バッドエンド

黒蝶

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「……あ、化け物だ!」
石をぶつけられる。
全然知らない子なのに、けらけら嘲笑いながら育てていた花をめちゃくちゃにされる。
「……なんで」
──なんでこんなことされなきゃいけないの?
「うわ、化け物の攻撃だ!逃げろ!」
「あなたたち、ここで何をしているのですか?」
「うるさいばばあ!」
おばあさんを傷つけて、僕の花もぐちゃぐちゃで……。
「遅くなってごめんよ。怪我は…動かないで、すぐ終わらせるから」
「おまえら、何やってるんだよ!」
おばあさんと一緒にやってきた男の子が知らない子たちをやっつけてくれたのは、なんとなく覚えている。
「あ、あの…」
「この子はあたしの家族なんだ」
「怖い思いさせてごめん。俺は──」


──また懐かしい夢だった。
おばあさんは僕を怖がらないで接してくれて、怪我の手当てもしてくれて…すごく嬉しかったんだ。
(一緒にいたあの子の名前、なんだったかな……)
「ルナ、そろそろ行きましょうか」
少し目眩がしたけど休んでいられない。
……だってもう、時間がないんだから。


××××××


「暁美」
「穂高……」
なんだか大人たちがざわついていて落ち着かないところに、幼馴染の山瀬穂高が走ってきた。
「なんか顔青いけど大丈夫か?」
「うん。慣れてるから」
敬語で話さないといけないんだろうけど、穂高とふたりきりのときはお互いため口で話している。
「ちょっとした事件があったみたいだから、今日は俺が護衛する」
「分かった。ありがとう」
護衛がつくときだけは巫女さんたちがついてこないから気楽だ。
「あれ、あいつって…」
「ああ、みこの…穢れてるんじゃない?」
「ほだ、」
「じゃあ、俺はこれで失礼します」
巫女の子どもだと聞いてはいるけど、何故か村の人たちの視線は冷ややかだ。
(護衛なんてつまらないだろうに)
それにしても、あの山にいる人は誰なんだろう。
まだちゃんと顔も見たことがないし、挨拶できたらいいなって思うけど心の距離があるし…。
「……手紙」
「花房さん?」
「あ……すみません、なんでもないです」
「何かあれば仰ってくださいね」
「はい。ありがとうございます」
先生たちでさえこの対応で、なんだか生きているというより生かされている気がする。
今日も座学の授業があって、多分巫女のなかで偉い人が来ているんだろうけどよく分からない。
ふと窓の外に目をやると、木陰で誰かが休んでいる。
「これで授業は終わりです」
「ありがとうございました」
その人影に近づいて見えた顔に驚いた。
「穂高……?」
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