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断暮篇(たちぐらしへん)
エラー
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「...準備はいい?」
「うん」
あのあとふたりで計画をたてた。
相手に話し合いの意思があるようなら話を聞く。
もしそうでないなら、容赦なく相手を倒す。
決戦は今夜...三日月が空に浮かぶ時間帯だ。
バイトを休むと連絡し、敢えて相手に見つかりやすいであろう場所に行く。
「これならきっと、無関係の人たちを巻きこむこともないよね」
「一緒に考えてくれてありがとう。...今夜で終わらせる」
「そうだね。終わらせてみせよう」
向かったのは、以前見つかってしまった小道。
以前見つかった場所なら通らないだろう...相手がそれを読もうが読むまいが関係ない。
「...隠れよう」
「うん」
今僕たちがいるのは、ラッシュさんから得た情報によって潜伏している可能性が高いと判断されたホテル付近だ。
ここでなら相手が仕掛けてこようとしていなくても確実に仕留められる。
「ここにいて。パーカーのフードは目深に被っておいてね」
「...気をつけて」
七海には後方支援をお願いして、なんとか納得してもらっている。
「こんばんは」
「あ、こ、この前の...」
そこまで話したところで手刀をおろしてしまう。
話すつもりがあるのか確認する必要があったのに勿体無いことをした...と思ったが、そうでもなかったらしい。
「まさかそちらからいらしてくださるとは、非常にありがたいです」
「...この人たちに命令を出してる人?」
「ええ。彼女を連れ帰るのが私どもの役目ですので」
初老と思われるその男が只者でないことは雰囲気で察知できた。
「あなたから話していただけませんか?できるだけ穏便に片づけたいのです」
「お昼にあんな騒ぎをおこしておいて、穏便なんて言葉が出てくるとは思わなかったよ。...冗談でも断るけど」
その瞬間、何やら物騒なものが飛び出してきた。
「これを避けるとは、報告どおりのようだ」
「まさかいきなり斧で殺しにくるとは思ってなかったけど、攻撃してこないわけがないもんね」
その間にも3回ほど飛び道具が飛んできたが、そんなものに構ってはいられない。
「話し合う余地はないってこと?」
「渡していただけないのであれば、誰であろうと消すまでですので」
「...そう。残念」
相手の間合いに入ろうと足を踏み出したはずが、何故か体が上手く動かせなかった。
よく見ると、肩に飛び道具が掠ったのか傷ができている。
「ようやく効いてきましたか」
「何それ...」
「知る必要がないことです。だってこれから、あなたは消えるのですから」
勢いよく斧が振り下ろされようとしたそのとき、僕の前に人影が飛びこんできた。
「やっと見つけましたよ、奇跡の神子」
「よかった、間に合っ...」
瞬間、血飛沫が飛び散る。
その赤は見間違えるはずがない、見間違えようがないものだった。
「七海、なんで...」
「木葉が怪我をしなかったら、それでいいの」
目の前の彼女は微笑んでいるが、このままではどうなるか分からない。
僕のせいだ。僕の考えが至らなかったばかりに結局怪我を負わせてしまった。
──もういいや、全部壊れちゃえ。
そう考えた瞬間、目の前の建物に亀裂が入っていく。
「なんだ、何がおこって...」
「全部ぜんぶ、壊してあげる」
...只の人間に、僕の【崩壊】の能力が止められるかな?
「うん」
あのあとふたりで計画をたてた。
相手に話し合いの意思があるようなら話を聞く。
もしそうでないなら、容赦なく相手を倒す。
決戦は今夜...三日月が空に浮かぶ時間帯だ。
バイトを休むと連絡し、敢えて相手に見つかりやすいであろう場所に行く。
「これならきっと、無関係の人たちを巻きこむこともないよね」
「一緒に考えてくれてありがとう。...今夜で終わらせる」
「そうだね。終わらせてみせよう」
向かったのは、以前見つかってしまった小道。
以前見つかった場所なら通らないだろう...相手がそれを読もうが読むまいが関係ない。
「...隠れよう」
「うん」
今僕たちがいるのは、ラッシュさんから得た情報によって潜伏している可能性が高いと判断されたホテル付近だ。
ここでなら相手が仕掛けてこようとしていなくても確実に仕留められる。
「ここにいて。パーカーのフードは目深に被っておいてね」
「...気をつけて」
七海には後方支援をお願いして、なんとか納得してもらっている。
「こんばんは」
「あ、こ、この前の...」
そこまで話したところで手刀をおろしてしまう。
話すつもりがあるのか確認する必要があったのに勿体無いことをした...と思ったが、そうでもなかったらしい。
「まさかそちらからいらしてくださるとは、非常にありがたいです」
「...この人たちに命令を出してる人?」
「ええ。彼女を連れ帰るのが私どもの役目ですので」
初老と思われるその男が只者でないことは雰囲気で察知できた。
「あなたから話していただけませんか?できるだけ穏便に片づけたいのです」
「お昼にあんな騒ぎをおこしておいて、穏便なんて言葉が出てくるとは思わなかったよ。...冗談でも断るけど」
その瞬間、何やら物騒なものが飛び出してきた。
「これを避けるとは、報告どおりのようだ」
「まさかいきなり斧で殺しにくるとは思ってなかったけど、攻撃してこないわけがないもんね」
その間にも3回ほど飛び道具が飛んできたが、そんなものに構ってはいられない。
「話し合う余地はないってこと?」
「渡していただけないのであれば、誰であろうと消すまでですので」
「...そう。残念」
相手の間合いに入ろうと足を踏み出したはずが、何故か体が上手く動かせなかった。
よく見ると、肩に飛び道具が掠ったのか傷ができている。
「ようやく効いてきましたか」
「何それ...」
「知る必要がないことです。だってこれから、あなたは消えるのですから」
勢いよく斧が振り下ろされようとしたそのとき、僕の前に人影が飛びこんできた。
「やっと見つけましたよ、奇跡の神子」
「よかった、間に合っ...」
瞬間、血飛沫が飛び散る。
その赤は見間違えるはずがない、見間違えようがないものだった。
「七海、なんで...」
「木葉が怪我をしなかったら、それでいいの」
目の前の彼女は微笑んでいるが、このままではどうなるか分からない。
僕のせいだ。僕の考えが至らなかったばかりに結局怪我を負わせてしまった。
──もういいや、全部壊れちゃえ。
そう考えた瞬間、目の前の建物に亀裂が入っていく。
「なんだ、何がおこって...」
「全部ぜんぶ、壊してあげる」
...只の人間に、僕の【崩壊】の能力が止められるかな?
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