蒼き英雄

雨宮結城

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第三章

Part9

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「二日程前、姫様やメイド達、そして俺がいつも通りの日々を送っていた時だった」

〈二日前〉

「…ん?」

門番が普段通り見張りをしていた時、ヤツは現れた。

「おいそこのお前、止まれ」

「ん、なんだ」

「貴様、何者だ」

「なあに、ただの人間だよ」

「何故ここに来た」

「いやなに、ここに姫様がいると聞いてな」

カインは城に来る前、第二十階層にいる人達に、城には誰がいるのか聞いて廻っていた。

「ところで、お城にいる姫様は、この世界のボスなのか?」

「ボスだと、何を言っている」

「そのままの意味だよ。お城にいる姫様は、そうだな、分かりやすく言うなら、この世界のトップの人間なのか、と言う意味だ」

「姫様はこの世界の秩序を守ってくださっている。お前のような輩を少しでも減らす為にな。お前、観光目的で来た訳ではないだろう」

「…ふっ、なるほど、全てお見通しか」

「怪我をする前に、とっとと去るんだな」

「お気遣い感謝するよ。だが、そう言う訳にはいかないんだ」

カインは今までのおチャラけた表情から、打って変わって門番達を睨みつける鋭い眼光へと変わった。

「!」

門番達は、カインの攻撃的な視線に反応し、手に持っていた槍を強く握り、構えた。

「俺の目的は、この世界の支配だ。邪魔をするヤツは、全員ぶっ倒す。そしてまずは、この城の支配からだな」

「そんな事、させんぞ!」

「ハァー!」

門番の二人は、カインを止めるべく槍をカインに向け。攻撃を仕掛けようとした時、その動きよりも早いスピードで、カインは門番二人の頸を掴み、二人を魔法で眠らせた。

「ウッ、くっ」

「君達は、俺の支配が終わるまで眠っているといい」

「ウッ…」

「…」

「…さて、行くか」

〈お城にて〉

「…」

警護中だが、落ち着いているユウヤ。お城では、ミレイユ姫をはじめ、メイド達が楽しく話していた。その中に、当然カオリもいた。

「…?」

ユウヤが落ち着いて警護してる中、突然お城のドアが開いた。この日、ミレイユ姫の警護をしていたユウヤは、警戒した。なぜなら、この日、ミレイユ姫と会う予定の人物はいないからだ。

それともう一つ、お城に入ってきたカインの魔力の感じが、悪の感じだったからだ。

「…」

中に入ってきたカイン。そのカインの前に、警護をしていたユウヤが立つ。

「誰だ、お前」

「?どちら様ですか?」

ミレイユ姫も反応し、声を掛ける。

「姫様って言うのは、アナタか?」

「そうですが、アナタは一体」

「申し遅れた。俺の名はカイン。姫様、アナタに用があって来た」

「私に?」

「あぁ」

カインは目の前に立っていたユウヤを無視し、ミレイユ姫の元へと行こうとしたが、そんなカインを、ユウヤは警護中と言う事もあり、カインを止めた。

「おい、止まれ」

「…なんだい、剣士君」

「なんだいじゃねえ、さっきから俺様を無視しやがって。カインとか言ったな。一体何の用で来た。事と次第によっては、お前を斬る」

「そうか、君もさっきのヤツらと同じ考えか」

「何?…!お前、門番に何をした」

ユウヤはこの時点で、カインが危険人物という事を確定し、カインに向け剣を振るった。

「ハァ!」

「…」

だが、その攻撃はカインに片手で止められてしまった。

「ンッ、何!?」

「この程度の攻撃じゃ、俺は倒せないよ」

「ンッ、ンー」

何とかしてカインに一撃をいれたいユウヤだったが、それは叶わず、ユウヤはカインにある魔法をかけられてしまう。

「フンッ、ハァ!」

「ンッ。なんだ、コレ」

カインがユウヤに仕掛けた魔法は、重力魔法だった。

「ンッ、ンー!」

「君はそこで大人しくしていてくれ」

「くっ、貴様」

「…さて、姫様に会えた訳だが(ここからどうするか、ゲータを倒したヤツと会って戦いたいが、もし姫様がソイツを知らなかったら)」

「アナタは、何がしたいのですか」

「俺の目的は、この世界の支配だ。だがホントにしたい事は、ゲータを倒したヤツと会って、戦いたいのさ。ここに来れば、ゲータを倒したヤツの情報が分かると思ったんだがな」

「…」

「(姫様ですら知らない、いや、それはないな。知ってて隠しているのか)」

「…」

「フッ、なら、問おう」

「!?」

問おう、と言ったカインの言葉。その言葉が発せられた瞬間、言葉からの魔力の反応に、ミレイユ姫は感じとり、警戒した。

「この中に、ゲータを倒したヤツと、少しでも一緒にいた者はいるか」

「!?(これは)」

「はい」

「(しまった!)」

「(あれ、口が勝手に)」

カインの魔法に反応してしまったのは、カオリだった。ミレイユ姫は、アスタの名前は知っていたが、会ったことはない為、反応しなかったのだ。
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