上 下
11 / 217
1章 五人の勇者

幕間 ユリウスとアリアン

しおりを挟む

マリア王女や孝志と別れた後、1時間後に会議が行われた。
特に事務的な話以外しなかったが、今は国王に提出する報告書を作成している。

ため息を吐きながら自室で苦手な書類作業をしていると、部屋のドアが勢いよく開かれた。


「──ユリウスユリウスッ!あのクソ勇者ぶち殺してやったわ!」

入ってきていきなり物騒な事を口にするのは、いまユリウスの頭を悩ませる原因を作った張本人、【剣聖】アリアン・ルクレツィアである。

昨日 あの後何だかんだ大臣に怒られたはずのアリアンだが、まるで反省の色が見えない。軽くサイコ。
彼女の育ての親は自分だが、どこで育て間違えたのか……


「俺のところに嬉しそうに報告するの止めて?俺が指示してやらせたみたいに思われるだろ」

「ごめんなさい!楽しくってつい!」

「楽しいの……?」

やだ怖いこの子。重くサイコ。


─────────


「そういえばユリウスが教えてる、あの見込みのある勇者はどうだった?」

「ん?孝志のことか?見込みあるってどうして?」

「だってユリウスの素晴らしさを見ただけで感付いたのよ?素晴らしい勇者だわ!」

いや単にお前にビビってただけなんだが……まぁ言わないでおくか。


「孝志に関しては完全な特殊能力か指揮に特化したタイプだな。1日しか観てないけど戦闘技術はパッとしないかな?アイツの場合はそれ以外のところで見込みがあるけど」

「じゃあ戦闘能力はあまり高く無いの?」

「それでも勇者だから本気で鍛えれば六神剣くらいの強さにはなると思うがな。それだと単純な戦闘能力としては勇者にして微妙ってだけで」

「なるほど、つまり六神剣に入れるってこと?じゃあ六神剣が七神剣になるわね!」

上手いネーミングを思いついたでしょ?みたいなドヤ顔でアリアンが何か訳わからない事を言い出した。


「違うよ、六神剣に入れる訳じゃないから。例え話で六神剣と比較しただけだぞ?だいたいコイツの強さはこれくらいだ!みたいな時に誰かと比較したりするだろ?」


「・・・・・?」



やだ、この子ってばもうほんとバカ!


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】飛行機で事故に遭ったら仙人達が存在する異世界に飛んだので、自分も仙人になろうと思います ー何事もやってみなくちゃわからないー

光城 朱純
ファンタジー
空から落ちてる最中の私を助けてくれたのは、超美形の男の人。 誰もいない草原で、私を拾ってくれたのは破壊力抜群のイケメン男子。 私の目の前に現れたのは、サラ艶髪の美しい王子顔。 えぇ?! 私、仙人になれるの?! 異世界に飛んできたはずなのに、何やれば良いかわかんないし、案内する神様も出てこないし。 それなら、仙人になりまーす。 だって、その方が楽しそうじゃない? 辛いことだって、楽しいことが待ってると思えば、何だって乗り越えられるよ。 ケセラセラだ。 私を救ってくれた仙人様は、何だか色々抱えてそうだけど。 まぁ、何とかなるよ。 貴方のこと、忘れたりしないから 一緒に、生きていこう。 表紙はAIによる作成です。

きっとそれだけが私たちの答えだと思うのです

奏穏朔良
恋愛
例えば、この身に流れる血を抜き去ったとして。 この地に立つ足を切り取ったとして。 果たして私に、どれだけのものが残るのだろうか。 **** お互い都合のいい関係だったと思っていた、マフィアの幹部とボスの従姉妹の話。 【注意】直接的な描写はありませんが、匂わせ程度の肉体関係描写があります。

死を回避したい悪役令嬢は、ヒロインを破滅へと導く

miniko
恋愛
お茶会の参加中に魔獣に襲われたオフィーリアは前世を思い出し、自分が乙女ゲームの2番手悪役令嬢に転生してしまった事を悟った。 ゲームの結末によっては、断罪されて火あぶりの刑に処されてしまうかもしれない立場のキャラクターだ。 断罪を回避したい彼女は、攻略対象者である公爵令息との縁談を丁重に断ったのだが、何故か婚約する代わりに彼と友人になるはめに。 ゲームのキャラとは距離を取りたいのに、メインの悪役令嬢にも妙に懐かれてしまう。 更に、ヒロインや王子はなにかと因縁をつけてきて……。 平和的に悪役の座を降りたかっただけなのに、どうやらそれは無理みたいだ。 しかし、オフィーリアが人助けと自分の断罪回避の為に行っていた地道な根回しは、徐々に実を結び始める。 それがヒロインにとってのハッピーエンドを阻む結果になったとしても、仕方の無い事だよね? だって本来、悪役って主役を邪魔するものでしょう? ※主人公以外の視点が入る事があります。主人公視点は一人称、他者視点は三人称で書いています。 ※連載開始早々、タイトル変更しました。(なかなかピンと来ないので、また変わるかも……) ※感想欄は、ネタバレ有り/無しの分類を一切おこなっておりません。ご了承下さい。

(新)師匠、弟子にして下さい!〜その魔女、最強につき〜

ハルン
恋愛
その世界では、何千年も前から魔王と勇者の戦いが続いていた。 ーー世界を手に入れようと魔を従える魔王。 ーー人類の、世界の最後の希望である勇者。 ある時は魔王が、またある時は勇者が。 両者は長き時の中で、倒し倒されを繰り返して来た。 そうしてまた、新たな魔王と勇者の戦いが始まろうとしていた。 ーーしかし、今回の戦いはこれまでと違った。 勇者の側には一人の魔女がいた。 「何なのだ…何なのだ、その女はっ!?」 「師匠をその女呼ばわりするなっ!」 「……いや、そもそも何で仲間でも無い私をここに連れて来たの?」 これは、今代の勇者の師匠(無理矢理?)になったとある魔女の物語である。

【完結】皆様、答え合わせをいたしましょう

楽歩
恋愛
白磁のような肌にきらめく金髪、宝石のようなディープグリーンの瞳のシルヴィ・ウィレムス公爵令嬢。 きらびやかに彩られた学院の大広間で、別の女性をエスコートして現れたセドリック王太子殿下に婚約破棄を宣言された。 傍若無人なふるまい、大聖女だというのに仕事のほとんどを他の聖女に押し付け、王太子が心惹かれる男爵令嬢には嫌がらせをする。令嬢の有責で婚約破棄、国外追放、除籍…まさにその宣告が下されようとした瞬間。 「心当たりはありますが、本当にご理解いただけているか…答え合わせいたしません?」 令嬢との答え合わせに、青ざめ愕然としていく王太子、男爵令嬢、側近達など… 周りに搾取され続け、大事にされなかった令嬢の答え合わせにより、皆の終わりが始まる。

落ちこぼれ[☆1]魔法使いは、今日も無意識にチートを使う

右薙光介
ファンタジー
領主お抱えの立派な冒険者となるべく『バーグナー冒険者予備学校』へ通っていた成績優秀な少年、アストル。 しかし、アストルに宿った『アルカナ』は最低クラスの☆1だった!? 『アルカナ』の☆の数がモノを言う世界『レムシリア』で少年は己が生きる術を見つけていく。 先天的に授かった☆に関わらない【魔法】のスキルによって! 「よし、今日も稼げたな……貯金しておかないと」 ☆1の烙印を押された少年が図太く、そして逞しく成長していく冒険ファンタジー。

異世界転生? いいえ、チートスキルだけ貰ってVRMMOをやります!

リュース
ファンタジー
主人公の青年、藤堂飛鳥(とうどう・あすか)。 彼は、新発売のVRMMOを購入して帰る途中、事故に合ってしまう。 だがそれは神様のミスで、本来アスカは事故に遭うはずでは無かった。 神様は謝罪に、チートスキルを持っての異世界転生を進めて来たのだが・・・。 アスカはそんなことお構いなしに、VRMMO! これは、神様に貰ったチートスキルを活用して、VRMMO世界を楽しむ物語。 異世界云々が出てくるのは、殆ど最初だけです。 そちらがお望みの方には、満足していただけないかもしれません。

俺の幼馴染みが悪役令嬢なはずないんだが

ムギ。
ファンタジー
悪役令嬢? なにそれ。 乙女ゲーム? 知らない。 そんな元社会人ゲーマー転生者が、空気読まずに悪役令嬢にベタぼれして、婚約破棄された悪役令嬢に求婚して、乙女ゲーム展開とは全く関係なく悪役令嬢と結婚して幸せになる予定です。 一部に流血描写、微グロあり。

処理中です...