蒼き英雄

雨宮結城

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最終章 The Future

Part4

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アスタとユキがダリムの城へと向かっている中、お城では。

「ほお、俺たちに歯向かうヤツがいたとは」

「中々に強かった。ダリム、勝てる可能性があるとすれば、お前だけだ」

ダリムとレイが、アスタとユキについて話していた。

「アスタ、そしてユキという女か。ヤツらは今後脅威になりえるな。スレイヤーから支配権を奪う予定だったが、それは後回しだ」

「ヤツらを殺るか?」

「あぁ、ちなみに、その二人は今どこにいる。レイ」

「…」

レイは能力で、アスタとユキが今どこにいるか探した。

「ヤツらは、まっすぐこの城に近づいてきている」

「わざわざ向こうから来てくれるとはな」

「どうする、ダリム」

「…まずは挨拶がてら、城の入口にボスクラスのモンスターを召喚しろ、ヤツらがどれ程の実力か、確かめてやる」

「分かった」

ダリムからの指示を聞き、レイは、占拠している城の入口に、ボスモンスター五体を召喚した。

「(さて、どうでるかな)」

その時、お城の入口では。

「…」

召喚されたボスモンスターが、アスタとユキが来るまで待機していた。

そして、二人が現れた。

「…」

「!ウガーー!」

ボスモンスター達がアスタの元へと向かっていった。

「……!」

アスタは背中にあった剣を抜き、一瞬でボスモンスター達の後ろへと移動した。

何もしてないように見えたその動きだったが、実は移動している中で、全てのボスモンスターを斬っていた。

「ガァー!」

そしてボスモンスターは消滅した。

アスタは剣を鞘に戻し、ユキと城の扉の所まで辿り着いた。

そして二人は扉を開いた。

中へと入る二人、そしてそんな二人を待ち構えていたのは、ダリム達だった。

「…お前が、ダリムか」

「いかにも、俺様がダリムだ。そして、お前がアスタ、隣にいるのが、ユキか。あと、昨日はレイ達が世話になったみたいだな」

「別に、ただ、あの場所での戦闘は避けたかった。人もたくさんいたからな」

「なるほど、それで、お前たちは何しにここへ来た」

「カリム団長の救出、そして、お前らを倒す為にきた」

「まあ、そうだろうな」

「カリム団長はどこにいる」

「カリムなら、地下牢に入ってもらったよ。助けたければ、地下牢に行けばいいさ」

「あぁ、お前をぶっ飛ばしたあとにな」

「そうか、なら、戦おうか。ここじゃなんだ。俺様の創りだしたワールドで戦おうじゃないか」

「(ダリムの、ワールド?)」

ダリムは腕を前に出し、手を開いて能力を発動させた。

その能力は、自分や自分以外を、別の場所へと移動させる能力だった。

瞬間移動と違うのは、瞬間移動は、一度行った場所じゃなければ、行くことはできないが、ダリムの能力は、一度も行ったことがない場所でも、行くことができるというものだった。

アスタとダリムは、森に。ユキやレイ達は、その世界のダンジョンへと移動した。

アスタはダリムと一対一。ユキはレイを含めた魔物と一対四という、戦いの形となった。

「君達がボクの相手か」

「お前も中々に強いかもしれないが、こっちにはレイさんがついてるからな。お前の負けは確実さ」

「へぇー」

「まずは、俺たちトリオの力を思い知るがいい!」

レイを除いた魔物三体は、剣や斧を出現させ、ユキに向かっていった。

「んっ」

「ハァ!」

トリオの攻撃は、一人が普通にユキの相手をし、もう二人は、ユキの体制を崩す為、ユキと魔物の攻撃が終わった瞬間。

一番攻撃が防ぎにくいタイミングで、二人の魔物は攻撃を仕掛けた。

人数を生かした戦い方をしてきたトリオたち。

「おらおらどうした!避けてばかりでは、永遠と続くぞ!」

ユキは、魔物三体の攻撃をただただ避けた。だが、ただ避けている訳ではない。ユキも狙っていたのだ、トリオの攻撃を崩し、三体まとめて倒せる瞬間を。

「おらおらおらおら!」

「…」

「(お前ら!こうなったら、逃げ場のない、あの攻撃を仕掛けるぞ!)」

トリオは、ユキを仕留める為、前と斜め後ろから攻撃を仕掛け、ユキの逃げ場をなくし、かつ勝てると思い、剣や斧で振った。

だが、その攻撃も、ユキは瞬間移動で避けてみせた。むしろ、このタイミングこそ、ユキが待っていた瞬間だった。

ユキが瞬間移動で目の前から消え、ぶつかるトリオ。

そしてその後ろから、ユキは魔力を剣に込め、トリオまとめて、吹っ飛ばした。

「なっ!」

「しまっ!」

「ハァーア!」

吹っ飛ばされたトリオは、木に思いっきりぶつかり、倒れ、三体共に白い光に包まれ消滅した。

「そん、な…」

「バカな…」

「…」

「中々やるな。正直ここまでとはな。驚いているよ」

「余裕そうだけど、次は君だよ。レイ」

「まあ、この場にいる以上、相手をしてやろう」

レイは剣を出現させた。

「だが」

「?」

「正直俺は、君に勝てるなんて思っていない」

「ならどうする。また封印されてくれるの」

「それは断る。まあ、せいぜい抗うだけさ」

「…」

ユキとレイは、集中した。

一瞬の隙させ与えない構え、そして、極限までの集中。

そして、タイミングが重なり、二人は相手を斬る為、全速力で向かっていった。

「っ!」

二人の攻撃の重荷に、空気や地面が、激しく動いた。風なら強風が吹き、地面なら大地が割れる程に。

そしてユキは、レイの体制を崩す為、剣を弾いて、レイの足に蹴り技をくらわせ、体制が崩れた。

体制が崩れた所を、ユキは逃さずもう一度蹴り技をくらわせ、レイを蹴り飛ばした。

「ハァ!」

「ウッ!」

「…」

「ふん、やはりお前は強いな。だが、これはどうかな!」

レイは体制を戻し、高速でユキの周囲を移動した。

目で負えないユキを仕留める作戦だったが、ユキには、その動きが見えていた。

そうとは知らずレイは、ユキの後ろへと移動し、ユキに剣を振るった。

だが、その攻撃も、ユキに簡単に止められてしまう。

「なっ!」

「んっ、っ!」

ユキは攻撃を防ぎ、レイは距離をとった。

「まさか、ここまでやるとはな」

「…」

「とても驚いているよ」

「君、何か隠してない」

「!?」

「やっぱりか、さっきから君の攻撃には、ボクを倒すという意思が感じられなかった。多分だけど、それは、君に奥の手があるから、そうじゃないの」

「ふふふ、なんだ、バレていたのか。なら、今更隠しておく必要はないな」

「んっ」

「ハァーーーーア!」

レイは、覚醒とは違うが、レイの中での進化を遂げた。

その姿は、魔物の姿から、人の姿に変わり、魔力量も格段に上がっていた。

「どうだ。これが俺の切り札さ」

「それが真の姿、君の本気の力か」

「その通り、手始めに、これはどうかな」

「…!」

レイはユキの間合いに入り、ユキを魔法で吹っ飛ばした。

「は、ハハ!ハーハッハッハ。あれ程の実力者をこうも簡単に、やはり、俺は強かったんだな。さっきまでは、正直この進化の為の時間稼ぎだったが、完成体ではないとは言え、この力、殺してしまったかな」

レイは吹っ飛ばされたユキの元まで行く。

「……ん?」

だがそこで、ある異変に気づいた。

「ヤツがいない」

吹っ飛ばしたはずの所に、ユキの姿がなかった。

「まさか(骨も残らない程の攻撃だったのか?いやしかし、あれ程の強者が、一体どうなって…)」

「ボクはここだよ」

「!?」

ユキは、レイの後ろの方にいた。

「貴様、いつからそこに。それに、なぜ致命傷を負っていない」

「そりゃあ、ボクにも切り札があったからだよ」

「切り札だと」

「あぁ」

ユキは静かに集中し、白髪に赤い瞳の、覚醒状態へと入った。

「なっ!なんだその姿は」

「悪いけど、すぐ終わらせるよ」

「っ!髪色や眼が変わった所で!」

レイがまたユキに魔力による攻撃を仕掛けようとした瞬間、今度はユキがレイの間合いに入り、技をぶつけた。

「神道流奥義、神道」

「!?」

「っ!」

「!?そんな!バカなーーー!」

レイは、奥義神道で斬られ、消滅した。

ユキは、サオリやサキの流派である神道流を、使ったことはなかったが、サオリが奥義である神道を使ったことがあるのを、過去に一度見ていた為、見よう見まねかつ、初めてだったが、剣術に才能があったユキだったからこそ、使うことに成功したのだ。

「ハァ、ハァ…ふぅ、サオリちゃんやサキちゃんは凄いな。まさかこんなに消耗するなんて、見よう見まねでやってみたけど、何とかなったし、良かった。…あとはダリムだけ、頼んだよ、アスタ」
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