上 下
34 / 217
3章 フェイトエピソード

ユリウスとの関係

しおりを挟む

あれから直ぐにシーラとは別れたが……なんか急激にヤバい感じを出して来たなあの子。
俺からはヤバい奴を引き寄せる電波でも飛んでるんじゃ無いだろうか?

まぁそれでもヤバさで言ったらアリアンさんが10だとするとシーラは1くらい……まだまだだな(安心)
これでも命を救って貰った恩があるからだいぶ下がった方だ。
それまではヤバさ100だったからな…10点満点中の……


それからは特に誰にも出会う事なくパーティー会場に到着した。
まだ扉の中には入ってないが中の静けさからして、まだそれ程集まっている感じではなさそうだな……40分前は早すぎたのだろうか?

案内してくれる人が居るって言っていたが、その人物さえも見えない……主役が勝手に入ったら不味いだろうし…


俺が入り口付近で入ろうか悩んでいると、後ろから俺に対して声を掛けてくれる人物がいた。
この声は──


「よう孝志…随分と早いじゃないか──受付のジィラーさんもまだ来てないぜ?」

「……はぁ~…また貴方ですか…」

案の定ユリウスさんだった。
直ぐに俺の後ろを取るの何なのこの人?アリアンさんに絶対真似させないでね?シャレにならない怖さだと思うから。


「お前ほんとに無礼だよな……俺これでも王国で一番強いんだぜ?」

「え?急にひけらかして感じ悪いですよ?」

「…お前も感じ悪いぞ?」


ユリウスさんは何とも言えない表情を見せるが、直ぐに気を取直した。
俺に何か用があるみたいだし早く本題に入りたかったのだろう。

「実はパーティーのエスコートを任されてな……お前を迎えに行ってたんだけど、部屋にいなかったから探したぞ?」

…今この人何て言ったんだ?
なんかとんでもないこと言ってた気がするぞ。


「……いまエスコートがどうとか言ってませんでしたか?」

「ん?聞き間違う距離でも無いだろう?」

「……誰がエスコートするんですって?」

「だから、俺が」

「絶対辞めて下さい!」

なんか真顔で『それが何?』みたいな顔してるけど絶対におかしいからな!
何で男にエスコートされんだよ!


「そんなに嫌がんなよ……お前の為に言ってんだぜ?」

「…おれノーマルですよ?」

「おっ!気が合うな、俺もだぜ?」

今の返しは少し殺意が湧いたぜ。

……どうやらユリウスさんがエスコートするのには何か事情があるらしく、今からそれの説明をしてくれる様だ。


「いや危なかったんだぜ?…本当は貴族令嬢の誰かがお前に付き添うはずだったんだけど、事情があって誰も来れなくなったんだ……だから俺が引き受けなきゃアリアンがその役目だったぞ?」

「……あ?」

「何だかんだアリアンにお前の指導させた事を悪いと思ってたし…感謝しろよ?」

ユリウスさんは胸を張り、気にすんなよとでも言う様な表情を見せている。
……いや、この人なんっっにも解ってない…!


「いや絶対アリアンさんが良かったに決まってるでしょ?」

「何でだよ?!」

ユリウスさんは驚愕の表情を見せた。
多分、この人は俺が飛び跳ねて喜ぶとでも思っていたのだろうが……とんでもない。
俺はアリアンが良かったのはどうしてなのか、この脳筋騎士に解らせることにした。


「だってアリアンさん綺麗でしょ?…あんな人にエスコートして貰ったらすげぇ優越感に浸れるじゃないですか」

「優越感だと?」

「はい…それにこの場所なら例えアリアンさん相手でも攻撃される心配なんて全く無いでしょうし…安心でしょ?」

「…おう」

「そして恐怖の象徴であるアリアンさんの隣に居るにも関わらず、絶対に攻撃されないという安心感がスパイスとなって良い気分になれるんじゃないですか!」

「…お、おう」

「だから絶対エスコートはアリアンさんが良いんですよ…解って頂けましたか?」

「ごめん、良くわからん」

「はっ!これだから王国最強騎士は!」

「…褒め言葉だよなそれ?」

あれだけ熱弁しても伝わらないのか……なんか異常者でも見る様な目で見るの止めてくれないだろうか?


「──と言う事でアリアンさんを呼んで来て下さい」

「いや今更無理だし、もうここまで来たら意地でも俺がエスコートしてやるよ」

「…酷い……」

「絶望の表情をするな……とりあえず行くぞ!主役の勇者達は別の扉から入るんだよ」

ユリウスさんは俺の腕を引っ張って連れて行こうとする。
こういったパーティーの場では、もしかしたら綺麗な女性にエスコートして貰えるじゃないかと、実は少し期待していた。

夢を壊されたよ……って言うか──


「腕とか組んだりしませんよね…?」

「……してやろうか?」

「い、いやぁっ!!」

「叫びが悲痛過ぎるぞ?やんねーよ」

もうこれ以上ダメージを負いたくないので俺は黙って引っ張られる事にした。


「あっ、そう言えば指導の件どうなりました?明日からはユリウスさんでお願いしますよ?」

「…お前は俺を求めたり拒否したり、アリアンを求めたり拒否したり……めんどくせぇな」

「……自分もなんかそんな気はしてきました……なんかすいません」

俺って面倒くさいんだな…知らなかったぜ。
それは悪いと思ってるとして、今は訓練の話だ。


「アリアンさんとは上手く話せてるんですよね?」

俺は改めて尋ねる。
するとユリウスさんは表情を強張らせた。
……え?そのリアクションヤバくない?


「ああ、うん……まぁなんとかするさ…」

「もしかして難航してるんですか?」

「だ、大丈夫だから!任せとけって!何て言ったって俺は剣帝ユリウスだぜ?絶対なんとかしてみせるさ!」

「………」


……もう不安しかねーよ。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】飛行機で事故に遭ったら仙人達が存在する異世界に飛んだので、自分も仙人になろうと思います ー何事もやってみなくちゃわからないー

光城 朱純
ファンタジー
空から落ちてる最中の私を助けてくれたのは、超美形の男の人。 誰もいない草原で、私を拾ってくれたのは破壊力抜群のイケメン男子。 私の目の前に現れたのは、サラ艶髪の美しい王子顔。 えぇ?! 私、仙人になれるの?! 異世界に飛んできたはずなのに、何やれば良いかわかんないし、案内する神様も出てこないし。 それなら、仙人になりまーす。 だって、その方が楽しそうじゃない? 辛いことだって、楽しいことが待ってると思えば、何だって乗り越えられるよ。 ケセラセラだ。 私を救ってくれた仙人様は、何だか色々抱えてそうだけど。 まぁ、何とかなるよ。 貴方のこと、忘れたりしないから 一緒に、生きていこう。 表紙はAIによる作成です。

きっとそれだけが私たちの答えだと思うのです

奏穏朔良
恋愛
例えば、この身に流れる血を抜き去ったとして。 この地に立つ足を切り取ったとして。 果たして私に、どれだけのものが残るのだろうか。 **** お互い都合のいい関係だったと思っていた、マフィアの幹部とボスの従姉妹の話。 【注意】直接的な描写はありませんが、匂わせ程度の肉体関係描写があります。

死を回避したい悪役令嬢は、ヒロインを破滅へと導く

miniko
恋愛
お茶会の参加中に魔獣に襲われたオフィーリアは前世を思い出し、自分が乙女ゲームの2番手悪役令嬢に転生してしまった事を悟った。 ゲームの結末によっては、断罪されて火あぶりの刑に処されてしまうかもしれない立場のキャラクターだ。 断罪を回避したい彼女は、攻略対象者である公爵令息との縁談を丁重に断ったのだが、何故か婚約する代わりに彼と友人になるはめに。 ゲームのキャラとは距離を取りたいのに、メインの悪役令嬢にも妙に懐かれてしまう。 更に、ヒロインや王子はなにかと因縁をつけてきて……。 平和的に悪役の座を降りたかっただけなのに、どうやらそれは無理みたいだ。 しかし、オフィーリアが人助けと自分の断罪回避の為に行っていた地道な根回しは、徐々に実を結び始める。 それがヒロインにとってのハッピーエンドを阻む結果になったとしても、仕方の無い事だよね? だって本来、悪役って主役を邪魔するものでしょう? ※主人公以外の視点が入る事があります。主人公視点は一人称、他者視点は三人称で書いています。 ※連載開始早々、タイトル変更しました。(なかなかピンと来ないので、また変わるかも……) ※感想欄は、ネタバレ有り/無しの分類を一切おこなっておりません。ご了承下さい。

(新)師匠、弟子にして下さい!〜その魔女、最強につき〜

ハルン
恋愛
その世界では、何千年も前から魔王と勇者の戦いが続いていた。 ーー世界を手に入れようと魔を従える魔王。 ーー人類の、世界の最後の希望である勇者。 ある時は魔王が、またある時は勇者が。 両者は長き時の中で、倒し倒されを繰り返して来た。 そうしてまた、新たな魔王と勇者の戦いが始まろうとしていた。 ーーしかし、今回の戦いはこれまでと違った。 勇者の側には一人の魔女がいた。 「何なのだ…何なのだ、その女はっ!?」 「師匠をその女呼ばわりするなっ!」 「……いや、そもそも何で仲間でも無い私をここに連れて来たの?」 これは、今代の勇者の師匠(無理矢理?)になったとある魔女の物語である。

【完結】皆様、答え合わせをいたしましょう

楽歩
恋愛
白磁のような肌にきらめく金髪、宝石のようなディープグリーンの瞳のシルヴィ・ウィレムス公爵令嬢。 きらびやかに彩られた学院の大広間で、別の女性をエスコートして現れたセドリック王太子殿下に婚約破棄を宣言された。 傍若無人なふるまい、大聖女だというのに仕事のほとんどを他の聖女に押し付け、王太子が心惹かれる男爵令嬢には嫌がらせをする。令嬢の有責で婚約破棄、国外追放、除籍…まさにその宣告が下されようとした瞬間。 「心当たりはありますが、本当にご理解いただけているか…答え合わせいたしません?」 令嬢との答え合わせに、青ざめ愕然としていく王太子、男爵令嬢、側近達など… 周りに搾取され続け、大事にされなかった令嬢の答え合わせにより、皆の終わりが始まる。

落ちこぼれ[☆1]魔法使いは、今日も無意識にチートを使う

右薙光介
ファンタジー
領主お抱えの立派な冒険者となるべく『バーグナー冒険者予備学校』へ通っていた成績優秀な少年、アストル。 しかし、アストルに宿った『アルカナ』は最低クラスの☆1だった!? 『アルカナ』の☆の数がモノを言う世界『レムシリア』で少年は己が生きる術を見つけていく。 先天的に授かった☆に関わらない【魔法】のスキルによって! 「よし、今日も稼げたな……貯金しておかないと」 ☆1の烙印を押された少年が図太く、そして逞しく成長していく冒険ファンタジー。

異世界転生? いいえ、チートスキルだけ貰ってVRMMOをやります!

リュース
ファンタジー
主人公の青年、藤堂飛鳥(とうどう・あすか)。 彼は、新発売のVRMMOを購入して帰る途中、事故に合ってしまう。 だがそれは神様のミスで、本来アスカは事故に遭うはずでは無かった。 神様は謝罪に、チートスキルを持っての異世界転生を進めて来たのだが・・・。 アスカはそんなことお構いなしに、VRMMO! これは、神様に貰ったチートスキルを活用して、VRMMO世界を楽しむ物語。 異世界云々が出てくるのは、殆ど最初だけです。 そちらがお望みの方には、満足していただけないかもしれません。

俺の幼馴染みが悪役令嬢なはずないんだが

ムギ。
ファンタジー
悪役令嬢? なにそれ。 乙女ゲーム? 知らない。 そんな元社会人ゲーマー転生者が、空気読まずに悪役令嬢にベタぼれして、婚約破棄された悪役令嬢に求婚して、乙女ゲーム展開とは全く関係なく悪役令嬢と結婚して幸せになる予定です。 一部に流血描写、微グロあり。

処理中です...