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7章 普通の勇者とハーレム勇者

いざ、獣人国へ

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♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎

~弘子視点~

「ひろぽ~ん、こいつどするべ?」

「アレクセイみたいな呼び方すんじゃないの全く」

襲撃の指揮を取ったモルドレッド。彼は縄でぐるぐる巻きにされ、弘子の前まで連行されていた。


「くっ、まさか捕らえられてしまうとは……」

モルドレッドはミイルフとほぼ互角の戦いを繰り広げていたが、彼女がユニークスキルを使用した事で状況が一変……呆気なく破れ去ったのである。


「まさかあのようなスキルが存在するとは……」

「へっへ~ん……私のスキルは【ワンアタックセコンド(一秒一撃)】──このスキルで私の対戦相手は一秒に一度しか攻撃出来なくなるのん、やばばでしょ?」

モルドレッドは一秒間に何度も相手を斬り、ダメージを蓄積させていくタイプの騎士である。
故にこのスキルとは相性が最悪……ミイルフは重い斧で攻撃動作が遅いという弱点を、このスキルで和らげていたのだ。


「まぁ、このスキルがなければアンタみたいなタイプ、超苦手なんだけどねぇ~」

「うむ……ミイルフ殿のスキルは拙者とも相性が悪いでござる」

「まぁそれはそうと……」

ミイルフとサイラムは同時にカルマを見た。


「見た目別人だけどカルカルじゃん!!どうしたん?アンタ人助けするタイプじゃないっしょ!!」

魔力が上手く扱えるまでには回復してないミーシャとは違い、ミイルフとサイラムは魔力の質で正体がカルマだと看破する事が出来た。


「ふん……ある方に俺も助けてもらったんだ。だから、その人に少しでも近付こうと思っただけだ」

「………だいぶ変わったね~……良い人に巡り会えて良かったじゃん」

「そうだな」
(意外にも好意的だ。ミーシャも馬鹿にはして来たが、怖がったり、嫌悪してる感じではなかった……何故、今の醜い俺を受け入れる事ができる?)


──カルマは知らないのだ。
自分より遥か醜く見られてしまうテレサも、ミーシャ、ミイルフ、サイラムは受け入れていたのだ。
今更カルマが恐ろしい怪物に変わった所で驚く三人ではないのである。


「その気持ちを少しでもテレピッピに向けてくれたらなぁ~」

「魔王は関係ない」

「………相変わらずね」

「うむ、相変わらずですな」

再開を祝し、十魔衆達は会話に花を咲かせるのだった。


……一方で、弘子はミイルフの捕らえたモルドレッドを尋問に掛ける。シーラをどのような思惑で捕らえようとするのか聞き出すつもりだ。


「モルドレッドだったわね?全て話して貰うわよ?」

「ふん、私が口を割るものか!」

「いいえ、貴方の意思なんて関係ないの」

「なに?」

「ティファレト様、お願いします」

弘子に呼ばれ、シーラは縛り付けられているモルドレッドの前に立った。そして彼の目の前でしゃがみ込むと、ある魔法を発動させる。


「ブレイル」

「…………っ!」

ティファレトがそう唱えた瞬間、モルドレッドの瞳からハイライトが消え、全身から力が抜けたかのように項垂れる。


「これは自白魔法よ……さぁ、なんでも知ってることを話して貰うわよ?」

「ハイ、ワカリマシタ」


───


───


──尋問は数十分にも及んだ。
しかし、思ったより成果を得る事が出来なかった。


「聖女の命令……そして捕らえた女神を獣人国へ連行せよ……これだけね」

もしかして自白魔法を警戒していたのか?

そう思わざる得ないほど、このモルドレッドに与えられてる情報が少ない。
本当に目的も何も知らされてなく、純粋に聖女の命令で動かされて居ただけだったのだ。


「獣人国……唯一の手掛かりなのですが……」

「そうね、弘子──ただ、彼の待ち合わせしている【獣人国家中央広場】へ向かえば何か分かりそうだけど」

「取り敢えず、今は城には留まれないですね」

次の襲撃があるかも知れないのだ……普段は安全だが、この時に限り古城は危険エリアとなっている。それも厄介な国家が狙うとても危うい場所。


「獣人国へ行ってみましょう──アレクセイも転移した直後だからしばらくは戻って来れないし……私が護衛しますよ。どうして女神様を狙うのか……探りに行きましょう」

「良いの、弘子?」

「はい……ジークとメイアもあの国へ派遣してましたし、丁度良かったかも知れません──ですが、その前にアレクセイへ連絡を送ってからです、今は帰って来るなと──万が一、孝志ちゃんと一緒に帰って来たところを襲われたら最悪ですからね」

「……ありがとう……弘子……」

「どういたしまして……それから──」

ミーシャは絶対に連れて行くとして……三人だとちょっとキツイ。まず今日中に出発する予定なのに、そんな短い時間でミーシャの魔力が何処まで回復するのか……


「……あの十魔衆達……特にあの悪魔みたいな魔族には一緒に来て貰いたいわね」

「まぁ大丈夫でしょ。あの三人勇者孝志にぞっこんみたいだし」

「……それなら」

弘子は勇気を出し、彼らに自分達の護衛を依頼した。

もともと弘子が孝志の祖母だと知ってるミイルフとサイラムは依頼の話を聞いて笑顔になり、今その話を聞かされたカルマは『やはり血縁者だったのか』と呟き驚いていた。


──そんな三人がどの様な決断を下したのか……最早言うまでもないだろう。







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