蒼き英雄

雨宮結城

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第四章 ゲーム学校編

Part4

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リタがゲームクリアの為、動いていた時、リアルワールドでは、SM0756、通称スラムがパーティー会場にいる人達に、宣言していた。

「…お姉ちゃんとアスタさん、中々映らないですね」

「そうね、戦っていないのかしら」

ミユキやサオリを含め、パーティー会場の人達、モニターでゲーム世界を見ていた。

モニターを見ていた中、突然スラムがモニターを乗っ取り、パーティー会場にいた人達に話し始めた。

「皆さん、こんにちは」

「ん?なんだ?」

「誰?」

「サオリさん、あれは一体」

「分からない、なんなの」

「私の名前はスラム。Soul Make Onlineの元NPCです。そして、今や世界の管理者です」

「世界の管理?」

疑問に思う人達、でも、スラムはそんな人達を置いてけぼりにし、話を進める。

「私は、この世界の管理にあたって、プレイヤー達にある宣告をしました。それは、Soul Make Onlineに参加している全プレイヤーが、モンスターか私に敗れた時、私の力を使って、生命活動を停止させるというものです」

「!?」

「な、なんだと」

「どういう事だ!」

「止める方法は二つ、最後の一人になるまで生き残るか、私を倒すか。この二つです」

「そんな…お姉ちゃん」

崩れ落ちるミユキ。そんなミユキを心配するサオリ。

「ユキちゃん、アスタ」

「そして、これを聞いてプレイヤー達のヘッドギアを外そうと考えた人達は、止めておいた方がいいですよ。何故なら、そんな行ないが起きれば、その時点で、その人は死にますから」

「なっ!」

「全プレイヤーが解放される条件は、最後の一人になるまで戦うか、私を止めるかのこの二つです。以上で、私のからのお知らせは終わります。それでは」

そう言い残し、モニターを乗っといていたスラムは、姿を消した。

「……ふ、ふざけんな!」

「いやよ、息子を、息子を返して!」

「娘を返せ!」

「……お姉ちゃん」

「…ユキちゃん、アスタ、どうか、生き残って、スラムを倒して」

それを聞いた運営達は、何故スラムというただのNPCが、自我を持ち、宣告したのか、調べていた。

「おい、どうなってんだ」

「分からない、一体どうして」

「NPCが自我を持つなんて、ありえない話だぞ!」

「はい、分かってます」

「ですが…」

「どうした」

「普通に考えれば、誰かがスラムと言うNPCに知識を与えたとしか」

「っ!我々の中にいると言いたいのか。裏切り者が」

「…」

「一体誰が」

運営側は、必死になって、裏切り者を探していた。

〈その頃、Soul Make Onlineでは〉

「っ!」

「ハァ!」

強キャラスタートしたプレイヤー達が、第五階層のボスモンスターへと挑んでいた。

「よしっ!いけるぞ!」

「ガァー!」

「スイッチ!」

「おうよ!」

「グルル」

「ハァー!」

そして、最後にプレイヤーの一人がラストアタックを決め、第五階層のボスモンスターを倒した。

「よっしゃ!」

「やったぜ!」

「経験値がめっちゃ上がったぞ」

「俺もだ!」

「俺らのパーティー、最強なんじゃねーか?」

「そうに決まってる。さて、次は上の階層へ行こうぜ」

「おう!」

強キャラスタートしたプレイヤー達は、更にレベルを上げる為、上の階層へと進んだ。

「それより見たか?あの知らせ」

「あー、何かスラムとか言うヤツのだろ?」

「あぁ、ソイツが出したクエスト」

「あぁ、まさか、クエスト発注者本人が、自分を倒せなんてクエストとはな」

そう、スラムは動画を送ったが、それは、記憶をブロックされた人と、されなかった人に分けて、違う内容の動画を送っていた。

このプレイヤー達が見た動画は、スラムを倒せというクエストを出した動画だった。

「そのクエストやるか?」

「もっとレベル上げした後の方がいいだろ。どんな力を持っているか分からないんだ」

「それもそうか」

〈それらの会話を、物陰から聞いていたスラム〉

「…(彼らは、賢いな。なんの情報も無しに、私に挑む程、バカではないか。なら、君らには試練を与えよう)」

そう言い、スラムが用意した試練。それは。

「…ん?」

「なんだこの音」

「…!」

「…」

「なんだコイツ」

プレイヤー達の前に、突如現れた、ボスクラスのモンスター。

「威圧感がすげーな」

「ああ、だが」

「俺らには敵わないだろ」

そう言い、プレイヤー達はそのモンスターへと挑んだ。

そのモンスターは剣を持った人型で、最初こそ倒せると思うが、戦っていく内に、プレイヤーの戦い方を観察し、成長していくモンスターだった。

「ハァー!」

「!」

「スイッチ!」

「おう!」

プレイヤー二人が、そのモンスターへと攻撃する。

「どりゃあー!」

その攻撃は、人型モンスターに直撃した。

「…」

やられてはいるが、言葉を発さない人型モンスター。

「ふんっ、攻撃なしか!」

「余裕だな!」

最後のトドメをさそうとした時。

「…!」

人型モンスターは剣を持ち、プレイヤー達に襲いかかり、強キャラスタートしたプレイヤー達が、次々と倒されていった。

「うわ!」

「くっ、なんだコイツ」

「急に強くなったぞ」

地面に這いつくばってしまったプレイヤー達。と、そこへ。

「よく頑張ったね。君達」

「!?」

「お前は、スラム」

「君達の戦闘データ、頂いたよ」

「お前、見ていたのか」

「あぁ、君達の戦い方を見て、勉強させてもらったよ」

「くっ」

「さて」

「…俺らをどうする気だ」

「君達の武器や魔力は脅威だからね。悪いが、ここで死んでもらう」

「なっ!」

「安心しなよ、皆が死なない限り、君らも帰れるさ」

「何を言って…くっ!」

「やだ、死にたくなっ!」

「さようなら、プレイヤー諸君」

スラムは、剣を召喚し、その場にいた五名のプレイヤーを殺した。

「ふふ(記憶のブロック。それがあって助かったよ。協力者のお陰だが、記憶をブロックされずに、もし強キャラスタート連中が私に挑めば、私は負けただろう。だが、記憶をブロックした事により、無謀に私に挑むものはいないし、挑んで来ても、それは強キャラスタートじゃない連中、それなら私でも勝てる。だが強キャラスタート連中は、強力な武器と魔力を持っている。そう言ったヤツらは、今みたいにボスクラスを召喚して戦わせればいい。そうして私は成長する、知識も経験もつくからね)」

記憶をブロックと言う、ゲーム本来の醍醐味を、スラムは悪用し、本来楽しむ為のものだったはずが、スラムによってそれが、プレイヤー達にとって不利な状況へと変わってしまった。

「さて、この調子で、私の脅威になりえるヤツらを潰して行くか。…そう言えば、協力者がある事を言っていたな。それも条件に付け加えるか?確か、「アスタというプレイヤーを倒せ」だったかな?」

スラムは協力者に、アスタを倒せというミッションを与えられていた。

そう、この協力者は、アスタの事を知っている人間だった。
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