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第3幕
番外篇『店長さんへのサプライズ』☆
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暑い日が増えてきた今日この頃。
私たちはオープン三時間以上前から集まっていた。
「これから何をするの?」
「...毎年恒例なんだ、これ」
更に聞こうとすると、先輩の声がした。
「佐藤ちゃん、御舟、早くきてくれてありがとう」
「お、おはようございます...」
「俺たちて厨房やってもいいですか?」
「構わないけど、大変になると思うよ?」
話についていけなくてきょとんとしていると、真昼がこそっと教えてくれた。
今日は店長さんのお誕生日であること。
毎年みんなでお祝いしていること。
飾りつけ、料理、プレゼント等、メンバーだけで準備していること。
「知らなかった...」
「はいみんな、集合!今年は佐藤ちゃんと御舟に料理係をやってもらいます!それから残った人たちで分担!」
(私が、料理...?)
普通の料理とパーティー料理は違う。
すぐ言って降りようとすると、真昼に腕を掴まれた。
「俺とだし、そんなに気をはらなくていいから...一緒に頑張ってみないか?」
その言葉をはね除ける術を、私は知らない。
こうなったら、もう腹を決めるしかない。
「...分かった。何をすればいい?」
「それじゃあまずは、材料を準備するから手伝ってほしい」
「...うん」
真昼がメモしたものを探して、それから具材を切って...。
「千夜、食感チェック」
「分かった」
味見と言わないでくれるのは、きっと真昼の優しさだ。
(本当に優しい...。私には勿体無いくらい)
「熱っ...」
「千夜?」
油断しきっていた私は、軽い火傷を負ってしまった。
「結構指腫れてるな。取り敢えず冷やすぞ」
「ひゃっ、冷たい...」
「ちょっとだけ我慢しててくれ...」
それから真昼は完璧な処置を施してくれた。
「みんな、そろそろ店長きちゃうから一旦仕舞って...!」
先輩の声が響き渡る。
「...」
真昼は予想外の場所に料理を隠していく。
「ここで大丈夫?」
「ああ。毎年他の人たちもここだったし、多分大丈夫なはずだ」
「...真昼、さっきは」
「謝らなくていい。ただ、痛くなったらすぐ教えて」
首を縦にふると、周りから先輩たちの歓声が聞こえてきた。
「二人ともいちゃいちゃして、本当に羨ましいんだから!」
「料理用のチョコレート、溶けちゃいそうですね」
「わざわざからかいにくるの、やめてください」
真昼は冷静な声で言っていたけれど、本当は照れていたのを知っている。
「みんな、今日は早いね」
「はい!なんか偶然揃っちゃって」
先輩たちが店長さんと話しているうちに、片づけをすませる。
そして二人で、何事もなかったかのように挨拶するのだった。
私たちはオープン三時間以上前から集まっていた。
「これから何をするの?」
「...毎年恒例なんだ、これ」
更に聞こうとすると、先輩の声がした。
「佐藤ちゃん、御舟、早くきてくれてありがとう」
「お、おはようございます...」
「俺たちて厨房やってもいいですか?」
「構わないけど、大変になると思うよ?」
話についていけなくてきょとんとしていると、真昼がこそっと教えてくれた。
今日は店長さんのお誕生日であること。
毎年みんなでお祝いしていること。
飾りつけ、料理、プレゼント等、メンバーだけで準備していること。
「知らなかった...」
「はいみんな、集合!今年は佐藤ちゃんと御舟に料理係をやってもらいます!それから残った人たちで分担!」
(私が、料理...?)
普通の料理とパーティー料理は違う。
すぐ言って降りようとすると、真昼に腕を掴まれた。
「俺とだし、そんなに気をはらなくていいから...一緒に頑張ってみないか?」
その言葉をはね除ける術を、私は知らない。
こうなったら、もう腹を決めるしかない。
「...分かった。何をすればいい?」
「それじゃあまずは、材料を準備するから手伝ってほしい」
「...うん」
真昼がメモしたものを探して、それから具材を切って...。
「千夜、食感チェック」
「分かった」
味見と言わないでくれるのは、きっと真昼の優しさだ。
(本当に優しい...。私には勿体無いくらい)
「熱っ...」
「千夜?」
油断しきっていた私は、軽い火傷を負ってしまった。
「結構指腫れてるな。取り敢えず冷やすぞ」
「ひゃっ、冷たい...」
「ちょっとだけ我慢しててくれ...」
それから真昼は完璧な処置を施してくれた。
「みんな、そろそろ店長きちゃうから一旦仕舞って...!」
先輩の声が響き渡る。
「...」
真昼は予想外の場所に料理を隠していく。
「ここで大丈夫?」
「ああ。毎年他の人たちもここだったし、多分大丈夫なはずだ」
「...真昼、さっきは」
「謝らなくていい。ただ、痛くなったらすぐ教えて」
首を縦にふると、周りから先輩たちの歓声が聞こえてきた。
「二人ともいちゃいちゃして、本当に羨ましいんだから!」
「料理用のチョコレート、溶けちゃいそうですね」
「わざわざからかいにくるの、やめてください」
真昼は冷静な声で言っていたけれど、本当は照れていたのを知っている。
「みんな、今日は早いね」
「はい!なんか偶然揃っちゃって」
先輩たちが店長さんと話しているうちに、片づけをすませる。
そして二人で、何事もなかったかのように挨拶するのだった。
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