蒼き英雄

雨宮結城

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最終章 The Future

Part2

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アスタとユキは、サムたちが住んでいる宿で、話を聞いた。

「それで、ダリム達は、どんな能力を持っているんだ?」

「その事だが、先に謝っておく。すまない」

「え?」

「情報、と言っても、我々の前で、ヤツら能力を使っていない、なので、どんな能力をもっているかは、まだ分からないんだ」

「…そうか…」

「ただ言えるのは、ヤツらは五人いて、三人は、貴方様方なら、特に問題はないでしょう。でも、残り二人である、リーダーダリムと、レイという魔物が、特に強い魔力を感じました。コイツらの情報は、鑑定眼を持っている者に依頼して、近いうちに探ってもらうつもりです。だからそれまでは、ここに身を潜めていてください。ヤツらに見つかり、対策されるのは最も避けたい」

「分かった。じゃあ、ダリムらの情報を得るまでは、ここにいる。ユキから何かあるか?」

「特にないかな。ボクもアスタと残るし。鑑定眼を持っている人が来るまで待つ感じでしょ?」

「あぁ、じゃあ悪いが、ここに住まわせてくれるか」

「それはもちろんです。宿で申し訳ありませんが、居心地はそんなに悪くはありませんので」

「うん」

アスタとユキは、鑑定眼を持った者が、ダリムらの情報を集めるまでは、サムたちがいる宿で泊まることとなった。

そして、同じ部屋になったアスタとユキは、この世界に来て初めて、部屋で会話をした。

「なんだが、思っていたのと、違ったね。アスタ」

「うん、考えれば当たり前かもしれないけど、ソウルワールドやスレイヤーがいる次元が平和でも、他が平和とは限らないんだな」

「スレイヤーちゃんとの戦いで、全部終わったと思っていたけど」

「あぁ、この世界の様に、魔物が封印されていて、それが解き放たれた次元があるってことだからな」

「うん…」

「…」

「どうしたのアスタ?」

「このままここにいるのも、なんだし、そこら辺の森にでも行こっかなと思ってな」

「でも…」

「…ここは城から最も遠い村だ、それに森なら、ヤツらにも見つからないさ」

「そっか」

「ユキも来てくれないか?」

「うん、良いけど。何をするの?」

「ちょっと手合わせを」

「…うん、分かった」

そう話を終えたアスタは、サムの所に行き、近くの森に行っても大丈夫か聞いた。サムからは、森ならば大丈夫だろうと言うことで、許可をもらい。

アスタとユキは森に向かった。

「…森、なんか思い出すな」

「フェイ君との事?」

「あぁ、フェイと二人で森に集まって訓練してたのを思い出すよ」

「…ホントに、親友同士だったんだね」

「うん」

アスタ達が歩いていると、先約がいた。

奥の方を見ると、騎士の格好をした一人の少女が、剣を振り、一人特訓していた。

「ん?あれ、誰かいるな」

「誰だろうね」

「フッ!フッ!フッ!」

「騎士の格好、サムさん達の仲間かな」

「そうかもね、声かけてみる?」

「フッ!フッ!…ん?」

「あ、こんにちは。邪魔してすまない」

「…いえ、別に、あなた方は、どちら様だ。見ない顔だが」

「あぁ、俺はアスタ。そして…」

「ボクはユキって言います」

「アスタさんにユキさんか、あなた方もここを?」

「あー、もし邪魔じゃなければ、この場所を共有しても大丈夫かな?」

「あぁ、もちろん。ここは私も良く使うが、私が所持している森ではないからな」

「ありがとう。では使わせてもらうよ」

「あぁ」

その少女は、アスタとユキの格好を見て、聞いた。

「あなた方は、将来騎士になるのか?」

「あいや、俺達は剣士だ」

「剣士?」

「あぁ、騎士とは少し違うが、剣で戦う者だ」

「…そうなのか。ちなみにだが、何をしにここへ?」

「ユキと手合わせをしにな」

「手合わせ?」

「あぁ」

アスタとユキは、距離をとり、お互いに構えた。

「手合わせをするのは初めてだけど、よろしくな、ユキ」

「アスタこそ、手加減してよね」

「…手加減してたら、俺が負けちまうよ」

涼しい風が森に吹く中、アスタとユキは、攻める瞬間を狙っていた。

「ッ!ッ!……」

騎士の少女も気になり、アスタとユキの事を、少し離れた距離から見ていた。

「…」

お互いに集中する。

そして。

「…!」

汗が地面に、ポたんと落ちた瞬間。二人は凄まじい速さで攻め込んだ。

「ッ!」

二人の剣が衝突すると、その場の風は、一気に強風へと変わり、風は吹いた。

「!凄い…」

たった一撃だったが、騎士の少女は、その速さと一撃の強さに、思わず驚いた。

「…!」

アスタは、自身の剣に、ユキを吹き飛ばせるだけの魔力を込めた。

「っ!」

ユキも、その魔力を感じ、ユキも同じく魔力を剣に込めた。

お互いに剣に魔力を込め続け、その結果。

あまりの魔力量に、片方が吹っ飛ぶ計画のはずが、吹っ飛んだのは、アスタとユキの両者だった。

「っ!」

吹っ飛びはしたが、二人は体制を崩すことなく、立ったままの状態に抑えた。

「…まさか、お互いに吹っ飛ぶとはな」

「やっぱり、アスタは強いね」

二人がお互いを褒めあっていると。

「す」

「ん?」

「凄い、一体二人は何者なんですか!これほどの力がある者がこの村にいたなんて」

「あー、俺達は」

アスタは、騎士の少女に、アスタとユキがこの世界の人間ではない事を説明した。

「え…、二人は、この世界の人間じゃない?サムさん達に召喚された?」

「あぁ、そんな感じだ」

「そうか…サムさんは」

「…その様子だと、知らなかったんだな」

「あぁ、確かに異世界から召喚できる魔法があるのは知っていたが、まさかホントに実行するとは」

「最初は俺もユキもビックリしたよ。でも、ダリムってヤツは放ってはおけない。だから、協力することにしたんだ」

「…」

「?どうしたの?」

「いや、少し、ううん、結構、悔しくてな」

「…」

「この世界の問題に、あなた方を巻き込んでしまったのもそうだが、私達の世界の問題に、私達が対処できないのが、なんだが情けなくて。ダリムの事を聞いたなら、騎士が一人殺された話は聞いたか?」

「あぁ、サムさんやあなたの仲間が敗れたと」

「私はミサキと言う。その殺された騎士は、私の親友の、ノネの事なんだ」
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