在庫処分

黒蝶

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ほっこり系

二面性

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「おはよう」
「おはようございます」
普段はそんなシンプルな会話だけだけど、休日になると私達は変貌を遂げる。
「おまたせ!待った?」
「全然。私もさっき来たばかりです」
普段は眼鏡の彼女はカラコンを使っているし、私も私でネイルやメイクを念入りに施している。
「ゆかりさん、今日の狙いはなんですか?」
「園ちゃんとあのお店に行くこと!園ちゃんが行きたい場所は?」
「あのアニメのグッズが出たらしいので、見に行きたいです」
「じゃあグッズから見よう」
「はい」
きっかけは、本当に些細なことだった。
トイレで拾ったポーチが私が好きなアニメのグッズで、持ち主が園ちゃんだったのだ。
自分で言うのもなんだが私はギャルみたいな見た目だし、園ちゃんは真面目系で通しているのでそれを崩さないためにふたりきりのとき以外はキャラを演じている。
「今度劇場であのシーンやるんでしょ?やばいよね」
「ふたりの絆が残ったまま離れ離れというのが切ないですよね。心理描写がえげつないですし」
「グッズとか出るのかな?」
こんなやつっぽい、なんてレッテルを貼られることのない関係。
ふたりでいるだけで気が楽だ。
「あの場所……コラボカフェ、12時からだよ」
「予約してくれたんですか?」
「うん!絶対行きたかったから」
「ありがとうございます。楽しみですね」
ひとりもいいけど、こんなふうに好きを共有できるのは嬉しい。
袋が千切れそうになるくらい買い物をして、推しだらけの世界へ足を踏み入れた。
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