満天の星空に願いを。

黒蝶

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本篇・2年目後期

久しぶりの登校、景色が違って見えた。葉月side

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教室で休んでいたときの分のレポートに目をとおしていると、がらがらと扉が開かれる。
...そこには、ずっと会いたかった弥生が立っていた。
簡単な挨拶をした後、弥生は言う。
『体育の授業にだけ参加させてもらうことにした』
...どういうことだろう。
意味が分からなくて固まっていると、弥生がちゃんと説明してくれた。
「私が体育に出ても、授業点はもらえない。...取らないようにしてたから」
「うん、それは分かる。分かるんだけど...」
「先生と話してきた。『授業点は要らないから、授業に参加させてほしい』って」
「そんなことができるの?」
弥生によると、そういう生徒さんが実は割りと多く存在するらしいとのこと。
その為、教頭先生からの許可はあっという間におりたということ。
「ごめんなさい、私の為なんだよね...?」
「組む人がいない辛さ、分かるから。...私、前期の体育ほとんど見学したんだ」
「え、見学?」
「組む人がいなくて、いらいらしてる人と組まないといけなくて、その人と組まされるのが怖くて...。だから、運動不足なんだ」
弥生は笑って言っているけれど、それも私のせいだ。
私が休まなければ、そうはならなかった。
二人で組んで、色々できたはずなのに...。
(私が弥生を困らせてる)
「ごめん、余計なこと言った。本当のことを言うと、私が葉月と一緒にいられる時間を増やしたかったんだ。...だから、葉月が気にすることなんて一つもないんだよ」
どうしてこんなにも強いんだろう。
...どうしてこんなにも優しいんだろう。
「弥生」
「どうかした?」
「...私、弥生と友だちになれてよかった!」
弥生は笑ってそっかと言ってくれた。
二人で話していると、元・担任の先生がやってきた。
「久しぶり。困ったことがあったらいつでも言ってね」
「ありがとうございます」
それだけ言って、先生は別の教室へ行ってしまった。
(そういえば生物の先生なんだっけ...)
弥生がそっとこちらに手を差し出してくれる。
「授業準備、手伝いに行こう」
「うん!」
体育からというのは不安でしかたなかったけれど、弥生がいてくれるなら頑張れるかもしれない。
...残りの授業全部に出られれば、なんとかテストを受けられる。
それを目標に頑張ろうと、この瞬間に改めて決意した。
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