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3章 フェイトエピソード
ユリウスとの関係
しおりを挟むあれから直ぐにシーラとは別れたが……なんか急激にヤバい感じを出して来たなあの子。
俺からはヤバい奴を引き寄せる電波でも飛んでるんじゃ無いだろうか?
まぁそれでもヤバさで言ったらアリアンさんが10だとするとシーラは1くらい……まだまだだな(安心)
これでも命を救って貰った恩があるからだいぶ下がった方だ。
それまではヤバさ100だったからな…10点満点中の……
それからは特に誰にも出会う事なくパーティー会場に到着した。
まだ扉の中には入ってないが中の静けさからして、まだそれ程集まっている感じではなさそうだな……40分前は早すぎたのだろうか?
案内してくれる人が居るって言っていたが、その人物さえも見えない……主役が勝手に入ったら不味いだろうし…
俺が入り口付近で入ろうか悩んでいると、後ろから俺に対して声を掛けてくれる人物がいた。
この声は──
「よう孝志…随分と早いじゃないか──受付のジィラーさんもまだ来てないぜ?」
「……はぁ~…また貴方ですか…」
案の定ユリウスさんだった。
直ぐに俺の後ろを取るの何なのこの人?アリアンさんに絶対真似させないでね?シャレにならない怖さだと思うから。
「お前ほんとに無礼だよな……俺これでも王国で一番強いんだぜ?」
「え?急にひけらかして感じ悪いですよ?」
「…お前も感じ悪いぞ?」
ユリウスさんは何とも言えない表情を見せるが、直ぐに気を取直した。
俺に何か用があるみたいだし早く本題に入りたかったのだろう。
「実はパーティーのエスコートを任されてな……お前を迎えに行ってたんだけど、部屋にいなかったから探したぞ?」
…今この人何て言ったんだ?
なんかとんでもないこと言ってた気がするぞ。
「……いまエスコートがどうとか言ってませんでしたか?」
「ん?聞き間違う距離でも無いだろう?」
「……誰がエスコートするんですって?」
「だから、俺が」
「絶対辞めて下さい!」
なんか真顔で『それが何?』みたいな顔してるけど絶対におかしいからな!
何で男にエスコートされんだよ!
「そんなに嫌がんなよ……お前の為に言ってんだぜ?」
「…おれノーマルですよ?」
「おっ!気が合うな、俺もだぜ?」
今の返しは少し殺意が湧いたぜ。
……どうやらユリウスさんがエスコートするのには何か事情があるらしく、今からそれの説明をしてくれる様だ。
「いや危なかったんだぜ?…本当は貴族令嬢の誰かがお前に付き添うはずだったんだけど、事情があって誰も来れなくなったんだ……だから俺が引き受けなきゃアリアンがその役目だったぞ?」
「……あ?」
「何だかんだアリアンにお前の指導させた事を悪いと思ってたし…感謝しろよ?」
ユリウスさんは胸を張り、気にすんなよとでも言う様な表情を見せている。
……いや、この人なんっっにも解ってない…!
「いや絶対アリアンさんが良かったに決まってるでしょ?」
「何でだよ?!」
ユリウスさんは驚愕の表情を見せた。
多分、この人は俺が飛び跳ねて喜ぶとでも思っていたのだろうが……とんでもない。
俺はアリアンが良かったのはどうしてなのか、この脳筋騎士に解らせることにした。
「だってアリアンさん綺麗でしょ?…あんな人にエスコートして貰ったらすげぇ優越感に浸れるじゃないですか」
「優越感だと?」
「はい…それにこの場所なら例えアリアンさん相手でも攻撃される心配なんて全く無いでしょうし…安心でしょ?」
「…おう」
「そして恐怖の象徴であるアリアンさんの隣に居るにも関わらず、絶対に攻撃されないという安心感がスパイスとなって良い気分になれるんじゃないですか!」
「…お、おう」
「だから絶対エスコートはアリアンさんが良いんですよ…解って頂けましたか?」
「ごめん、良くわからん」
「はっ!これだから王国最強騎士は!」
「…褒め言葉だよなそれ?」
あれだけ熱弁しても伝わらないのか……なんか異常者でも見る様な目で見るの止めてくれないだろうか?
「──と言う事でアリアンさんを呼んで来て下さい」
「いや今更無理だし、もうここまで来たら意地でも俺がエスコートしてやるよ」
「…酷い……」
「絶望の表情をするな……とりあえず行くぞ!主役の勇者達は別の扉から入るんだよ」
ユリウスさんは俺の腕を引っ張って連れて行こうとする。
こういったパーティーの場では、もしかしたら綺麗な女性にエスコートして貰えるじゃないかと、実は少し期待していた。
夢を壊されたよ……って言うか──
「腕とか組んだりしませんよね…?」
「……してやろうか?」
「い、いやぁっ!!」
「叫びが悲痛過ぎるぞ?やんねーよ」
もうこれ以上ダメージを負いたくないので俺は黙って引っ張られる事にした。
「あっ、そう言えば指導の件どうなりました?明日からはユリウスさんでお願いしますよ?」
「…お前は俺を求めたり拒否したり、アリアンを求めたり拒否したり……めんどくせぇな」
「……自分もなんかそんな気はしてきました……なんかすいません」
俺って面倒くさいんだな…知らなかったぜ。
それは悪いと思ってるとして、今は訓練の話だ。
「アリアンさんとは上手く話せてるんですよね?」
俺は改めて尋ねる。
するとユリウスさんは表情を強張らせた。
……え?そのリアクションヤバくない?
「ああ、うん……まぁなんとかするさ…」
「もしかして難航してるんですか?」
「だ、大丈夫だから!任せとけって!何て言ったって俺は剣帝ユリウスだぜ?絶対なんとかしてみせるさ!」
「………」
……もう不安しかねーよ。
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