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7枚目
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昨日は結局行けなかった。
蓮を怒らせてしまったかもしれない。
いつもどおり唐揚げを買って階段をのぼると、淋しげな表情を浮かべる蓮が空に向かって手を伸ばしていた。
声もかけずにシャッターをきってしまう。
「……中島さん、今日は来たんですね」
「ごめん。昨日は突然来客が……。結局遅くなって来られなかった」
「いえ、いいんです。だけど、渡せてよかった」
何かが入った包みを渡されて首を傾げる。
「開けてみてもいい?」
「はい」
ボールペンとメモ帳……確実に使うものだ。
「ありがとう。私がほしいと思っているもの、よく分かったね」
「この前会ったとき、メモ帳が終わりそうだって言ってたので。……すみません、もっといいものを使っているんだろうとは思ったんですけど思いつかなくて」
「すごく嬉しい。ありがとう」
ちょっと零した言葉を覚えていてくれるなんて嬉しい。
「喜んでもらえてよかったです」
急ぎの用があると話す蓮の写真をもう1枚撮らせてもらってこの日は別れた。
現像して渡そうと思いながら、メモリー内部を見直す。
さっきまでは気づかなかった、写真の違和感。
蓮の腕に大きな紫色……というより黒くなりかけている模様が入っている。
──これ、痣だ。
蓮を怒らせてしまったかもしれない。
いつもどおり唐揚げを買って階段をのぼると、淋しげな表情を浮かべる蓮が空に向かって手を伸ばしていた。
声もかけずにシャッターをきってしまう。
「……中島さん、今日は来たんですね」
「ごめん。昨日は突然来客が……。結局遅くなって来られなかった」
「いえ、いいんです。だけど、渡せてよかった」
何かが入った包みを渡されて首を傾げる。
「開けてみてもいい?」
「はい」
ボールペンとメモ帳……確実に使うものだ。
「ありがとう。私がほしいと思っているもの、よく分かったね」
「この前会ったとき、メモ帳が終わりそうだって言ってたので。……すみません、もっといいものを使っているんだろうとは思ったんですけど思いつかなくて」
「すごく嬉しい。ありがとう」
ちょっと零した言葉を覚えていてくれるなんて嬉しい。
「喜んでもらえてよかったです」
急ぎの用があると話す蓮の写真をもう1枚撮らせてもらってこの日は別れた。
現像して渡そうと思いながら、メモリー内部を見直す。
さっきまでは気づかなかった、写真の違和感。
蓮の腕に大きな紫色……というより黒くなりかけている模様が入っている。
──これ、痣だ。
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