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元傍若無人な若き王のお願い。

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「だから、これを着て欲しいのだ!オブザイア殿に!」


「たわけ!断固拒否するに決まっておろうが!」



白いドレスを手にしたアンドリューが玉座の間で女王に詰め寄る。



「その衣装は、伯父上が落とした東の国から持ち帰った物だな?
それが何の服か分かっておるのか?
うえでいんぐどれすと言って、婚儀の際に妻が着る衣装らしいぞ?」



アンドリューは、その衣装の用途を知らないのかも知れない。勘違いしているならば教えてやらねば。



「ウェディングドレス、知ってますけど?」



シレっと普通に答えるアンドリュー。



「だったら!何でオブザイアなのだ!
妻が着るなら妾だろうが!」



100歩譲って、オブザイアの妻だと豪語するアンドリューが着るべきではないのか?



「女王が、着て似合うのは当たり前ではないか。
お前は美人だからな。」




ぐっ…!こやつ、最近妾の扱いに慣れてきておる…!




「そうか、女王が着てオブザイアに変化すれば…」



「……言っておくが、衣装がバリバリ破れてなんて事にはならんぞ…」




衣装ビリビリなセクシーハプニング…



オブザイアがイヤーン!とか、絶対無い。




「衣装や持ち物は、身に着けた時のままだからな。」





「そうだな。
こないだベッドの上で、オブザイア殿の下履き脱がせかけた時も、普通にドレスを纏った女王になったもんな。」




「…………そうだったな」




諸国恐れる狂戦士オブザイアを、あれほど怯えさせるのは、世界広しと言えどアンドリューしか居ない。




「女王、オブザイア殿に荷物を持たせる事が出来るなら、俺と二人でお忍びでショッピングなんて、どうだろう?」




「…なんだと…?
それは、世で言うところの、でえとと言うヤツか?」





「そう、デート!」





えぇっ!…身分を隠してアンドリューと街をデート…

二人でショッピング…ああ、何て素敵な…………ん?




「オブザイアに荷物を持たせるなら、ハナからオブザイアでおらぬと意味が無いではないか。

城に居る者以外での、人前での変化は厳禁だ。」




「あぁ、だからデート前半はオブザイア殿で。
ショッピングが終わったら隠れて女王に戻って、後半は女王でデート。」




嘘だ!妾に戻った時点で、即帰ると言う!


アンドリューなら絶対そう言う!




「……無理だな……
戦い以外ではオブザイアが出て来たがらん…。」



「……チッ…」



こやつ、舌打ちしおった!



「まぁ…今回は諦めるか…でもな、女王…
俺、最近お前にも興味あるんだよね。」




「……!?は、はひ?」




何か……何か!

嬉しいを通り越して、すごい怖い事言われた!

だって、何だ、あの笑顔!

ネズミを与えられた猫みたいな目!

嗜虐心煽られましたみたいな顔!



オブザイアに向ける顔と違い過ぎるわ!




「近い内に、デートしような?女王」



「は、はひゃ…」



怖い笑顔のままアンドリューは玉座の間を出て行った。

何か怖かった!






玉座の間を出た所で、アンドリューはマリアンナに声を掛けられる。




「ねぇ、どーゆー風の吹き回し?
義母としては気になるんだけど?」




マリアンナは微笑みながら、カエルを呑み込む蛇のような目でアンドリューを見る。




「義母上、言葉通りですよ?
女王に興味がある。
…今まで、あんな女を見た事無かった。
……面白いんだよね、反応が素直過ぎて。」




「うふふ、そうなのよ!
この国の狂戦士に変化する者は、素直で可愛いのよ!
ダイオス様然り!
……可愛いくて…いじめたくなるの…分かるわぁ…」





義母はどエスだ。

先日言っていた、俺の元妻が欲しいと言ったのも、ただの冗談じゃ無いっぽい。

アンドリューは同族意識のようなものを感じ、思わず苦笑する。




「だからねぇえ?」



マリアンナは指先でツゥっとアンドリューの胸をなぞる。




「あの子が心から悲しんだり、苦しんだりしなければ、多少の事は、ナニをしても許してアゲル。

可愛いがってあげて?うふふ」





正直、そこまで何も考えてなかった。

義母は真性どエスのようだ。



だが、まあお許し頂いたと言う事で…。




「ありがたく、いただきます」



 アンドリューはニッコリ笑った。





    
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