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第12話
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「どうしてそんな無茶したの?」
「ごめん」
むすっと頬を膨らませた妹に、申し訳なさそうに頭を下げる姉。
「お姉ちゃん、いつも無茶してるから心配だよ」
「気をつける。…ご飯、できてるぞ」
「え、いつの間に用意してくれたの!?」
「今日は特にやることもなかったから、体を動かすついでにやっておいたんだ」
「もう…。折角の休みだったなら寝てていいのに」
「いいんだ。鍛錬は禁止されてるけど、体を動かさないと落ち着かないから」
姉妹の会話を少し離れた場所で聞いていると、突然話しかけられた。
「白露も食べるだろ?そこに座っててくれ」
《…了解した》
夜紅は自分というものに興味がないらしい。
他者に対する思いやりは人一倍持っていそうだが、自らを労ることが全くないのだ。
自分の怪我に興味がないようで、痛々しく巻かれた包帯を気にすることなく動きまわっている。
《…横になっていないと心配されるぞ》
主が入浴している間に忠告したが、夜紅はただ苦笑を浮かべるだけだった。
《もっと自分を大切にしたらどうだ》
「それ、他のみんなにも言われるんだけど分からないんだ。…どうすればいいと思う?」
まさかそんな返しがくるとは思っていなかった。
分からないことなど何もない…そんなふうに見えていたが違ったらしい。
《感情に疎い俺に訊くのか?》
「それもそうか」
夜紅はぼんやり月を眺めながら、何かを考えているようだった。
《何を考えている》
「穂乃の研修のお弁当のおかず、何を作ろうかなって…。白露も食べられるものがいいと思ってな」
《俺も?》
「うん。一緒に食べるんだってはりきってたんだ。流石に当日はぐっすり寝かせておいてやりたいし、ふたりが喜んでくれるものがいい」
傷だらけの体を動かしながらそんなことを言うのが不思議でならない。
《…それならば、今夜はもう休んだ方がいいのではないか?》
「そうだな。もうこんな時間か…。先生にもしっかり休むように言われているし、そうさせてもらうよ」
噂を倒したというのに、さほど喜んでいる様子はない。
そこにも疑問をいだかずにはいられなかった。
姉妹が眠ってしまえば、あとは朝になるのを待つだけだ。
月明かりの下、借りた本を読みながら少し外を警戒しておく。
《この家の者は休んでいる。立ち去れ》
《美味そうな匂いがしたのに先客か》
どう答えるべきか迷っていると、相手に向かって矢が飛んできた。
「残念だけど、その子は私たちの家族なんだ」
《ぎゃあ!》
「…次はないと思え」
いつもは聞かない低い声。
妖は怯えた様子で逃げていった。
「白露も休んでくれ。私も道具の手入れが終わったからちゃんと横になるよ」
《…ああ》
絶対敵に回したくない。
「ごめん」
むすっと頬を膨らませた妹に、申し訳なさそうに頭を下げる姉。
「お姉ちゃん、いつも無茶してるから心配だよ」
「気をつける。…ご飯、できてるぞ」
「え、いつの間に用意してくれたの!?」
「今日は特にやることもなかったから、体を動かすついでにやっておいたんだ」
「もう…。折角の休みだったなら寝てていいのに」
「いいんだ。鍛錬は禁止されてるけど、体を動かさないと落ち着かないから」
姉妹の会話を少し離れた場所で聞いていると、突然話しかけられた。
「白露も食べるだろ?そこに座っててくれ」
《…了解した》
夜紅は自分というものに興味がないらしい。
他者に対する思いやりは人一倍持っていそうだが、自らを労ることが全くないのだ。
自分の怪我に興味がないようで、痛々しく巻かれた包帯を気にすることなく動きまわっている。
《…横になっていないと心配されるぞ》
主が入浴している間に忠告したが、夜紅はただ苦笑を浮かべるだけだった。
《もっと自分を大切にしたらどうだ》
「それ、他のみんなにも言われるんだけど分からないんだ。…どうすればいいと思う?」
まさかそんな返しがくるとは思っていなかった。
分からないことなど何もない…そんなふうに見えていたが違ったらしい。
《感情に疎い俺に訊くのか?》
「それもそうか」
夜紅はぼんやり月を眺めながら、何かを考えているようだった。
《何を考えている》
「穂乃の研修のお弁当のおかず、何を作ろうかなって…。白露も食べられるものがいいと思ってな」
《俺も?》
「うん。一緒に食べるんだってはりきってたんだ。流石に当日はぐっすり寝かせておいてやりたいし、ふたりが喜んでくれるものがいい」
傷だらけの体を動かしながらそんなことを言うのが不思議でならない。
《…それならば、今夜はもう休んだ方がいいのではないか?》
「そうだな。もうこんな時間か…。先生にもしっかり休むように言われているし、そうさせてもらうよ」
噂を倒したというのに、さほど喜んでいる様子はない。
そこにも疑問をいだかずにはいられなかった。
姉妹が眠ってしまえば、あとは朝になるのを待つだけだ。
月明かりの下、借りた本を読みながら少し外を警戒しておく。
《この家の者は休んでいる。立ち去れ》
《美味そうな匂いがしたのに先客か》
どう答えるべきか迷っていると、相手に向かって矢が飛んできた。
「残念だけど、その子は私たちの家族なんだ」
《ぎゃあ!》
「…次はないと思え」
いつもは聞かない低い声。
妖は怯えた様子で逃げていった。
「白露も休んでくれ。私も道具の手入れが終わったからちゃんと横になるよ」
《…ああ》
絶対敵に回したくない。
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