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本篇・2年目後期
最後のスポーツ大会
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そうして休みは予想以上に早く終わり、次の週は夜間部との合同スポーツ大会だった。
「葉月、スポーツ大会出席する?」
「うん。特別点が足りなくなっちゃうから...」
それもそうか、と思う。
6点というのはとても大きい。
3年に1回、研修の代わりに行われる修学旅行には二人とも行かなかったし、確かにこのままでは足りなくなる。
...正直、私も少しまずい。
「それじゃあ一緒に出よう。競技は...バドミントンで」
「うん!」
二人でそんな話をして、体育館へと向かう。
(...頑張ろう)
夜間部にどういう人がいるのか、私は全く知らない。
行ってみても大丈夫なのかと考えることもあった。
けれど、やっぱりこういった場所に葉月を一人にさせる方が不安だった。
「え、夜間私しかいないよ先生!」
「こんなこともあるんだね...」
この展開には少し驚いた。
どうやら雪の影響でこられない生徒がいるらしい。
通信制もそれは同じだったようで、せいぜい十数人しかいなかった。
「それじゃあ...バドミントンにしようか」
人数が少なすぎて、できることも限られてくる。
そして迎えた初戦、相手は先生のペアだった。
「お願いします」
そこから猛攻がはじまる...と、思いきや。
「弥生!」
「...」
「ああ、駄目だった...」
決して演技ではなく、運動が苦手な先生たちだったようで...あっという間に勝負がついた。
「もう少し弱めに打った方がよかったのかな...」
「私も少し罪悪感」
葉月と話していると、今度は審判を頼まれた。
「...!」
その一角だけ、試合の格が違った。
息を呑んで見ていると、点数をつけるのを忘れそうになる。
「葉月、そっちのペアに一点」
「あ、うん!」
こうして、予想よりもずっと楽しく過ごすことができた。
「それじゃあこれで今日は解散です」
わらわらと人が減っていくなか、私と葉月は片づけを手伝うことにした。
本当はこの後カレーを作るのだけれど、それは自由参加だからだ。
それならばと参加しないことにして、残って片づけることにした。
「おう、ありがとう」
「いえいえ」
教頭先生は相変わらず優しい。
...もうすぐここを離れることになるのだと思うと、少しだけ寂しさがこみあげてきた。
「...行こう、葉月」
「そうだね」
二人で校舎を出る。
雪は降り続けていて、少しずつ積もりはじめていた。
「葉月、スポーツ大会出席する?」
「うん。特別点が足りなくなっちゃうから...」
それもそうか、と思う。
6点というのはとても大きい。
3年に1回、研修の代わりに行われる修学旅行には二人とも行かなかったし、確かにこのままでは足りなくなる。
...正直、私も少しまずい。
「それじゃあ一緒に出よう。競技は...バドミントンで」
「うん!」
二人でそんな話をして、体育館へと向かう。
(...頑張ろう)
夜間部にどういう人がいるのか、私は全く知らない。
行ってみても大丈夫なのかと考えることもあった。
けれど、やっぱりこういった場所に葉月を一人にさせる方が不安だった。
「え、夜間私しかいないよ先生!」
「こんなこともあるんだね...」
この展開には少し驚いた。
どうやら雪の影響でこられない生徒がいるらしい。
通信制もそれは同じだったようで、せいぜい十数人しかいなかった。
「それじゃあ...バドミントンにしようか」
人数が少なすぎて、できることも限られてくる。
そして迎えた初戦、相手は先生のペアだった。
「お願いします」
そこから猛攻がはじまる...と、思いきや。
「弥生!」
「...」
「ああ、駄目だった...」
決して演技ではなく、運動が苦手な先生たちだったようで...あっという間に勝負がついた。
「もう少し弱めに打った方がよかったのかな...」
「私も少し罪悪感」
葉月と話していると、今度は審判を頼まれた。
「...!」
その一角だけ、試合の格が違った。
息を呑んで見ていると、点数をつけるのを忘れそうになる。
「葉月、そっちのペアに一点」
「あ、うん!」
こうして、予想よりもずっと楽しく過ごすことができた。
「それじゃあこれで今日は解散です」
わらわらと人が減っていくなか、私と葉月は片づけを手伝うことにした。
本当はこの後カレーを作るのだけれど、それは自由参加だからだ。
それならばと参加しないことにして、残って片づけることにした。
「おう、ありがとう」
「いえいえ」
教頭先生は相変わらず優しい。
...もうすぐここを離れることになるのだと思うと、少しだけ寂しさがこみあげてきた。
「...行こう、葉月」
「そうだね」
二人で校舎を出る。
雪は降り続けていて、少しずつ積もりはじめていた。
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