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生け贄の乙女ルチアナ。

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前置き(ご注意下さい)

性器の表現があり(伏せ字無しで、チ◯◯や、お◯◯こなど)

処女喪失にレイプ要素あり。


ーーーーーーーーーーーーーーーー




「神よ!このまま雨が降らなければ大地は枯れ、我らは死に絶えてしまう!
どうか、この清純なる乙女の生命をお受け取りになり、この大地に癒やしの雨を!!」



崖の上にせり出す、脆い板で造られた細い道の上。

純白の花嫁衣装を身に纏う私は、頼りなく細いその道の上を先端に向けて歩いて行く。


そこは神の妻として生命を差し出す為の一方通行のバージンロード。

私の帰る路は無い。



「ああ神よ……私の生命を捧げます!
ですから…どうか……どうか!!
私の命と引き換えに、この地に恵みの雨を……!」



私の後ろ姿を見守る多くの皆の前で私は、板の先から崖下へと身を投じた。


怖くはないわ…私は神の妻になるのですもの…


底の見えない暗く深い闇の中、私の目の前に小さな光の珠が現れる。


その珠はやがて人の形を成し私に手を差し伸べ、私がその手を取ると、人型の光の背には大きな白い翼が生えた。



「おお!!あれは!!」


「天使だ!天の御遣いが娘の魂を迎えに!」



崖下からスゥッと天に向け昇って行く花嫁衣装を纏う私の魂。

そして、金の長い髪をなびかせた中性的な若者の姿の天使が私の魂をいざなう様に共に天へと昇っていく。


その神々しく美しい光景を皆が祈るように見守る中


光を纏い半透明な私たち二人の姿はやがて、まばゆい太陽に融ける様に空に消えた。



私たちが消えた空には雨雲が立ち込め、ポツリポツリと渇いた大地に雨が振り始める。




「おお!恵みの雨だ!!」



「天の神が、少女の魂を花嫁として受け取ったのだ!」



清純無垢なる魂を持つ17歳の乙女ルチアナは、人々の切なる願いを叶える為にその身を犠牲とし、神に生命を捧げたのだ。













「納得いかないんだけど。どーいう事?」



天界━━

人がそう呼ぶっポイ場所にある、休憩所っポイ場所の椅子に座り、テーブルに片肘をついて不機嫌な顔をした私…美しき乙女のルチアナは、向かいの椅子に座る金髪ロン毛のヤンキー


…みたいな天使のウーリに抗議の文句を垂れた。



「私が生け贄になった日には確かに雨が降ったわよ。
でも翌日が快晴になって、そのまま日照り続きってどうなってんの!?
私の生け贄効果が1日で切れるってどういう事?」



「知らねーよ、評価が低かったって事だろ。
神様に飽きられたんじゃねーの?
言っても、お前さん生け贄歴100回越えるベテランな上に口上文句はいつも同じだし。
マンネリ化しちまってんだろ。」



長い金髪をひとつに括った天使のウーリは、休憩所で紙コップに注いだコーヒーを飲みながら返事をするのもダルそうに投げやりに私に言った。



「飽きたって!人の死に様を何だと思ってんのよ!
それにね!これでも私、自分の「清純で無垢な生け贄美少女」の役割に誇りを持ってんだからね!」



そう、私は生け贄の少女役を与えられた聖女ルチアナ。

人々の願いや祈り、時には怒りをその身に受け生命を賭して、人の荒んだ心を鎮めるのが私の役割。

私は、自分に与えられた役割に誇りを持っている。

誰にも譲りたくないのだ。


なのに最近、新社員よろしく生け贄ライバルが出て来た。




「納得いかないわ…!
何で、私の生け贄効果は一日しか持たなかったのに、あの子の生け贄効果は一週間続いてるの!?
いっそ、雨が降り続けて洪水起きろ!!」



「聖女の言うセリフじゃネェな。
清純無垢が聞いて呆れらぁ。」



ハッと小馬鹿にしたようにウーリが鼻で笑った。

胸の前で腕を組み上体を反らして顎を上げて嫌味な表情を見せる。



「いやウーリ、あんたの態度も言葉遣いも、天使様がしたら駄目なヤツだからね!」




天使のウーリは、私の仕事の相棒だ。

私が魂を昇華させ天に召される演出を、より美しく、より効果的に魅せるのがウーリの役割だ。

そのウーリだって、私の評価が低ければ同様に天使としての評価が低くなって困るハズなのに、他人事みたいに言う…。




「…こうなったら、新しい生け贄役となったあの子には悪いけど……そうね……
生け贄資格を無くしてもらって早々に引退して貰いましょう。」




「ますますもって清純なる乙女とやらの言葉じゃねぇな。」




この私が、今後も清純無垢なる生け贄の乙女であり続ける為には、あの子が邪魔なのよ…。

私よりも神の評価が高いかも知れない、あの子から資格を奪うわ。



「黙っててウーリ。そうよ、純真無垢…
つまりバージンじゃなくなれば良いのよ…。
私がこの身体を張って、性の悦びを知って貰い、あの子がめでたく寿退社するように…」



「おいルチアナ。
お前盛大に自滅フラグ立ててんの、分かってんの?」



ウーリはテーブルに片肘をついて頬杖をつき、私に向け嘲笑を浮かべながら空の紙コップをクシャッと潰した。


私はウーリの言っている意味が全く分からなかったけど、善は急げとばかりに相棒のウーリを連れた私は、新しいライバルとなったあの子の部屋に向かった。




私が生け贄となりウーリと共に天に召されるイベント…
いや聖なる儀式の後に、乾いた地上には恵みの雨が降った。


が、次の日に雨はやみ、更に強い日照りが続いたのだ。


そこで人々は再び神に生け贄を捧げる事にした。




『ルチアナをお気に召さなかった神がお怒りだ!
もっと若い者を捧げますので、どうか神よ!
怒りを鎮めて下さい!』




新しく生け贄になった、あの子の部屋に向かう際に通り掛かった天界エントランス。


そこにある巨大モニターに映し出された天界ニュースの中で流れた、神様に高評価を与えられたイチオシ生け贄映像を見た私がギリッと爪を噛む。




「もっと若いって何だ!!
17歳は充分若いだろうが!
しかも、私のせいで日照りがひどくなったみたいな言い方してるじゃん!
日照りは元々でしょうが!
クッソ!地上の奴ら干からびて飢えさせたら良かった!」



「お前、永遠の17歳だが魂的にはもーエエ歳だからな。
お前こそ、もう寿退社してもイイんじゃねぇの?
100回以上も生け贄やってんだから、後は若い後任に任せよーぜ。」



「魂年齢がなんぼでも、私は永遠に17歳だし乙女!
いわゆる処女だし!ぴちぴちで若いわよ!
ウーリは余計な一言が多いわ!」





『ああっやめて!!イヤッ…!
まだ死にたくない…!』




「ほら、お前の後任が出て来たぞ」



ウーリに言われてモニターに目を移す。
そこには最近、私以上の生け贄高評価を出す新人の生け贄役の



永遠の13歳の少年、フラウが出ていた。




『大人しく、神の供物となるのだ!
ルチアナのせいでお怒りになった天の怒りを、お前の若さと美しい魂でお慰めせねば!』




『ああっイヤだ…!あの人のせいで僕が…!
あの人より若くて美しい僕が犠牲に…!
でも…あの人より若くて美しい僕が生け贄になる事で神様の怒りを鎮められるならば…
僕、頑張ります…。』




「お前ら、勝手に私を槍玉に上げてるんじゃないわよ!
それにフラウ!
私より若くて美しいとか、自分で何回も言うな!」




モニターに向かって吠える私の口をウーリが押さえる。


モニターの中で、死の恐怖に涙を流しながらクスンクスンと泣きじゃくっていたフラウは、やがて意を決する様に腕で涙をゴシゴシ拭い、白い衣装をヒラヒラと舞わせる様にして崖下に身を投じた。



崖の下からブワッと光が溢れ、ほぼ全裸のフラウが天使に姫抱きされた状態で天に昇って行く姿がモニターに映し出された。




「全裸で姫抱きかよ………」



ドン引きした私が呆然とモニターに見入る横で、ウーリがウンウンと頷いている。



「………演出、凝ってんなぁ。早脱ぎか。
一瞬で、あのゴテゴテの衣装脱いで……
いや、でも天に昇る為に俗世のモノは一切捨てるとか…
確かに有りっちゃー有りか。
お前も、あれ位やりゃあ…」



「出来るか!処女の私が万人に裸体を晒すなんて!
男だから出来たんでしょ!ズルくない!?」



「裸になっただけじゃない。
フラウはな、生け贄になる時の口上もバリエーションがあって飽きないんだよ。
最初から粛々と生け贄になる覚悟をしてのものや、最後まで泣き叫んで生け贄の覚悟も無いまま無理矢理天に召されたり。
その時々で、一番盛り上がりそうな演出を見せる。」



「覚悟も無いまま無理矢理って、そんなもん神への花嫁じゃないでしょーが!」



「乙女の生け贄イコール神の花嫁イコール嫁ぐ覚悟をした生け贄。お前の解釈それだけ。
生け贄が必ずしも女である必要は無いのにな。
だからお前はマンネリだし、つまんねーんだよ。
もう華々しく引退しろ。」



色々と納得がいかない。

フラウは最初から私より歳が若く生み出されたし、男だし!

私より演出の幅があって当たり前なんじゃないの?



あんな僕ちゃんには、女の良さを知って貰ってさっさと生け贄稼業から足を洗って貰いましょう!



「ルチアナ、お前が考えてる事さぁ…
天使の俺には筒抜け…つか、お前顔に全部出てるわ。
処女のお前がフラウを誘惑すんの?
で、フラウを童貞でなくすの?
それ、本末転倒ってヤツじゃね?」



「ゆ、誘惑っポイ事はするけど、処女はあげないわよ!
女に興味を持って貰うだけよ!」



そうよ!

たった13歳の若い僕ちゃんを手玉にとるなんて、魂年齢だけで言ったら数百歳の私には軽いモンよ!



「………永遠の17歳、だが魂年齢は数百歳。
フラウも同じ立場だって忘れてんなぁ。」



ウーリの呟きを聞き逃したまま、私は神がフラウに特別ボーナスとして与えた部屋に辿り着いた。



大きな観音開きのドアの前に立ち、私はノックもせずにバァン!!といきなりドアを開いた。



「おまっ!いきなりかよ!!」



隣のウーリが引いている。

仕方ないじゃない。ムカついたんだもの。

何なの、この大きなドア。広い部屋。

優秀だからって、この優遇っぷりは無いわぁ。





開いたドアの向こう。
部屋の中は、室内ではなかった。



天井はなく、満天の星空があって

足元は絨毯じゃなく、草がフサフサと茂っている。

湖があり、ほとりに巨木があり

その巨木の下に違和感だらけの天蓋付き巨大ベッド。

その上で、シーツにくるまってすぅすぅと寝息を立てるフラウと、彼を見守る様に巨木の周りをウサギやリス
小鳥たちが取り囲む。



「その、神様に愛された少年アピールやめなさいよ!
何の演出だ、これは!!」



ベッドの前に来て大声をあげた私に、小動物がサササーっと散って行った。



「………ん………だぁれ………?あ、ルチアナさん…」



フラウが目元をコシコシとこすりながら、あざとい仕草でベッドから身体を起こした。

私の一歩後ろに、居るウーリが「うわぁ……」と小さく引いた声をあげる。




「フラウ。
今日は私、先輩として貴方にアドバイスをしてあげようと思って来たの。」



「え!ルチアナさんが僕に!?嬉しいなぁ!」



おぅふ、何だコレ。

キラッキラに眩しい笑顔が逆に何かヤバい。

背後のウーリも言葉を失ってカカシの様になっている。




「で、何のアドバイスをしてくれるの?
ルチアナお姉さま!」




「えっ…と……そうね……
まずは、女性というものについてかしら!?」



いきなり訪問した私に全く物怖じしないフラウの態度に、私の方がたじたじになってしまう。

思わず背後のウーリに助けを求める様に目線を送った。




「処女の癖に男を誘惑なんて、ハードル高い事するからよぉ。
はなっから無理だったんだって…。なぁ?」




ウーリは私と目も合わせずに、足元のウサギに語りかけている。

何なのよ!!




「ふぅん……じゃあ、その女性というものについて、童貞の僕に詳しく教えて?ルチアナお姉さま。
突っ立ってないで、ベッドに来てよ。」



ベッドの縁に座ったフラウが私に手を差し伸べた。

彼の肩から斜めに掛けたシーツがフラウの両足の間を通って大事な場所を隠し、地面に流れている。

地面についたシーツの端はフラウの足の下に踏まれた状態にあり……



それ、立ち上がったらポロリなヤツ!



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