前世 弟と喧嘩別れしたので、今世は弟を大切にしまくります！

喧嘩⋯

『ねぇ、パパ！明日 本屋さんに行きたい！』
『あぁ、いいぞ。明日行こうな。ほら、約束』

「って昨日 言ってたのにパパのバカ！」
「ごめんな、シルファ。今日用事があるのを忘れてて⋯」

パパは私に謝ってくれる。
⋯でも昨日 約束したのに。

「シルファ、本当にごめん。また時間ができたら一緒に行こう！な？」
「じゃあ、明日」
「悪いな、明日は⋯」
「⋯⋯パパなんてきらい！」

そのまま玄関の方へ走り出す。
そして、ドアを開け外へ出た。

「何処に行くんだ！シルファ！」
「シルファ！」

パパとママが私を大声で呼ぶがその声にも耳を傾けずに私は家を出て行った。


外に出て外の空気を浴び、だんだんと冷静になる。

はぁ、何でこんなことしたんだろう。
パパにも用事があるってしょうがないことなのに。
本屋さんぐらいまたいつでも行けばいいのに。
この身体に入って私の意識まで幼くなってるのかなぁ⋯。

私は頭を冷やされ、さっきした行動を後悔が襲う。

⋯帰ろ。

来た道を戻ろうと踵を返したときだった。

「あれ？シルファちゃん？」

誰かに名前を呼ばれて振り向く。

「カロナさん」

カロナさんが両手に買い物をしてたであろう、沢山の袋を持って私の後ろに立っていた。

「どうして、1人でこんなところにいるの？ケイル⋯パパかママは？」
「その⋯パパとけんかしちゃって⋯。って言っても私が一方的に家を飛び出しちゃっただけだけど⋯」
「そうなのね」
「うん、でも全部私が悪かったから今から家に戻ろうと⋯」
「なるほど。シルファちゃんはいい子ね。でもそんなに自分を責めることはないわ。よし、ちょっと私の家に来なさい！気分転換よ」
「っえ？」

カロナさんはそう言い、荷物を全て片手に持ち替え空いた片方の手で私を抱き上げた。
⋯すごい。

そのまま何処かへと向かう。


「着いたわよ」
「わぁ」

前を見ると、私の家よりも少し小さい綺麗な家があった。

カロナさんはドアの取っ手に手をかけ開ける。

中を見渡すと廊下が少し続いていて、カロナさんは私を抱えたままその廊下を渡る。
廊下の先の部屋は広くてキッチンやソファがあった。
私はソファの上で降ろされた。

「ちょっと待っててね。シルファちゃん」

カロナさんはそう言いキッチンへ向かい何かを作り始めた。

コトコトと何かを切る音が聞こえる。

「シルファちゃん、パパと何があったの?」
「実はパパと一緒に今日本屋さんに行こうって約束をして。でも、パパが今日は用事があるからやっぱり無理って言って、明日も行くの無理って⋯」

カロナさんは相槌をうちながら、私の話しを聞いてくれる。

「それで、ついカッとなってパパにきらいって言っちゃって⋯。
パパ私のこときらいになっちゃったかなぁ⋯？」

涙が少しずつ溢れてくる。
しまいには大粒の涙が出てきて私は大きい声で泣き始めてしまった。

「シルファちゃん！できたわよ！」
「っえ？」

カロナさんが見せてきたものを目を向けるとそこにはオムライスがあった。

「ほら、食べてみて」

カロナさんはオムライスを一口すくい、私の口へもってくる。

「⋯ママと同じ味」
「でしょ！私も落ち込んだときにはよくイレナに作ってもらってたの。このオムライスもイレナに頼み込んで一緒に練習してもらったのよ。
ほら、このオムライス食べて元気出しなさい！そしたら、パパにちゃんとごめなさいしましょう」
「うん！」

私は涙で潤んだ目を擦りながら、オムライスを食べる。

「ごめんなさいね。シルファちゃん。パパが今日シルファちゃんと本屋さんに行けなくなったのは私のせいだわ。
私がケイルに依頼を出してしまったから」
「ううん、いいよ。今日に用事があるのを忘れていたパパもちょっとは悪いから」
「ありがとう、シルファちゃん」