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娘にだって嫉妬する。
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「キリアン…!お前、ふざけんなよ!!
こんな時に頭のおかしな事を抜かしやがって!」
ガインは愛娘であるミーシャの事が気掛かりな余り、キリアンに対して素の状態で苛立ちをあらわにしてしまう。
キリアンは、ガインが父親として娘のミーシャに掛ける愛情の深さを良く知っている為に、ミーシャの重大な報告を置いといてまで性行為を続けようとするキリアンを非難する事も予測していた。
自分へ向けた愛情と、父性ゆえの愛情を同じ秤に乗せるのは間違いだと頭では理解していても、ガインがミーシャを優先させて自分を蔑ろにした気がしたキリアンは面白くない。
エゴの塊でもあるキリアンは、いつでも自分はガインの一番でいたい。
「反対する気なの?
ガインはミーシャを大事にし過ぎて、彼女を子ども扱いしたりする時あるよね。
まだ早いとか、まだ若いだとか。」
キリアンは両手を繋いだガインの内側を、挿したままの雄茎でグリグリと掻き混ぜながら淡々と話す。
両手を捕らえられたガインは、ベッドに仰向け状態で貫かれたままの身体を起こす事が出来ない。
「まだ若い!結婚なんて、まだ早ッ…んく!…あぅ!
も、やめろ!」
「早くないよ。ミーシャはもう20歳だぞ。
あれこれ欲をかいて上物を狙って行き遅れた貴族令嬢ならばともかく、普通は既に婚約者が居たり10代で結婚する者も居る。
実際、ガイン抜きでミーシャ本人に婚約の申し出をしている貴族だっているんだぞ。
話すら聞かずに凄むガインを無視して。」
繋がれた両手は離す事を許されず、キリアンと手を繋ぎ拘束された状態での抽挿が続けられる。
「は、はぁ!?み、ミーシャはそんな相談を一言もっ…
ふあっ!ちょ、ちょっと!ちょっと一回止めろ!」
ガインの深い孔を突けば、先に出したキリアンの白濁液がコプっと溢れ出て、ガインの谷間を濡らして臀部の下のシーツに染みを作る。
濡れたシーツのせいでヒヤリとした尻を浮かせたガインに、キリアンが身体を前に出して胎内の更に奥深い場所に楔を打ち込み、繋がりを深くした。
「あぐっ…!!奥ッ…!止めろ!止め…!」
「だから、ミーシャはもう子どもではないって。
何でもかんでも父親に相談しないよ。
ミーシャは自分で考え、自分の意思を相手に伝える事が出来る大人の女性だ。
ガインに言った所で、相手を威嚇して無理矢理諦めさせて終わるんだろ。
ガキ大将じゃないんだから。」
ふと自分が呟いた言葉に、キリアンはガインの幼い頃を想像してしまった。
ガキ大将だったんだろうなと。
━━ガインの少年時代か……
想像したら……何かイイな……
それはそれで…何だか興奮する……━━
「なっ、何でッッ!!急に…!?は、はひぁ!!
ナカッ…!えぐる…!や、やめ…!とめ…!」
もう邂逅は有り得ない、若い時代のガインも自分が独占したい。
奪い尽くしたい。
そう考えただけで身体の芯に熱が集まり、楔の硬度が増す。
ガインの両手を解放したキリアンは、ガインの腰骨をガッシリと掴み、叩く様に下肢を打ち付け始めた。
パンパンパンパンパンと肌が叩かれる音に混ざるグポッ、グジュッと空気と水気が撹拌された淫音。
両手を解放されたガインは耳から入る淫音に犯され、目元を潤ませ真っ赤になった顔を隠す様に手の平で顔を覆うが、それでも口から漏れる声は塞ぎ切れない。
「あっ!ぐっ…!んっ!中っ…中がっ…!擦れっ…
腹の底をグリグリっ…!だ、駄目なんだ…!ソレ…!
やめろ…やめてくれ!!
気持ちいいから…!おかしくなるっ!んあぁ!」
「ああ、ガイン…やっとミーちゃんの所から俺の所に帰って来たね?
俺だけを見て?ガイン。
逃さないから、たっぷりと俺の愛を感じてね……
ふふっ…これは夕飯を食べに行くのは無理そうだよ?」
腹底側の腸壁を抉るようにキリアンの楔の括れが中を掻いて来る。
汗と口淫の際の唾液で汚したシャツは剥ぎ取る様に脱がされており、膝まで下げられたトラウザーズも抜き取られてガインは全裸にされていた。
キリアンの身体が重なり、しっとりと汗ばんだ互いの肌が吸い付く様に密着する。
ガインの上に乗ったキリアンの身体が、ベッドを激しく軋ませる律動を始めれば、騒々しい程にあらゆる場所から音が漏れる。
「ギシギシって…バチュバチュって…もっ…恥ずい…!
ふあっ…!パンパン言ってンし…!
聞いてたら、おかしくなる…!」
「いつも言ってるけど、おかしくなってイイんだよ?
俺しか知らないガインを独り占め出来るんだから。
ああ…絶対に逢う事は叶わないのだけれど、少年、青年時代のガインにも逢いたかったよ。
どんなガインも全て愛してる。」
キリアンはガインの竿の先から滴る雫を指先で掬い取り、ガインの近くに顔を寄せると見せつける様にして指先をねぶった。
「美味しいよ、ガイン…男性器の先っぽから出してんのに、メスの味がする。
もう、男性器として使う事が無いからかなぁ?ネェ」
「や、やめろ…恥ずかしいんだって…はうっ…
おまっ…ひどっ…んアッ…!ひっ…
なんで、そんな小っ恥ずかしい事ばかり言うんだよ…」
キリアンの下で巨躯をユサユサと揺らされるガインは、真っ赤に染まった顔を手の平で隠すが隠し切れておらず、汗や涙や唾液すら混ざって濡れた顔を泣きそうな程に歪めてキリアンを見上げる。
その情けなく無様な姿が、キリアンには堪らなく愛おしい。
━━そんな…なんで苛めるの?って聞かれたら…
可愛いからに決まってるじゃないか。
武神や軍神って呼ばれるガインの、こんな無理矢理メスイキさせられたオンナのコみたいな顔。
見ないでいられないよね。
俺だけの宝物なんだから━━
「俺の独占欲の強さと、嫉妬深さを知ってるよね?
俺と繋がっている時は俺の妻なのに、父親の顔になろうとしたからだよ。
だから、これはお仕置きなのかな?ご褒美っぽいけどねー。」
キリアンの太杭が、ズチュズチュとガインの肉壷を出入りする度に、ガインの顎が上がりガクガクと震える。
短く途切れがちな吐息を漏らし、快楽を享受しつつも理性を手放し切れないガインをキリアンが更に攻め立てた。
互いの肌の摩擦に伴い、ガインの体毛がザリザリと擦れる感触が、キリアンには心地よく楽しくて仕方がない。
「大きな熊さんは、俺を煽るのが上手だよね。
師匠が我慢すればするほど、どこまで激しくヤラシク出来るのかと、俺は楽しいんだよね。ふふっ
俺がメス堕ちさせたいの分かってて我慢してる?」
「ちがっ…!違う!違っ…あうぅ!!
ソコ、駄目なんだって!きっ…気持ちいい!
もっ…もぉ!!ソコぉ!!中擦ったら…んぐっ…!出るっ!」
「また、はしたなくお漏らしするの?
我が皇妃は、ホントにスケベな奥様だねぇ。
そんな素晴らしい妻のガインを俺は心の底から愛してるよ。」
「いっ…!いいっ!イく…!出るぅ!!
あああッ!いいィ!!」
「…………ミーシャ嬢………。」
「何でしょうか、ノーザン様。」
「……隊長のこんな声を聞くのは初めてで……
どうしたら良いのかと……。」
ガインの私室の隣にあるミーシャの部屋では、テーブルに両肘をついて居たたまれなさに顔を覆うノーザンと、その向かい側の席について平然とした表情で茶をすするミーシャが居た。
少し遠くはあるが、壁の向こう側から聞こえるガインの喘ぐ声に、ノーザンは娘であるミーシャの前でどんな顔をしていたら良いかが分からない。
「今、隣で行われている事は、知らない事にしておいて下さい。
父は、私達が此処に居る事を知りません。
父は二人の関係がもう誰にバレても良いと言っているようですが、実際にノーザン様にバレたと知ったら身を隠したくなり城から逃亡しようとするでしょう。
あるいは、地面に深い穴を掘って隠れようとします。」
「ああ…隊長は弱みを見せたくない性格ですし、そうなりそうですね…
だったら、こんな声を聞かれたなんて知ったら…。」
「心臓が止まるかも知れませんね。
あんなナリして意外に繊細な所もあるので。
だから知らない事にしておいて下さい。」
ノーザンは絶句した。
なんて重い秘密を知ってしまったのだろうと。
豪胆であり堂々たる佇まいを崩さないガインの、見てはいけない聞いてはいけない姿を自分は知ってしまったのだと。
これらを全て知らないフリをして、今までと同じ様に本人と接しろと。
「隊長は…大変ですね…陛下に愛され過ぎて。」
ノーザンの呟きに、ミーシャが僅かな微笑みを浮かべた。
「理解が早いですわね、さすがノーザン様ですわ。
そうです、父は陛下に愛され過ぎてますの。
大変でしょうけど、でも、いいんですよ。
何だかんだで両想いなんですから。」
嫌味や皮肉もなく、軽蔑するような感じもなく、ノーザンは二人の関係を自然な事であるかの様にすんなりと理解した。
色眼鏡で見ずに素直に物事を受け入れられるノーザンに、ミーシャは喜びの余り顔がニヤけてしまう。
ただ、隣室での行為の激しさだけはノーザンの想像を上回っていたようで…。
いたたまれずに焦っているノーザンの姿を見たミーシャも心の中で「うちのパパがすみません…」なんて謝ったりした。
「ミーシャ嬢、先ほど聞こえました『協力者』についてですが……
私に何の協力を求めているのですか?
それは伯爵令嬢であるミーシャ嬢が、平民である私を伴侶に選んでまでも必要なものなのですか?」
ミーシャはガインの部屋がある方の壁を指さした。
話し声等は聞こえないが、豪快とも言えるガインの嬌声だけは壁越しに漏れてミーシャの部屋にまで聞こえてしまう。
「元々は、あの秘密を共有出来る信頼のおける仲間が欲しかったのです。
今はもう、その役割に相応しいのはノーザン様しか考えられません。
身分なんて関係ありませんわ、私がノーザン様を協力者にしたいと考えた時に、仲間であるより伴侶にしたいと思ったのですから。
私が大変な時ノーザン様は見返りを求めずに協力して下さいますでしょう?今までも、これからも。
私が隊長の娘でも妻でも侍女でも、小説家のガルバンゾーでも。」
「見返りを求めずに…は難しいかも知れません。
私はミーシャ嬢にもガルバンゾー先生にも好意を抱いておりますので。
いつか貴女を……」
「では何の問題も、ありませんわね。」
ミーシャは物音を立てないように椅子を引き、静かに立ち上がった。
それから口の前に人差し指を立てる。
「私達は、最初からこの部屋には居なかったのです。
だから、何も知らないし聞いていない。
ですからノーザン様。
夕食までの時間、二人で城内をデート致しましょう。」
ノーザンもミーシャにならう様に静かに椅子を引いて立ち上がると、部屋のドアを静かに開いた。
ミーシャに手を差し伸べ、声を潜めてミーシャに話しかける。
「婚約者のミーシャ嬢、お供いたしましょう。」
こんな時に頭のおかしな事を抜かしやがって!」
ガインは愛娘であるミーシャの事が気掛かりな余り、キリアンに対して素の状態で苛立ちをあらわにしてしまう。
キリアンは、ガインが父親として娘のミーシャに掛ける愛情の深さを良く知っている為に、ミーシャの重大な報告を置いといてまで性行為を続けようとするキリアンを非難する事も予測していた。
自分へ向けた愛情と、父性ゆえの愛情を同じ秤に乗せるのは間違いだと頭では理解していても、ガインがミーシャを優先させて自分を蔑ろにした気がしたキリアンは面白くない。
エゴの塊でもあるキリアンは、いつでも自分はガインの一番でいたい。
「反対する気なの?
ガインはミーシャを大事にし過ぎて、彼女を子ども扱いしたりする時あるよね。
まだ早いとか、まだ若いだとか。」
キリアンは両手を繋いだガインの内側を、挿したままの雄茎でグリグリと掻き混ぜながら淡々と話す。
両手を捕らえられたガインは、ベッドに仰向け状態で貫かれたままの身体を起こす事が出来ない。
「まだ若い!結婚なんて、まだ早ッ…んく!…あぅ!
も、やめろ!」
「早くないよ。ミーシャはもう20歳だぞ。
あれこれ欲をかいて上物を狙って行き遅れた貴族令嬢ならばともかく、普通は既に婚約者が居たり10代で結婚する者も居る。
実際、ガイン抜きでミーシャ本人に婚約の申し出をしている貴族だっているんだぞ。
話すら聞かずに凄むガインを無視して。」
繋がれた両手は離す事を許されず、キリアンと手を繋ぎ拘束された状態での抽挿が続けられる。
「は、はぁ!?み、ミーシャはそんな相談を一言もっ…
ふあっ!ちょ、ちょっと!ちょっと一回止めろ!」
ガインの深い孔を突けば、先に出したキリアンの白濁液がコプっと溢れ出て、ガインの谷間を濡らして臀部の下のシーツに染みを作る。
濡れたシーツのせいでヒヤリとした尻を浮かせたガインに、キリアンが身体を前に出して胎内の更に奥深い場所に楔を打ち込み、繋がりを深くした。
「あぐっ…!!奥ッ…!止めろ!止め…!」
「だから、ミーシャはもう子どもではないって。
何でもかんでも父親に相談しないよ。
ミーシャは自分で考え、自分の意思を相手に伝える事が出来る大人の女性だ。
ガインに言った所で、相手を威嚇して無理矢理諦めさせて終わるんだろ。
ガキ大将じゃないんだから。」
ふと自分が呟いた言葉に、キリアンはガインの幼い頃を想像してしまった。
ガキ大将だったんだろうなと。
━━ガインの少年時代か……
想像したら……何かイイな……
それはそれで…何だか興奮する……━━
「なっ、何でッッ!!急に…!?は、はひぁ!!
ナカッ…!えぐる…!や、やめ…!とめ…!」
もう邂逅は有り得ない、若い時代のガインも自分が独占したい。
奪い尽くしたい。
そう考えただけで身体の芯に熱が集まり、楔の硬度が増す。
ガインの両手を解放したキリアンは、ガインの腰骨をガッシリと掴み、叩く様に下肢を打ち付け始めた。
パンパンパンパンパンと肌が叩かれる音に混ざるグポッ、グジュッと空気と水気が撹拌された淫音。
両手を解放されたガインは耳から入る淫音に犯され、目元を潤ませ真っ赤になった顔を隠す様に手の平で顔を覆うが、それでも口から漏れる声は塞ぎ切れない。
「あっ!ぐっ…!んっ!中っ…中がっ…!擦れっ…
腹の底をグリグリっ…!だ、駄目なんだ…!ソレ…!
やめろ…やめてくれ!!
気持ちいいから…!おかしくなるっ!んあぁ!」
「ああ、ガイン…やっとミーちゃんの所から俺の所に帰って来たね?
俺だけを見て?ガイン。
逃さないから、たっぷりと俺の愛を感じてね……
ふふっ…これは夕飯を食べに行くのは無理そうだよ?」
腹底側の腸壁を抉るようにキリアンの楔の括れが中を掻いて来る。
汗と口淫の際の唾液で汚したシャツは剥ぎ取る様に脱がされており、膝まで下げられたトラウザーズも抜き取られてガインは全裸にされていた。
キリアンの身体が重なり、しっとりと汗ばんだ互いの肌が吸い付く様に密着する。
ガインの上に乗ったキリアンの身体が、ベッドを激しく軋ませる律動を始めれば、騒々しい程にあらゆる場所から音が漏れる。
「ギシギシって…バチュバチュって…もっ…恥ずい…!
ふあっ…!パンパン言ってンし…!
聞いてたら、おかしくなる…!」
「いつも言ってるけど、おかしくなってイイんだよ?
俺しか知らないガインを独り占め出来るんだから。
ああ…絶対に逢う事は叶わないのだけれど、少年、青年時代のガインにも逢いたかったよ。
どんなガインも全て愛してる。」
キリアンはガインの竿の先から滴る雫を指先で掬い取り、ガインの近くに顔を寄せると見せつける様にして指先をねぶった。
「美味しいよ、ガイン…男性器の先っぽから出してんのに、メスの味がする。
もう、男性器として使う事が無いからかなぁ?ネェ」
「や、やめろ…恥ずかしいんだって…はうっ…
おまっ…ひどっ…んアッ…!ひっ…
なんで、そんな小っ恥ずかしい事ばかり言うんだよ…」
キリアンの下で巨躯をユサユサと揺らされるガインは、真っ赤に染まった顔を手の平で隠すが隠し切れておらず、汗や涙や唾液すら混ざって濡れた顔を泣きそうな程に歪めてキリアンを見上げる。
その情けなく無様な姿が、キリアンには堪らなく愛おしい。
━━そんな…なんで苛めるの?って聞かれたら…
可愛いからに決まってるじゃないか。
武神や軍神って呼ばれるガインの、こんな無理矢理メスイキさせられたオンナのコみたいな顔。
見ないでいられないよね。
俺だけの宝物なんだから━━
「俺の独占欲の強さと、嫉妬深さを知ってるよね?
俺と繋がっている時は俺の妻なのに、父親の顔になろうとしたからだよ。
だから、これはお仕置きなのかな?ご褒美っぽいけどねー。」
キリアンの太杭が、ズチュズチュとガインの肉壷を出入りする度に、ガインの顎が上がりガクガクと震える。
短く途切れがちな吐息を漏らし、快楽を享受しつつも理性を手放し切れないガインをキリアンが更に攻め立てた。
互いの肌の摩擦に伴い、ガインの体毛がザリザリと擦れる感触が、キリアンには心地よく楽しくて仕方がない。
「大きな熊さんは、俺を煽るのが上手だよね。
師匠が我慢すればするほど、どこまで激しくヤラシク出来るのかと、俺は楽しいんだよね。ふふっ
俺がメス堕ちさせたいの分かってて我慢してる?」
「ちがっ…!違う!違っ…あうぅ!!
ソコ、駄目なんだって!きっ…気持ちいい!
もっ…もぉ!!ソコぉ!!中擦ったら…んぐっ…!出るっ!」
「また、はしたなくお漏らしするの?
我が皇妃は、ホントにスケベな奥様だねぇ。
そんな素晴らしい妻のガインを俺は心の底から愛してるよ。」
「いっ…!いいっ!イく…!出るぅ!!
あああッ!いいィ!!」
「…………ミーシャ嬢………。」
「何でしょうか、ノーザン様。」
「……隊長のこんな声を聞くのは初めてで……
どうしたら良いのかと……。」
ガインの私室の隣にあるミーシャの部屋では、テーブルに両肘をついて居たたまれなさに顔を覆うノーザンと、その向かい側の席について平然とした表情で茶をすするミーシャが居た。
少し遠くはあるが、壁の向こう側から聞こえるガインの喘ぐ声に、ノーザンは娘であるミーシャの前でどんな顔をしていたら良いかが分からない。
「今、隣で行われている事は、知らない事にしておいて下さい。
父は、私達が此処に居る事を知りません。
父は二人の関係がもう誰にバレても良いと言っているようですが、実際にノーザン様にバレたと知ったら身を隠したくなり城から逃亡しようとするでしょう。
あるいは、地面に深い穴を掘って隠れようとします。」
「ああ…隊長は弱みを見せたくない性格ですし、そうなりそうですね…
だったら、こんな声を聞かれたなんて知ったら…。」
「心臓が止まるかも知れませんね。
あんなナリして意外に繊細な所もあるので。
だから知らない事にしておいて下さい。」
ノーザンは絶句した。
なんて重い秘密を知ってしまったのだろうと。
豪胆であり堂々たる佇まいを崩さないガインの、見てはいけない聞いてはいけない姿を自分は知ってしまったのだと。
これらを全て知らないフリをして、今までと同じ様に本人と接しろと。
「隊長は…大変ですね…陛下に愛され過ぎて。」
ノーザンの呟きに、ミーシャが僅かな微笑みを浮かべた。
「理解が早いですわね、さすがノーザン様ですわ。
そうです、父は陛下に愛され過ぎてますの。
大変でしょうけど、でも、いいんですよ。
何だかんだで両想いなんですから。」
嫌味や皮肉もなく、軽蔑するような感じもなく、ノーザンは二人の関係を自然な事であるかの様にすんなりと理解した。
色眼鏡で見ずに素直に物事を受け入れられるノーザンに、ミーシャは喜びの余り顔がニヤけてしまう。
ただ、隣室での行為の激しさだけはノーザンの想像を上回っていたようで…。
いたたまれずに焦っているノーザンの姿を見たミーシャも心の中で「うちのパパがすみません…」なんて謝ったりした。
「ミーシャ嬢、先ほど聞こえました『協力者』についてですが……
私に何の協力を求めているのですか?
それは伯爵令嬢であるミーシャ嬢が、平民である私を伴侶に選んでまでも必要なものなのですか?」
ミーシャはガインの部屋がある方の壁を指さした。
話し声等は聞こえないが、豪快とも言えるガインの嬌声だけは壁越しに漏れてミーシャの部屋にまで聞こえてしまう。
「元々は、あの秘密を共有出来る信頼のおける仲間が欲しかったのです。
今はもう、その役割に相応しいのはノーザン様しか考えられません。
身分なんて関係ありませんわ、私がノーザン様を協力者にしたいと考えた時に、仲間であるより伴侶にしたいと思ったのですから。
私が大変な時ノーザン様は見返りを求めずに協力して下さいますでしょう?今までも、これからも。
私が隊長の娘でも妻でも侍女でも、小説家のガルバンゾーでも。」
「見返りを求めずに…は難しいかも知れません。
私はミーシャ嬢にもガルバンゾー先生にも好意を抱いておりますので。
いつか貴女を……」
「では何の問題も、ありませんわね。」
ミーシャは物音を立てないように椅子を引き、静かに立ち上がった。
それから口の前に人差し指を立てる。
「私達は、最初からこの部屋には居なかったのです。
だから、何も知らないし聞いていない。
ですからノーザン様。
夕食までの時間、二人で城内をデート致しましょう。」
ノーザンもミーシャにならう様に静かに椅子を引いて立ち上がると、部屋のドアを静かに開いた。
ミーシャに手を差し伸べ、声を潜めてミーシャに話しかける。
「婚約者のミーシャ嬢、お供いたしましょう。」
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