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最終章
最後の戦い 三
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戦いはいつ果てるともなく続くと思われた。
相手の動きが見えている桜。
相手の動きを先読みする養源斎。
桜は動きに速さに加えて最小限の動きでかわす見切りも加わり、養源斎の攻撃はほとんど当たらなくなった。
逆に桜の変速攻撃を何とかかわしているものの、肩や足に切り傷を負う養源斎。
〔最初に彼奴が言った恨みなどないという言葉の意味、ようやく理解出来たわ。互いに秘術を尽くしての戦いに敗れたとて悔いはない。その通りだな〕
養源斎はそんな事を考えていた。
だが、徐々に自分の身体にダメージが来ている。
〔このままではまずい〕
養源斎は突きの構えから技を繰り出す。
「四乃型時雨(よんのがたしぐれ)」
この連続の突き技を桜は諸手受けで二撃とも受け止める。
〔速いうえに防御も完璧、まさに完成された剣術だな。こいつは先の事など考えていない。
目の前にいる敵を全力で倒す事のみに全神経を注いでいる。たとえ己の身がどうなろうとも守るべき者を守るか〕
「見事だ。吉宗はいい部下を揃えているな。わしの部下も手練れであったが、お主たちはさらに上であった」
養源斎は痺れが取れたと思っていた右手が気がつけば腫れ上がり、剣を持つ握力が弱ってきている。
一方の桜も折れたあばらの痛みで互いにこれ以上の長期戦は厳しいと考えていた。
「だが、この辺で終わらせてもらう」
「私がこの戦いを終わらせる」
桜は納刀して居合い抜きの構えを取る。
養源斎を倒せはこの長かった戦いが幕を閉じ、天英院、月光院の命を狙っていた宮守志信は極刑となり、大奥に平穏が戻る。
桜流抜刀術はおそらくあと数回しか使えない。
昨夜襲った身体と腕の激痛は限界が近づいている予兆であることは桜自身がわかっていた。
桜は次の攻撃に全てをかける覚悟を決めていた。
「やはり居合い抜きでくるか。。」
養源斎も桜の居合い抜きは警戒している。
〔こいつの技の中で要注意はこの居合い抜きと両手からの六連撃。それさえ防げばあとは恐るるに足らず〕
養源斎は桜の右手から繰り出される攻撃に神経を集中させる。
〔居合い抜きを封じるには柄頭(つかかしら)に切っ先を付けて抜刀させぬ事。あるいは抜刀しようとする右手を斬る事だが、こいつはこちらの動きが読めている。こちらの攻撃を外して抜刀するなど造作もなくやってのけるだろう〕
下手に刀の切っ先を鯉口に向けていれば桜の迅速斬の餌食となるであろう。
ならばどの攻撃が来ても対応出来るようにしておく。
養源斎はそう考えていた。
居合い抜きから放たれるのは一文字斬り、逆袈裟斬りのどちらか。
逆手斬りも考えられるが、そのいずれが来ても対応出来るように構える。
桜がジリジリと前に一歩出れば養源斎は距離を保つため一歩後ろに下がる。
桜が一段腰を低く構えた。
〔来る。。〕
養源斎が技の発動に全神経を集中させている中、桜の超神速の居合い抜きが発動する。
「かわす!」
養源斎は素早く後ろに身体をのけ反らせる。
しかし次の瞬間、桜の手が刀の柄から離れた。
「なんだと?」
桜は迅速斬(じんそくざん)を放つと思わせて長刀を前に飛ばしたのだ。
刀の柄頭(つかかしら)が養源斎の額に当たり、後ろによろめいて目を閉じた。
「ぐわ。。」
「今だ!」
桜は刀が養源斎の額に当たってその反動で鞘に戻ってきたところを素早く柄を持ち、一気に突進して居合い抜きからの攻撃を仕掛ける。
「迅速斬(じんそくざん)」
超神速の抜刀が養源斎を襲う。
だが、養源斎も額の攻撃で目をつぶりよろめいたのは一瞬ですぐに体制を整えていた。
激しい金属音が鳴り響き、迅速斬からの逆袈裟斬りを脇構えから受け止められたが、桜はそこから連続攻撃へと繋げる。
「華一閃(はないっせん)」
逆袈裟斬りから突きへの攻撃であったが、養源斎はこれも刀で受け流す。
「突きは一度外されたら隙だらけよ。二乃型飛龍(にのがたひりゅう)」
今度は養源斎の剣が逆袈裟斬りの角度で桜の首を襲う。
桜は華一閃の突きから超高速の動きで腕を引き、身体を反転させて飛龍の剣の軌道から逃れる。
しかし完全にはかわしきれず右肩をわずかに斬られた。
「ちっ。引きが速い」
その引きの速さに養源斎も驚く。
「焔乃舞(ほむらのまい)」
高速の引きから一文字斬りへの連続攻撃。
しかしこの攻撃も間一髪で養源斎は剣で弾いた。
「五乃型火輪(ごのがたかりん)」
お返しとばかりに養源斎の一文字斬りを放つが、桜はこの攻撃に対してさらに一歩前に出た。
「この状況から踏み込んでくるか」
「双刀撃(そうとうげき)」
本来は左手で小太刀を抜刀して峰打ちで相手の腕かあばらの骨を砕き、動きを封じる技。
だが、この抜刀は養源斎の一文字斬りを弾くためのものであった。
養源斎の火輪を小太刀で弾くと桜のさらなる連続技が繰り出される。
「銀龍牙(しろがねのりょうが)」
桜が最後までとっておいた二刀流による超神速の六連撃。
桜流抜刀術の五連続攻撃。
この一連の連続攻撃にはさすがの養源斎も防ぐ手立てがなかった。
「ぐあああ」
養源斎の叫び声。
勝負あったかに思えたその時である。
右一文字斬り、右袈裟斬り、真っ向斬り。。
三連撃目の真っ向斬りを放った時、プツンという何かが切れる音がしたと思った次の瞬間、桜の右腕がゴキンという鈍い音を立てた。
その激痛で右手に持っていた長刀が桜の手から離れ落ちた。
「ぐ。。」
声にならないうめき声が漏れる。
相手の動きが見えている桜。
相手の動きを先読みする養源斎。
桜は動きに速さに加えて最小限の動きでかわす見切りも加わり、養源斎の攻撃はほとんど当たらなくなった。
逆に桜の変速攻撃を何とかかわしているものの、肩や足に切り傷を負う養源斎。
〔最初に彼奴が言った恨みなどないという言葉の意味、ようやく理解出来たわ。互いに秘術を尽くしての戦いに敗れたとて悔いはない。その通りだな〕
養源斎はそんな事を考えていた。
だが、徐々に自分の身体にダメージが来ている。
〔このままではまずい〕
養源斎は突きの構えから技を繰り出す。
「四乃型時雨(よんのがたしぐれ)」
この連続の突き技を桜は諸手受けで二撃とも受け止める。
〔速いうえに防御も完璧、まさに完成された剣術だな。こいつは先の事など考えていない。
目の前にいる敵を全力で倒す事のみに全神経を注いでいる。たとえ己の身がどうなろうとも守るべき者を守るか〕
「見事だ。吉宗はいい部下を揃えているな。わしの部下も手練れであったが、お主たちはさらに上であった」
養源斎は痺れが取れたと思っていた右手が気がつけば腫れ上がり、剣を持つ握力が弱ってきている。
一方の桜も折れたあばらの痛みで互いにこれ以上の長期戦は厳しいと考えていた。
「だが、この辺で終わらせてもらう」
「私がこの戦いを終わらせる」
桜は納刀して居合い抜きの構えを取る。
養源斎を倒せはこの長かった戦いが幕を閉じ、天英院、月光院の命を狙っていた宮守志信は極刑となり、大奥に平穏が戻る。
桜流抜刀術はおそらくあと数回しか使えない。
昨夜襲った身体と腕の激痛は限界が近づいている予兆であることは桜自身がわかっていた。
桜は次の攻撃に全てをかける覚悟を決めていた。
「やはり居合い抜きでくるか。。」
養源斎も桜の居合い抜きは警戒している。
〔こいつの技の中で要注意はこの居合い抜きと両手からの六連撃。それさえ防げばあとは恐るるに足らず〕
養源斎は桜の右手から繰り出される攻撃に神経を集中させる。
〔居合い抜きを封じるには柄頭(つかかしら)に切っ先を付けて抜刀させぬ事。あるいは抜刀しようとする右手を斬る事だが、こいつはこちらの動きが読めている。こちらの攻撃を外して抜刀するなど造作もなくやってのけるだろう〕
下手に刀の切っ先を鯉口に向けていれば桜の迅速斬の餌食となるであろう。
ならばどの攻撃が来ても対応出来るようにしておく。
養源斎はそう考えていた。
居合い抜きから放たれるのは一文字斬り、逆袈裟斬りのどちらか。
逆手斬りも考えられるが、そのいずれが来ても対応出来るように構える。
桜がジリジリと前に一歩出れば養源斎は距離を保つため一歩後ろに下がる。
桜が一段腰を低く構えた。
〔来る。。〕
養源斎が技の発動に全神経を集中させている中、桜の超神速の居合い抜きが発動する。
「かわす!」
養源斎は素早く後ろに身体をのけ反らせる。
しかし次の瞬間、桜の手が刀の柄から離れた。
「なんだと?」
桜は迅速斬(じんそくざん)を放つと思わせて長刀を前に飛ばしたのだ。
刀の柄頭(つかかしら)が養源斎の額に当たり、後ろによろめいて目を閉じた。
「ぐわ。。」
「今だ!」
桜は刀が養源斎の額に当たってその反動で鞘に戻ってきたところを素早く柄を持ち、一気に突進して居合い抜きからの攻撃を仕掛ける。
「迅速斬(じんそくざん)」
超神速の抜刀が養源斎を襲う。
だが、養源斎も額の攻撃で目をつぶりよろめいたのは一瞬ですぐに体制を整えていた。
激しい金属音が鳴り響き、迅速斬からの逆袈裟斬りを脇構えから受け止められたが、桜はそこから連続攻撃へと繋げる。
「華一閃(はないっせん)」
逆袈裟斬りから突きへの攻撃であったが、養源斎はこれも刀で受け流す。
「突きは一度外されたら隙だらけよ。二乃型飛龍(にのがたひりゅう)」
今度は養源斎の剣が逆袈裟斬りの角度で桜の首を襲う。
桜は華一閃の突きから超高速の動きで腕を引き、身体を反転させて飛龍の剣の軌道から逃れる。
しかし完全にはかわしきれず右肩をわずかに斬られた。
「ちっ。引きが速い」
その引きの速さに養源斎も驚く。
「焔乃舞(ほむらのまい)」
高速の引きから一文字斬りへの連続攻撃。
しかしこの攻撃も間一髪で養源斎は剣で弾いた。
「五乃型火輪(ごのがたかりん)」
お返しとばかりに養源斎の一文字斬りを放つが、桜はこの攻撃に対してさらに一歩前に出た。
「この状況から踏み込んでくるか」
「双刀撃(そうとうげき)」
本来は左手で小太刀を抜刀して峰打ちで相手の腕かあばらの骨を砕き、動きを封じる技。
だが、この抜刀は養源斎の一文字斬りを弾くためのものであった。
養源斎の火輪を小太刀で弾くと桜のさらなる連続技が繰り出される。
「銀龍牙(しろがねのりょうが)」
桜が最後までとっておいた二刀流による超神速の六連撃。
桜流抜刀術の五連続攻撃。
この一連の連続攻撃にはさすがの養源斎も防ぐ手立てがなかった。
「ぐあああ」
養源斎の叫び声。
勝負あったかに思えたその時である。
右一文字斬り、右袈裟斬り、真っ向斬り。。
三連撃目の真っ向斬りを放った時、プツンという何かが切れる音がしたと思った次の瞬間、桜の右腕がゴキンという鈍い音を立てた。
その激痛で右手に持っていた長刀が桜の手から離れ落ちた。
「ぐ。。」
声にならないうめき声が漏れる。
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