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十月『蹴鞠童』
その三
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譚を読み解く、とは言っても肝心の座敷童子を目にしていない以上、双子はどこから手を打つべきか分からない。分からないが、それを三八に相談したところで彼が易々と解を示すはずもなく。じゃあどうしようかと相談しあってウンウン唸りながらひねり出した苦肉の策が、座敷童子をおびき寄せる罠であった。
「作っといてなんだけど、これで釣れるのか?」
訝る世助に、唯助は
「さあな。でも他に思いつくこともないんだし、賭けるしかないよ」
と、返しながら、菓子屋で買ってきた羊羹を卓に配置した。五歳の子ほどの体格をした座敷童子が卓上の羊羹を取るには、まず近くの椅子に登らなくてはいけない。その椅子の周りに天糸を張り巡らせ、少しでも天糸になにかが触れれば糸に通された鈴がけたたましく鳴る、という仕組みであった。
「子供騙しだよなぁ、これ」
「子供だからいいんだよ」
子供騙しどころか動物を騙せるかも怪しい罠に、座敷童子が都合よくかかってくれるものかと首を捻りたくなる。しかし、駄菓子を食い散らかしたり、羊羹を丸かじりしたり、少なくとも甘い菓子を目の前にして手を出さずにはいられないほどの食いしん坊であることは確実である。
「ひとまずこれで様子を見ようぜ。……その間に」
「『吉次郎』だな」
座敷童子が出た時に必ず伝吉が呼ぶという『吉次郎』という名前。現状、これが座敷童子に一番近づけるであろう手がかりである。…が、問題はその『吉次郎』という名を呼んでいる、伝吉である。
「あの爺ちゃんから聞き出せるかな?」
三八の話では、彼が伝吉と交流し始めたのは十年ほど前かららしい。しかしその三八でさえ、今の伝吉ははっきり認識できず、名前を何度も間違えてしまっている。そんな老人が、果たして『吉次郎』を正確に語ることはできるものなのか。
「さァな。ま、やってみようぜ。無理だったら別の方法を考えるしかねえよ」
世助はそう言って、店先に腰をかけている伝吉を見た。秋の温かな日差しを浴びながら、なにか口をもごもごさせている伝吉は、見ているだけで脱力してしまいそうな様子である。世助は口の開いた風船のようにひゅるんと何かが抜けていくような感じを覚えながら、ゆるゆる日向ぼっこをしている伝吉に話しかける。
「なあ、爺さん」
「あい?」
伝吉はゆっくりと世助の方へ顔を向けた。伸びきった餅のように垂れた頬が、僅かに持ち上がる。
「おれは世助。よーすーけ! ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
「おぉ、世助くんというのかい。なんだぃ?」
「爺さんの言ってる『吉次郎』って、座敷童子のことか?」
「えぇ、座敷童子? 違うよぉ。あの子はまっこと可愛い子だけど、座敷童子なんかじゃぁないんだよ」
世助が吉次郎の名前を出した途端、伝吉は桜の塩漬けが湯の中で開くかのごとく、上機嫌になりながら語り始めた。
「おらよりもおててがちぃちゃくて、ほっぺたも赤くてもちもちしててねぇ。けど、それはそれは悪戯好きな子で、困らせたがりだったんだよ。家の襖に墨でお絵描きしたりなんてしょっちゅうだった。あの子はようくおかあちゃんに叱られてたなぁ」
意外なことに、伝吉は吉次郎のことをすらすら語り始めた。三八と会話していた時に「えぇ」とか「あー」とか言いながら詰まっていたのが嘘のようである。伝吉はなおもふわふわと上機嫌のまま、気持ちよく語り続ける。
「そうそう、あの子は蹴鞠遊びも好きじゃったのお。ちいちゃなころはよく蹴鞠で遊んだ。活発な子で、はきはきしていて。けど、林の中でかくれんぼしながら遊んでて、迷子になっちまった時はそりゃぁもうわあわあ泣いてたなぁ。あの子も随分心細かったろうて」
まるで童子に帰ったかのように、あるいは、しわしわの童子であるかのように、伝吉は吉次郎の様子を臨場感たっぷりに語る。聞いている世助としても、その光景がありありと浮かぶようだ。
「よぉく遊んだけど、でも、なんでか会えなくなっちまったなぁ」
「会えなくなった?」
「あの子はねぇ、ある日突然、いなくなっちまったんだ。家中のどっこを探してもいない。友達の家も、近くの南瓜畑も、林の中も、みぃんな探してもいなかった」
世助は嫌な苦い感触が胸に生じるのを感じながら、伝吉の言葉を待った。
「お爺ちゃーん! 遊びに来たよー!」
そこへ幼げな声が割り込む。振り返ると、まだ小学校に上がったばかりかと思われる子供の姿があった。萎れかけた伝吉の顔色が、また桜が咲くようにぱっと喜色に溢れる。
「おぉ、キイちゃんかい。いらっしゃい」
「また勘違いしてる! ユイだよ、お爺ちゃん! キイは私のお母さんだよー」
「おぉそうかい、そうかい。よぉく来たねぇ~」
近所の子供であろうか、それとも店の常連なのか、ユイという少女は伝吉に名前を間違えられるのもお決まりだとばかりに返し、とりあえずといった感じで間違いを修正する。間違われることは気にもしていないようだ。
「そのお兄ちゃんは? お爺ちゃんの知り合い?」
ユイは見慣れない茶髪の世助を見ながら、伝吉に問う。
「うん? あぁ、えぇと。誰だっけねえ、この子は。与太郎くんだったかな?」
「ちげえよ、爺さん。世助だよ。『よ』しか合ってねえ」
あぁ、やっぱりおれも間違われたか、と世助は内心で若干呆れつつも、そうまで気分を害したりはしなかった。目の前の老人は決して悪気などないし、なによりこのしわしわのお気楽そうな顔で言われれば、毒気もあっさり抜かれるというものだ。実際、世助も顔を顰めたりはせず、寧ろ少し笑ってしまっている。
「あとでさっちゃんとみーこも来るから、待っててねーって! 絵本見てていい?」
「おぉ、いいよいいよ、ゆっくりしてお行き」
それを離れた場所から見ていた唯助は、隣にいた佳孝に尋ねた。
「あの子は?」
「時々うちにやってくるんですよ。近くに小学校があるものですから、ちょうどいい待ち合わせ場所や遊び場になるみたいで」
「へえ」
言われてみれば、と唯助は店の外へ目を向ける。賑やかになってきた通りは、確かに先ほどからよく子供が横切っていくし、聞こえてくる声も無邪気で幼げなものが多かった。
「あわよくば、たまに本を読んでくれるあの子たちが親に本を強請ってくれるとありがたいんですけどねぇ」
さすがに邪ですか、と佳孝は頭を掻いている。譚本がなかなか売れないこのご時世、そんなことを考えてしまうのも仕方ないだろう――否、絵譚本を扱う商売人としては尤もな考え方である。そこで唯助ははた、と気づいた。
「そういえば、ここって見料は取らないんですか?」
――唯助のこの疑問を議論するにあたっては、前提としてこの世界における貸本店と、それ以外の書店について説明しなくてはならない。まず、唯助が働く七本屋などの『貸本店』において、客には手にとったその本を読む際に『見料』を支払う義務が生じる。この理由は勿論、貸本店は本を貸すこと自体が商売であり、タダ読みをされては商売が成り立たないからである。対して、草村堂などの『古本店』は、言うなれば本専門の骨董屋のようなものだ。料金が発生するのは客が本を手元に購入する時であって、手にとって見るだけであればそれは発生しない。――原則としては、そうなのだ。しかし、譚本が憂き目を見るこのご時世、譚本を扱う商売人にとってこの原則は酷なものであった。なので、ここ棚葉町には五年以上前から、『扱う本の八割以上が譚本の書店は、貸本店か否かにかかわらず、本を読もうとした時点で客に見料を請求できる』という条例が存在するのである。
その前提を踏まえると、扱う本の大半が譚本である草村堂にも当然、客に対して見料を請求できる権利が発生するわけだが、伝吉はユイに対してそれをしないのである。すでに知識として条例を知っていた唯助は、そこを疑問ととらえたのだ。
「そうなんです。譚本を遠ざけるこのご時世だからこそ、誰にでも読めるように譚本を提供するというのが親父の信条でして。条例が施行し始めてからも、うちはずっと見料を取っていないんです」
なるほど、と唯助は納得した。納得したのは、伝吉の信条に対してというよりも、伝吉と三八の関係性についてである。譚を人々から離れさせまいと、昔から無料で譚を供し続けている伝吉。譚を愛し、人々の手から離れることを嘆いている三八。道理で気が合うはずだ。
「伝吉さんは条例が出た頃はまだはっきりしてたんですか?」
「はっきりしていましたよ。元々その傾向はありましたが、今みたいに人の名前を間違えるようになったのは去年くらいですね」
ならば見料を取り忘れているというわけではなく、本当に見料を取らない方針なのだろう。座敷童子の出現と伝吉がボケ始めた時期にはズレがあるので、今回の譚に関連性があるかどうかは微妙なところかもしれない、と唯助は思考する。
しばらく絵譚本の置いてある一角をうろうろしていたユイは、
「あれ……? ねえ、おじさん。『おひさまぷかぷか』はどこに行ったの? ここらへんに置いてあったのに……」
と佳孝に尋ねた。お気に入りの本の位置まで覚えているのを見るに、どうやらユイは頻繁に来ている常連客と見て間違いなさそうである。
「あぁ、あれは悪戯書きをされて読めなくなっちゃって…可哀想だけど、処分しちゃったんだ」
悪戯書きというのは、座敷童子の悪戯によるものであろうか。ユイはそれを聞くと
「えーひどい! 『おひさまぷかぷか』好きだったのに!」
と、随分大きな声でぶうぶう文句を言い始めた。
「ごめんね、今日は別の本で我慢してもらえるかな?」
「むー分かった」
佳孝に宥められたユイは不満そうに頬を膨らませるが、聞き分けは良かった。文句を言うのをすぐにやめると、再び絵譚本を選ぼうと本棚に視線を移した。
事が起きたのは、まさにその時であった。
「きゃあっ!」
ユイが悲鳴を上げながら、尻もちをついたのである。まるで振り向きざまに誰かと勢いよくぶつかったかのように、あまりに唐突に転んだのだ。
ちりんちりん!
と一つ、鈴の音が響いた。卓の羊羹と共にしかけておいた、鈴の罠である。鈴は一つ目に連鎖して二つ目、三つ目と喧しく鳴り出した。誰もいない卓周りの鈴が四つ、五つと重なって、けたたましく警鐘を鳴らしている。
「ユイちゃん、大丈夫かい?」
勢いよく転んだユイを佳孝が抱き起こす。ユイはぶつけた箇所に痛みを覚えてはいるようだが、しかし、それ以上に、あまりにも衝撃が突然すぎたことによってなのか、泣くことをすっかり忘れ、目をきょろんと見開いている。
双子は互いに目配せをすると、本棚の付近を目を皿にして探った。
「吉次郎! こら、吉次郎!」
伝吉が本棚に向かって叫んだ。弱々しく嗄れた、張りのない老人の声ではあったが、先ほどまでのだらんとした弛みもない。伝吉の張り扇で叩いたような声が店内に響くと、双子はやっと、明確に捉えたのである。――罠にかかった直後は鈴の音に気を取られて捉えられなかった、ぱたぱたという軽い足音であった。硬直しているユイのものでも、増してや現在この店にいる大人たちのものでもない。
動き回る足音の位置を特定しようとさらに耳を澄ませると、次第に子供がけらけら笑う声も聞こえてきた。
「だめだよ、吉次郎! 悪戯しちゃあ!」
伝吉はしきりに、『吉次郎』の名を呼び続ける。世助はもしや、と伝吉の視線を観察した。伝吉は足で歩いて追いかけることはできないにしても、目ではしっかり追従していたのである。世助の『もしや』は、それで確信へと変わった。
「……唯助、そこらへんだ! 右側の奥の棚!」
「え!?」
伝吉の視線の先を読み取った世助がその位置を唯助に知らせる。唯助はその指示通り、店の一番奥にある右側の棚を覗き込んだ。
「いた!」
唯助は、その目ではっきりと捉えた。捉えられたのだ。紺色の着物を着た、ちょうど五歳くらいの童子が騒がしく店内を駆け回っているのを視認したのである。
座敷童子は唯助が「いた」と叫んだことに驚いたようだった。まさか見つかるとは、否、見られるとは思わなかったのだろう。思うわけがない。伝吉は例外だとして、伝吉以外に自分を認識できる人間など、いるはずがないのだから。
「世助、そっちの壁際にいる! 見えるか!?」
「見えた! そいつか!」
そして、唯助と同じ存在である世助もまた、座敷童子を視覚で捉えた。突然慌ただしく店をばたばた動き始めた双子が果たして何をしているのか、何を見ているのか、只人の佳孝やユイには分かる由もない。
「あっ、逃げた!?」
「そっちに回り込め! 隅っこに追い込むぞ!」
座敷童子を二人がかりで捕まえようと、二人が息を合わせたところだった。
「与太郎くん、だめだよ!」
伝吉は今度、名前を呼び間違えながら世助を止めた。構えてもいなかった唐突な伝吉の怒声に、世助は反射的に足を止める。そして以心伝心状態にあった唯助の足もビタッと止まった。
「やめて! 吉次郎をいじめないで!」
「はっ?」
伝吉は『吉次郎』を叱るのをやめ、双子に向かって抗議をしていた。まるで童子のような口調で、二人が捕らえんとしていた『吉次郎』を庇っているのだ。
「親父、何言ってるんだ! あれは座敷童子だろ。いつも悪戯してる奴だよ」
「違う、違うよ! 吉次郎は悪戯したけど、でも、悪い子じゃないよ!」
興奮した伝吉をどうにか抑えようとする佳孝の言葉などまるで意に介さず、伝吉は子供のように喚く。佳孝を押しのけようと身をよじり、既に十分皺だらけの顔の上からさらに皺の数を増やし、泣いているのだ。明らかに異様に泣きわめく伝吉を前に完全に硬直して動けなくなった双子がどうしようか、とお互いへ困り顔を見せた時、ぱんぱんっ! と手を鳴らす音が聞こえた。
「はいはい、やめやめ! 二人ともこっちにおいで」
手を鳴らしながらそう言ったのは、これまで見守るばかりで関与しようともしてこなかった三八である。双子が言われるがまま三八のもとに寄っていくと、三八は両の握り拳を二人の頭上に勢いよく落とした。
「いってェ!?」「いたぁッ!?」
金槌のように振り下ろされた拳は拳骨ほどの痛みはないにしても、二人が同時に頭を押さえてしまうほどの威力はあった。三八は二人を前に腕組みをすると、
「このお馬鹿!」
と、珍しく叱りつけた。
「な、なんでだよ! あとちょっとで座敷童子を捕まえられるところだったんだぞ!」
殴られたのが不服だと言わんばかりに噛み付いた世助だが、その噛みつきは普段よりも威勢に欠けている。それは目の前にいる三八が珍しく怒りを見せているのもあり、予想よりも怒った時の気迫が凄かったからでもあった。
「へえ、捕まえてなにをするんだい?」
「そ、それは……」
「決まってんだろ! 悪戯するんじゃねえって言い聞かせてやるんだ!」
「阿呆」
「ッたあ!?」
唯助が言おうとするよりも前に世助が言い切ると、世助の頭に再び拳が振り下ろされる。痛がる世助を見つつ、唯助は内心(下手なこと言わなくてよかった…)と思った。
「君たち、忘れてないか? 今回の仕事は譚の読み解きだ。禁書の【毒】じゃない。アレは譚の【夢】、譚の断片だよ。自我を持つ【毒】と違って、譚の【夢】はあくまで夢なんだよ。説教なんぞ通用するものか」
「は、はぁ?」
唯助にはまだ辛うじて理解できるが、譚本も禁書もまだ経験が少ない世助は、三八のよく分からぬ物言いに困惑していた。
「そもそも君たち、座敷童子なんて呼んでるんだから、相手が子供なのは分かっているだろう。自分よりも大きい男二人にドタドタ追いかけられたら怖がるに決まっているじゃないか。譚の読み解きなんぞできるわけなかろう」
「うっ」
唯助は太い杭のようなもので胸をぐっさり突かれたような錯覚がした。五月の頃は幼女を泣かせた三八を自分が叱りつけていたのに、今は童子を追いかけ回したことを三八に叱られているこの状況、皮肉と言わずしてなんと言うべきなのか。三八はそんなこと知ったこっちゃないといった様子で二人に説教垂れた。
「譚の読み解きって言うのは、譚の『有様』を読み解くということだよ。そこらへんちゃんと踏まえないと、譚は解せないからね」
三八はそこまで言い切ると、ようやくひと息ついた。
「今日はもう無理だ。座敷童子は君たちに応じてはくれんだろう。帰るぞ、店の仕事を音音に任せてしまっているからね」
かくして、座敷童子の読み解き一日目は失敗に終わったのであるが、事態が急展開を迎えたのは、この日から僅か二日後のことである。
「作っといてなんだけど、これで釣れるのか?」
訝る世助に、唯助は
「さあな。でも他に思いつくこともないんだし、賭けるしかないよ」
と、返しながら、菓子屋で買ってきた羊羹を卓に配置した。五歳の子ほどの体格をした座敷童子が卓上の羊羹を取るには、まず近くの椅子に登らなくてはいけない。その椅子の周りに天糸を張り巡らせ、少しでも天糸になにかが触れれば糸に通された鈴がけたたましく鳴る、という仕組みであった。
「子供騙しだよなぁ、これ」
「子供だからいいんだよ」
子供騙しどころか動物を騙せるかも怪しい罠に、座敷童子が都合よくかかってくれるものかと首を捻りたくなる。しかし、駄菓子を食い散らかしたり、羊羹を丸かじりしたり、少なくとも甘い菓子を目の前にして手を出さずにはいられないほどの食いしん坊であることは確実である。
「ひとまずこれで様子を見ようぜ。……その間に」
「『吉次郎』だな」
座敷童子が出た時に必ず伝吉が呼ぶという『吉次郎』という名前。現状、これが座敷童子に一番近づけるであろう手がかりである。…が、問題はその『吉次郎』という名を呼んでいる、伝吉である。
「あの爺ちゃんから聞き出せるかな?」
三八の話では、彼が伝吉と交流し始めたのは十年ほど前かららしい。しかしその三八でさえ、今の伝吉ははっきり認識できず、名前を何度も間違えてしまっている。そんな老人が、果たして『吉次郎』を正確に語ることはできるものなのか。
「さァな。ま、やってみようぜ。無理だったら別の方法を考えるしかねえよ」
世助はそう言って、店先に腰をかけている伝吉を見た。秋の温かな日差しを浴びながら、なにか口をもごもごさせている伝吉は、見ているだけで脱力してしまいそうな様子である。世助は口の開いた風船のようにひゅるんと何かが抜けていくような感じを覚えながら、ゆるゆる日向ぼっこをしている伝吉に話しかける。
「なあ、爺さん」
「あい?」
伝吉はゆっくりと世助の方へ顔を向けた。伸びきった餅のように垂れた頬が、僅かに持ち上がる。
「おれは世助。よーすーけ! ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
「おぉ、世助くんというのかい。なんだぃ?」
「爺さんの言ってる『吉次郎』って、座敷童子のことか?」
「えぇ、座敷童子? 違うよぉ。あの子はまっこと可愛い子だけど、座敷童子なんかじゃぁないんだよ」
世助が吉次郎の名前を出した途端、伝吉は桜の塩漬けが湯の中で開くかのごとく、上機嫌になりながら語り始めた。
「おらよりもおててがちぃちゃくて、ほっぺたも赤くてもちもちしててねぇ。けど、それはそれは悪戯好きな子で、困らせたがりだったんだよ。家の襖に墨でお絵描きしたりなんてしょっちゅうだった。あの子はようくおかあちゃんに叱られてたなぁ」
意外なことに、伝吉は吉次郎のことをすらすら語り始めた。三八と会話していた時に「えぇ」とか「あー」とか言いながら詰まっていたのが嘘のようである。伝吉はなおもふわふわと上機嫌のまま、気持ちよく語り続ける。
「そうそう、あの子は蹴鞠遊びも好きじゃったのお。ちいちゃなころはよく蹴鞠で遊んだ。活発な子で、はきはきしていて。けど、林の中でかくれんぼしながら遊んでて、迷子になっちまった時はそりゃぁもうわあわあ泣いてたなぁ。あの子も随分心細かったろうて」
まるで童子に帰ったかのように、あるいは、しわしわの童子であるかのように、伝吉は吉次郎の様子を臨場感たっぷりに語る。聞いている世助としても、その光景がありありと浮かぶようだ。
「よぉく遊んだけど、でも、なんでか会えなくなっちまったなぁ」
「会えなくなった?」
「あの子はねぇ、ある日突然、いなくなっちまったんだ。家中のどっこを探してもいない。友達の家も、近くの南瓜畑も、林の中も、みぃんな探してもいなかった」
世助は嫌な苦い感触が胸に生じるのを感じながら、伝吉の言葉を待った。
「お爺ちゃーん! 遊びに来たよー!」
そこへ幼げな声が割り込む。振り返ると、まだ小学校に上がったばかりかと思われる子供の姿があった。萎れかけた伝吉の顔色が、また桜が咲くようにぱっと喜色に溢れる。
「おぉ、キイちゃんかい。いらっしゃい」
「また勘違いしてる! ユイだよ、お爺ちゃん! キイは私のお母さんだよー」
「おぉそうかい、そうかい。よぉく来たねぇ~」
近所の子供であろうか、それとも店の常連なのか、ユイという少女は伝吉に名前を間違えられるのもお決まりだとばかりに返し、とりあえずといった感じで間違いを修正する。間違われることは気にもしていないようだ。
「そのお兄ちゃんは? お爺ちゃんの知り合い?」
ユイは見慣れない茶髪の世助を見ながら、伝吉に問う。
「うん? あぁ、えぇと。誰だっけねえ、この子は。与太郎くんだったかな?」
「ちげえよ、爺さん。世助だよ。『よ』しか合ってねえ」
あぁ、やっぱりおれも間違われたか、と世助は内心で若干呆れつつも、そうまで気分を害したりはしなかった。目の前の老人は決して悪気などないし、なによりこのしわしわのお気楽そうな顔で言われれば、毒気もあっさり抜かれるというものだ。実際、世助も顔を顰めたりはせず、寧ろ少し笑ってしまっている。
「あとでさっちゃんとみーこも来るから、待っててねーって! 絵本見てていい?」
「おぉ、いいよいいよ、ゆっくりしてお行き」
それを離れた場所から見ていた唯助は、隣にいた佳孝に尋ねた。
「あの子は?」
「時々うちにやってくるんですよ。近くに小学校があるものですから、ちょうどいい待ち合わせ場所や遊び場になるみたいで」
「へえ」
言われてみれば、と唯助は店の外へ目を向ける。賑やかになってきた通りは、確かに先ほどからよく子供が横切っていくし、聞こえてくる声も無邪気で幼げなものが多かった。
「あわよくば、たまに本を読んでくれるあの子たちが親に本を強請ってくれるとありがたいんですけどねぇ」
さすがに邪ですか、と佳孝は頭を掻いている。譚本がなかなか売れないこのご時世、そんなことを考えてしまうのも仕方ないだろう――否、絵譚本を扱う商売人としては尤もな考え方である。そこで唯助ははた、と気づいた。
「そういえば、ここって見料は取らないんですか?」
――唯助のこの疑問を議論するにあたっては、前提としてこの世界における貸本店と、それ以外の書店について説明しなくてはならない。まず、唯助が働く七本屋などの『貸本店』において、客には手にとったその本を読む際に『見料』を支払う義務が生じる。この理由は勿論、貸本店は本を貸すこと自体が商売であり、タダ読みをされては商売が成り立たないからである。対して、草村堂などの『古本店』は、言うなれば本専門の骨董屋のようなものだ。料金が発生するのは客が本を手元に購入する時であって、手にとって見るだけであればそれは発生しない。――原則としては、そうなのだ。しかし、譚本が憂き目を見るこのご時世、譚本を扱う商売人にとってこの原則は酷なものであった。なので、ここ棚葉町には五年以上前から、『扱う本の八割以上が譚本の書店は、貸本店か否かにかかわらず、本を読もうとした時点で客に見料を請求できる』という条例が存在するのである。
その前提を踏まえると、扱う本の大半が譚本である草村堂にも当然、客に対して見料を請求できる権利が発生するわけだが、伝吉はユイに対してそれをしないのである。すでに知識として条例を知っていた唯助は、そこを疑問ととらえたのだ。
「そうなんです。譚本を遠ざけるこのご時世だからこそ、誰にでも読めるように譚本を提供するというのが親父の信条でして。条例が施行し始めてからも、うちはずっと見料を取っていないんです」
なるほど、と唯助は納得した。納得したのは、伝吉の信条に対してというよりも、伝吉と三八の関係性についてである。譚を人々から離れさせまいと、昔から無料で譚を供し続けている伝吉。譚を愛し、人々の手から離れることを嘆いている三八。道理で気が合うはずだ。
「伝吉さんは条例が出た頃はまだはっきりしてたんですか?」
「はっきりしていましたよ。元々その傾向はありましたが、今みたいに人の名前を間違えるようになったのは去年くらいですね」
ならば見料を取り忘れているというわけではなく、本当に見料を取らない方針なのだろう。座敷童子の出現と伝吉がボケ始めた時期にはズレがあるので、今回の譚に関連性があるかどうかは微妙なところかもしれない、と唯助は思考する。
しばらく絵譚本の置いてある一角をうろうろしていたユイは、
「あれ……? ねえ、おじさん。『おひさまぷかぷか』はどこに行ったの? ここらへんに置いてあったのに……」
と佳孝に尋ねた。お気に入りの本の位置まで覚えているのを見るに、どうやらユイは頻繁に来ている常連客と見て間違いなさそうである。
「あぁ、あれは悪戯書きをされて読めなくなっちゃって…可哀想だけど、処分しちゃったんだ」
悪戯書きというのは、座敷童子の悪戯によるものであろうか。ユイはそれを聞くと
「えーひどい! 『おひさまぷかぷか』好きだったのに!」
と、随分大きな声でぶうぶう文句を言い始めた。
「ごめんね、今日は別の本で我慢してもらえるかな?」
「むー分かった」
佳孝に宥められたユイは不満そうに頬を膨らませるが、聞き分けは良かった。文句を言うのをすぐにやめると、再び絵譚本を選ぼうと本棚に視線を移した。
事が起きたのは、まさにその時であった。
「きゃあっ!」
ユイが悲鳴を上げながら、尻もちをついたのである。まるで振り向きざまに誰かと勢いよくぶつかったかのように、あまりに唐突に転んだのだ。
ちりんちりん!
と一つ、鈴の音が響いた。卓の羊羹と共にしかけておいた、鈴の罠である。鈴は一つ目に連鎖して二つ目、三つ目と喧しく鳴り出した。誰もいない卓周りの鈴が四つ、五つと重なって、けたたましく警鐘を鳴らしている。
「ユイちゃん、大丈夫かい?」
勢いよく転んだユイを佳孝が抱き起こす。ユイはぶつけた箇所に痛みを覚えてはいるようだが、しかし、それ以上に、あまりにも衝撃が突然すぎたことによってなのか、泣くことをすっかり忘れ、目をきょろんと見開いている。
双子は互いに目配せをすると、本棚の付近を目を皿にして探った。
「吉次郎! こら、吉次郎!」
伝吉が本棚に向かって叫んだ。弱々しく嗄れた、張りのない老人の声ではあったが、先ほどまでのだらんとした弛みもない。伝吉の張り扇で叩いたような声が店内に響くと、双子はやっと、明確に捉えたのである。――罠にかかった直後は鈴の音に気を取られて捉えられなかった、ぱたぱたという軽い足音であった。硬直しているユイのものでも、増してや現在この店にいる大人たちのものでもない。
動き回る足音の位置を特定しようとさらに耳を澄ませると、次第に子供がけらけら笑う声も聞こえてきた。
「だめだよ、吉次郎! 悪戯しちゃあ!」
伝吉はしきりに、『吉次郎』の名を呼び続ける。世助はもしや、と伝吉の視線を観察した。伝吉は足で歩いて追いかけることはできないにしても、目ではしっかり追従していたのである。世助の『もしや』は、それで確信へと変わった。
「……唯助、そこらへんだ! 右側の奥の棚!」
「え!?」
伝吉の視線の先を読み取った世助がその位置を唯助に知らせる。唯助はその指示通り、店の一番奥にある右側の棚を覗き込んだ。
「いた!」
唯助は、その目ではっきりと捉えた。捉えられたのだ。紺色の着物を着た、ちょうど五歳くらいの童子が騒がしく店内を駆け回っているのを視認したのである。
座敷童子は唯助が「いた」と叫んだことに驚いたようだった。まさか見つかるとは、否、見られるとは思わなかったのだろう。思うわけがない。伝吉は例外だとして、伝吉以外に自分を認識できる人間など、いるはずがないのだから。
「世助、そっちの壁際にいる! 見えるか!?」
「見えた! そいつか!」
そして、唯助と同じ存在である世助もまた、座敷童子を視覚で捉えた。突然慌ただしく店をばたばた動き始めた双子が果たして何をしているのか、何を見ているのか、只人の佳孝やユイには分かる由もない。
「あっ、逃げた!?」
「そっちに回り込め! 隅っこに追い込むぞ!」
座敷童子を二人がかりで捕まえようと、二人が息を合わせたところだった。
「与太郎くん、だめだよ!」
伝吉は今度、名前を呼び間違えながら世助を止めた。構えてもいなかった唐突な伝吉の怒声に、世助は反射的に足を止める。そして以心伝心状態にあった唯助の足もビタッと止まった。
「やめて! 吉次郎をいじめないで!」
「はっ?」
伝吉は『吉次郎』を叱るのをやめ、双子に向かって抗議をしていた。まるで童子のような口調で、二人が捕らえんとしていた『吉次郎』を庇っているのだ。
「親父、何言ってるんだ! あれは座敷童子だろ。いつも悪戯してる奴だよ」
「違う、違うよ! 吉次郎は悪戯したけど、でも、悪い子じゃないよ!」
興奮した伝吉をどうにか抑えようとする佳孝の言葉などまるで意に介さず、伝吉は子供のように喚く。佳孝を押しのけようと身をよじり、既に十分皺だらけの顔の上からさらに皺の数を増やし、泣いているのだ。明らかに異様に泣きわめく伝吉を前に完全に硬直して動けなくなった双子がどうしようか、とお互いへ困り顔を見せた時、ぱんぱんっ! と手を鳴らす音が聞こえた。
「はいはい、やめやめ! 二人ともこっちにおいで」
手を鳴らしながらそう言ったのは、これまで見守るばかりで関与しようともしてこなかった三八である。双子が言われるがまま三八のもとに寄っていくと、三八は両の握り拳を二人の頭上に勢いよく落とした。
「いってェ!?」「いたぁッ!?」
金槌のように振り下ろされた拳は拳骨ほどの痛みはないにしても、二人が同時に頭を押さえてしまうほどの威力はあった。三八は二人を前に腕組みをすると、
「このお馬鹿!」
と、珍しく叱りつけた。
「な、なんでだよ! あとちょっとで座敷童子を捕まえられるところだったんだぞ!」
殴られたのが不服だと言わんばかりに噛み付いた世助だが、その噛みつきは普段よりも威勢に欠けている。それは目の前にいる三八が珍しく怒りを見せているのもあり、予想よりも怒った時の気迫が凄かったからでもあった。
「へえ、捕まえてなにをするんだい?」
「そ、それは……」
「決まってんだろ! 悪戯するんじゃねえって言い聞かせてやるんだ!」
「阿呆」
「ッたあ!?」
唯助が言おうとするよりも前に世助が言い切ると、世助の頭に再び拳が振り下ろされる。痛がる世助を見つつ、唯助は内心(下手なこと言わなくてよかった…)と思った。
「君たち、忘れてないか? 今回の仕事は譚の読み解きだ。禁書の【毒】じゃない。アレは譚の【夢】、譚の断片だよ。自我を持つ【毒】と違って、譚の【夢】はあくまで夢なんだよ。説教なんぞ通用するものか」
「は、はぁ?」
唯助にはまだ辛うじて理解できるが、譚本も禁書もまだ経験が少ない世助は、三八のよく分からぬ物言いに困惑していた。
「そもそも君たち、座敷童子なんて呼んでるんだから、相手が子供なのは分かっているだろう。自分よりも大きい男二人にドタドタ追いかけられたら怖がるに決まっているじゃないか。譚の読み解きなんぞできるわけなかろう」
「うっ」
唯助は太い杭のようなもので胸をぐっさり突かれたような錯覚がした。五月の頃は幼女を泣かせた三八を自分が叱りつけていたのに、今は童子を追いかけ回したことを三八に叱られているこの状況、皮肉と言わずしてなんと言うべきなのか。三八はそんなこと知ったこっちゃないといった様子で二人に説教垂れた。
「譚の読み解きって言うのは、譚の『有様』を読み解くということだよ。そこらへんちゃんと踏まえないと、譚は解せないからね」
三八はそこまで言い切ると、ようやくひと息ついた。
「今日はもう無理だ。座敷童子は君たちに応じてはくれんだろう。帰るぞ、店の仕事を音音に任せてしまっているからね」
かくして、座敷童子の読み解き一日目は失敗に終わったのであるが、事態が急展開を迎えたのは、この日から僅か二日後のことである。
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