繋がらない。そのとき、どんな話をすればいいのか分からない』
エリックさんは苦しげにそう言った。
私はカムイと話すとき、景色の話からすることがある。
「私に上手く説明できるかは分かりませんが...私はカムイとお話をしたい時、自分が話したいことを頭で整理してます」
『...それからどうするんだ?』
「話したくても話題が見つからない時は、天気のお話をします。あとは...カムイのお話を聞いて、面白そうだなとか、もっと知りたいと思ったことを聞きます。私がしていることはそれだけです...」
ちゃんと言えただろうか。
『...成程な。参考になった。ありがとう、メル』
エリックさんにお礼を言われて、私はとても嬉しくなった。
「俺から補足すると、アイリスにイエスかノーで答えられない質問をすること。多分それでいいんじゃないかな?アイリスだって緊張しているんだと思うよ。メルも出会ったばかりの頃はそうだったから」
(カムイ...)
やっぱり私のことをいつも考えてくれていると思うと、胸が熱くなった。
『できる限りのことはやってみる。二人とも、こんな時間にすまなかったな』
エリックさんはそう言って通信を切った。
「カムイ、いつもありがとうございます!」
「俺はメルに笑っててほしいから」
カムイはにこやかにそう言ってくれた。
「メル、朝までまだ時間があるから寝ようか」
「はい!」
私たちは二人でベッドに戻った。
なんだかカムイが気まずそうな顔をしているのに気づいたが、眠気に勝てずに寝てしまった。
(朝起きたら、ちゃんと聞いてみないとです...)
そんなことを考えながら。
アイリスが指さしたのは、一軒のバー。
「...おまえはまだ、酒は飲むな」
「分かった」
俺は早速ジュースを注文した。
アイリスは無言でそれを飲んでいる。
俺はこういうとき、なんて話しかければいいのか分からない。
カムイに聞けば答えてくれるだろうか。
「エリックは何を飲んでるの?」
「これか?これは、ビー・アンド・ビーだ。結構強めのものだから、アイリスがもう少し大人になっても飲めないかもしれない」
「飲めないの...?」
アイリスが悲しそうな表情で俺を見ていた。
(うっ、言葉を間違えたか。...ん?)
俺は数席先の男に見覚えがあった。
間違いない、あいつだ。
「何故事件のことが載っていない!」
男が苛ついているのが見てとれた。
「次の手を打つとしよう!果たして回避できるかな?」
そう言いながら、男はにやついて去っていった。
「アイリス」
「どうしたの?」
「おまえは俺が守る。何があっても俺の側を離れるなよ」
「...分かった」
俺の手をきゅっと握るその手はとても小さく、そして温かかった。
(カムイに知らせておかなければ)
ー**ー
深夜...メルが寝たあと、通信機が反応していた。
嫌な予感がしながらも、俺は応答した。
「エリック、どうしたの?」
『あの男を見掛けた』
「何処で?」
『バー《コネクト》だ。アイリスが入ってみたいと言っていてな...』
エリックからある程度の話を聞いた。
自分たちには気づかなかったこと。
新聞を見ながら事件について載っていなかったことに腹をたてていたこと。
何かを企んでいる様子だったこと。
「一応気をつけておくね。アイリスのことはお願い」
『言われなくても俺が守る』
「ふーん...?」
『な、なんだそのふーんとは!』
エリックが照れているのが通信機越しでも伝わってきた。
「いや?女性を守るだなんて言うとは思ってなかったから...」
『カムイ、もう一つ相談がある』
「何?」
『おまえはメルとどう話しているんだ?』
俺は一瞬、質問の意味が分からなかった。
しばらく思考を巡らせ、なんとか察することができた。
「それは、」
「カムイ...?」
メルが目をこすりながらベッドルームから出てきた。
「ごめんね、起こしちゃった?」
「...いえ...」
まだ眠そうな様子で、小さく欠伸をしていた。
「眠かったら寝ていいよ」
「いえ、何か大切なお話なのではないんですか...?」
俺はふと思った。
俺が答えるより、メルの方が的確なアドバイスができるのではないかと...。
「メル、申し訳ないんだけど...俺と一緒にエリックの相談にのってくれないかな?」
ー*ー
私は一気に目が覚めた。
私が、人の相談にのる...?
そんなことができるのだろうか。
「私、上手にできないかもしれません...」
「上手じゃなくていいんだ。一緒に話を聞いてほしい」
「分かりました」
私はカムイに手渡された、いつも私が借りている通信機を耳につけた。
「お待たせしました」
『おまえたちは本当に仲がいいな』
「それはいいから、メルにも相談にのってもらおうよ」
エリックさんの小さなため息が聞こえたあと、ゆっくりと話しはじめた。
『俺は、アイリスとどう話せばいいのか分からない』
「どう話せば、とは?」
『例えば、メルとなら紅茶の話を聞いたりするだろう?カムイが意地悪してこないか、とか...』
「そんな話してたんだね」
カムイが苦笑気味に呟いた。
『まあな。...アイリスは聞いたことに対してなら答えてくれるが、そこから先の会話に繋がらない。そのとき、どんな話をすればいいのか分からない』
エリックさんは苦しげにそう言った。
私はカムイと話すとき、景色の話からすることがある。
「私に上手く説明できるかは分かりませんが...私はカムイとお話をしたい時、自分が話したいことを頭で整理してます」
『...それからどうするんだ?』
「話したくても話題が見つからない時は、天気のお話をします。あとは...カムイのお話を聞いて、面白そうだなとか、もっと知りたいと思ったことを聞きます。私がしていることはそれだけです...」
ちゃんと言えただろうか。
『...成程な。参考になった。ありがとう、メル』
エリックさんにお礼を言われて、私はとても嬉しくなった。
「俺から補足すると、アイリスにイエスかノーで答えられない質問をすること。多分それでいいんじゃないかな?アイリスだって緊張しているんだと思うよ。メルも出会ったばかりの頃はそうだったから」
(カムイ...)
やっぱり私のことをいつも考えてくれていると思うと、胸が熱くなった。
『できる限りのことはやってみる。二人とも、こんな時間にすまなかったな』
エリックさんはそう言って通信を切った。
「カムイ、いつもありがとうございます!」
「俺はメルに笑っててほしいから」
カムイはにこやかにそう言ってくれた。
「メル、朝までまだ時間があるから寝ようか」
「はい!」
私たちは二人でベッドに戻った。
なんだかカムイが気まずそうな顔をしているのに気づいたが、眠気に勝てずに寝てしまった。
(朝起きたら、ちゃんと聞いてみないとです...)
そんなことを考えながら。
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