バッドエンド

黒蝶

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【神子の世話係である巫女には神聖な力が宿ると云われており、光栄なお役目である。
御子の世話役には巫が選ばれるが、その身を滅ぼす可能性が高い。
神子には美しいもののみを知らせる。
そのため、御子の存在は知られてはならない。
神子と御子の力は対になっており、混ざれば大きな力をもたらすが村を滅ぼす可能性がある。】
「だから僕はここに閉じこめられたんですね」
「あたしが出してあげられればよかったのに……ごめんよ」
「僕、おばあさんがいてくれて幸せです!あなたが巫なんですか?」
「……そういうことになるね」
おばあさんの顔は曇っていて、僕の頭を優しく撫でてくれた。
「おばあさんに撫でてもらうの、好きです」
「そうかい。…どうかそのまま、真っ直ぐ育ってくれ。憎い相手が出てくるだろうけど、決してそれだけで心を満たしてしまわないように」


「また夢……。そういえば、あんな本ありましたね」
小さい頃から小屋にあった本を読み漁っていた。
神子に御子、巫女、巫…読み方は全部『みこ』だ。
きっと御子の存在を隠すためにどの役職を呼んだか分からないようにしたかったんだろう。
「そろそろ行きましょうか」
道中、狼の群れに会った。
《この奥に祭壇があるが、近寄らない方がいいぞ》
「教えてくれてありがとうございます。それ、僕が壊さなきゃいけないものなんです」
《気をつけろ。あの瘴気にあてられれば最悪死ぬぞ》
狼の群れのリーダーはそう言って去っていった。
泡沫の呪いは4つの祭壇の力を得て邪気を集めているらしい。
だったら、まずはそれを壊すのが先だ。
《あなた、何者です?》
「誰でもいいじゃないですか」
《ここに人間は立ち寄れないはず…ああ、あなたもしかして御子ですか?
愚かな人間どもにさえ見捨てられた、哀れな子…。我々のところへ来ませんか?》
「お断りします。僕はただ、やりたいようにやるだけなので」
《そうですか…では》
相手は真っ黒な霞みたいだった瘴気から扇を造り出す。
《少々お相手願えますか?》
「勿論です!」
影を刀に纏わせて思いきり振って鏡ごと斬ったら、相手の体は粉々になってしまった。
(これで終わり?思ったよりあっさりしていました)
刀を仕舞って、痺れた腕をふる。
もし仲間になるって言ったら、本当に僕のことを受け入れてくれたんだろうか。
「考えてもしかたないですよね」
持っていた花を供え、目を閉じて両手を合わせる。
死んだ人にはこうやって手を合わせるって、おばあさんが教えてくれた。


──おばあさん、僕、ちゃんとできていますか?
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