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日常篇
初めての彼の家
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沢山の本に、綺麗に片づけてある食器。
それから、沢山のノートが私を出迎えてくれる。
「そんなにすごいかな?」
「なんだか木葉らしい部屋だね...あれ、そこの箱に入ってるのって、」
「わあわあわあ!見ないで、ちょっと恥ずかしいから...」
私が指さした箱の中には、間違いなくふたりの思い出の品が入っていた。
時計や写真、ぬいぐるみ...等々。
全てのものを大切にしてくれているのだと思うと、なんだかとてもじんわりとしたものが胸に浮かんでくる。
嬉しいなんて言葉では言い表せないほど、すごく嬉しい。
「嫌がられてるんじゃないかとか、迷惑だって思ってるんじゃないか不安だったから...見られて良かった」
「七海からもらったものは全部大事だから、ちゃんと目が届くところに置いておきたかったんだ」
綺麗好きな木葉らしく、几帳面に箱の隙間がなくなるくらいぴったりと納められていた。
「座って。パンプキンスープくらいしかないけど...」
「駄目だよ、ちゃんとご飯も食べないと」
血液だけがご飯だと言われたら、私はきっと言い返せない。
ただ毎日黙って血を差し出しているだろう。
けれど木葉は半分はちゃんと人として生きている。
ヴァンパイアの部分に目がいきがちになってしまうけれど、決してそれだけではないのだ。
(それに...ただの人間の方がずっと怖い)
「七海?もしかして、体調悪い?」
「あ...ううん、なんでもない。体調もばっちりだから心配しないで」
木葉は腑に落ちないような表情を浮かべた後、スープを温めてくれた。
「取り敢えずこれ飲んで温まろう?」
「うん。いただきます」
さっきまでの寒さを忘れるくらいの温かさに浸っていると、とても小さな声で囁かれた。
「...トリック・オア・トリート」
「お菓子なら...あ」
「どうしたの?」
「忘れてきちゃったみたい」
「そっか...」
楽しみにしてくれていたんだろうなと思うと、申し訳なさしかない。
「ごめん、なんでもするから...」
木葉は悪戯な笑みを浮かべて、少しずつ私の方に近づいてくる。
そして、衝撃の一言が放たれた。
「それじゃあ、今夜は帰らないで」
「分かった、今夜は...え?」
「もっと沢山話がしたいから、今夜は一緒にいて。...駄目?」
そう訊かれて、駄目と言えるはずがない。
それに、目の前の瞳には寂しさが滲んでいて...ますます嫌とは言えなかった。
「でも、お風呂に入りたいし、着替えも持ってない...」
「これから買いに行こう。...近くのお店に知り合いがいるんだ。
それに、今夜ならきっと綺麗なはずだから」
「うん...?」
今夜なら綺麗って、どういうことだろう。
その意味は分からなかったけれど、木葉の言葉に従うことにした。
それから、沢山のノートが私を出迎えてくれる。
「そんなにすごいかな?」
「なんだか木葉らしい部屋だね...あれ、そこの箱に入ってるのって、」
「わあわあわあ!見ないで、ちょっと恥ずかしいから...」
私が指さした箱の中には、間違いなくふたりの思い出の品が入っていた。
時計や写真、ぬいぐるみ...等々。
全てのものを大切にしてくれているのだと思うと、なんだかとてもじんわりとしたものが胸に浮かんでくる。
嬉しいなんて言葉では言い表せないほど、すごく嬉しい。
「嫌がられてるんじゃないかとか、迷惑だって思ってるんじゃないか不安だったから...見られて良かった」
「七海からもらったものは全部大事だから、ちゃんと目が届くところに置いておきたかったんだ」
綺麗好きな木葉らしく、几帳面に箱の隙間がなくなるくらいぴったりと納められていた。
「座って。パンプキンスープくらいしかないけど...」
「駄目だよ、ちゃんとご飯も食べないと」
血液だけがご飯だと言われたら、私はきっと言い返せない。
ただ毎日黙って血を差し出しているだろう。
けれど木葉は半分はちゃんと人として生きている。
ヴァンパイアの部分に目がいきがちになってしまうけれど、決してそれだけではないのだ。
(それに...ただの人間の方がずっと怖い)
「七海?もしかして、体調悪い?」
「あ...ううん、なんでもない。体調もばっちりだから心配しないで」
木葉は腑に落ちないような表情を浮かべた後、スープを温めてくれた。
「取り敢えずこれ飲んで温まろう?」
「うん。いただきます」
さっきまでの寒さを忘れるくらいの温かさに浸っていると、とても小さな声で囁かれた。
「...トリック・オア・トリート」
「お菓子なら...あ」
「どうしたの?」
「忘れてきちゃったみたい」
「そっか...」
楽しみにしてくれていたんだろうなと思うと、申し訳なさしかない。
「ごめん、なんでもするから...」
木葉は悪戯な笑みを浮かべて、少しずつ私の方に近づいてくる。
そして、衝撃の一言が放たれた。
「それじゃあ、今夜は帰らないで」
「分かった、今夜は...え?」
「もっと沢山話がしたいから、今夜は一緒にいて。...駄目?」
そう訊かれて、駄目と言えるはずがない。
それに、目の前の瞳には寂しさが滲んでいて...ますます嫌とは言えなかった。
「でも、お風呂に入りたいし、着替えも持ってない...」
「これから買いに行こう。...近くのお店に知り合いがいるんだ。
それに、今夜ならきっと綺麗なはずだから」
「うん...?」
今夜なら綺麗って、どういうことだろう。
その意味は分からなかったけれど、木葉の言葉に従うことにした。
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