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大奥暗殺帳編
大奥暗殺帳 七
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静かにゆっくりと時が流れているような穏やかな雰囲気。
はっきり言ってしまえば何もない殺風景な場所であった。
ここで十年もの間、このお方は外に出る事も大奥での生活を口外する事を禁じるために筆を持つ事すら許されずに日々を過ごしていたと考えると左近は内心身震いしていた。
自分ならこんな孤独な場所と生活に耐えられるであろうか。
おそらく耐えきれず自らの命を絶っていたかも知れない。
このお方は聡明なだけでなく鉄のような意志を持つ人なのだとあらためて思うのだった。
「初めまして。私は上様の御庭番、十文字左近と申します。この度は上様の命により江島様に謁見させて頂きたく参りました」
左近の挨拶に江島は表情を崩さずに答える。
「その左近殿が私に何用でございましょう?吉宗様と私は何の関係もございませんし、大奥の事であれば話す事は何もございません。ここまでご足労頂いて恐縮ではありますが、どうぞお引き取り願います」
さすがに大奥で御年寄を務めた人物である。
有無を言わせぬ雰囲気に左近は内心圧倒されながらも、引きがらなかった。
「単刀直入に申し上げます。月光院様のお命を狙う者が現れました。このままでは月光院様が危のうございます。何卒、江島様のお力をお貸し下さい」
月光院の命が危険という言葉に江島が微かだがピクリと反応した。
「。。今更私に何が出来ようか」
江島はうつむき加減に先程より少し小さな声でひと言漏らした。
「江島様の元にいた宮守志信が月光院様のお命を狙っております。おわかりであるならばお教え下さい。宮守志信とは何者なのですか?何故月光院様だけでなく天英院様や上様のお命まで狙おうとするのですか?」
「宮守が。。」
「既に月光院様は刺客に襲われています。辛うじて私たちの仲間がこれを阻止して事なきを得ていますが、この先さらに激しくなるのは必至。宮守は三日月党と名乗る連中を使ってまで月光院様を亡き者にしようとしてきます」
左近がそこまで言うと江島は声を荒立てた。
「そのような事はさせぬ!」
それには隣り部屋にいた屋敷の監視人二人も驚いて何事かと部屋に入ってくるほどであった。
「すみません。つい昔の癖で声を荒げてしまった。お二方、何でもございません。お下がりくださって構いません」
江島からそう言われて監視人二人は隣り部屋に戻り、江島は少し間を置くと静かに話し始めた。
「私が憂いを残したまま大奥を去らざるを得なくなったために月光院様を危険な目にさらしてしまう事になろうとは。。」
そこまで言って再び間をとり、核心となる話しに入った。
「あなたには私の知っている限りの事をお話しします。宮守志信は三代将軍家光の正室であった鷹司孝子様付きの女中の孫に当たる人物です」
江島の告白に左近は驚き目を見開く。
「この女中は名前を滝田春子といい、十五歳で孝子様付き女中となったのですが、機転の効く頭のいい子で孝子様がとても可愛がった人物でした。
春子は自分を重用してくれた孝子様に心酔するようになっていきます。
ですが、そなたも存じていようと思いますが、孝子様は家光公とは形だけの夫婦で、冷遇され、不遇の人生を送りました。
春子は十八歳の時に孝子様の勧めで小田原城主小笠原一徳に仕えていた秋津弾正に嫁ぐ事になります。そして三人の子供が生まれますが、その長女の娘が志信です」
「何と。。」
「春子は大恩ある孝子様が不遇の扱いを受けて、位も与えられず、亡くなられてからも僅か五十両しか与えられなかった事を知ると、その恨みを晴らすべく自身の子供に教育してきました。
この長女は大人しい性格で春子がいくら聞かせても興味も恨みも持たなかったのです。
その後長女は京の宮守家に嫁ぎ、二十歳の時に生まれたのが志信です。
宮守家は鷹司家に仕えていた家でした。
これも母である春子が宮守家を選んで嫁がせたのです。
志信は大人しい性格であった母よりも祖父弾正と祖母春子の性格を濃く継いでいた人物で、頭も良く人の上に立つ器量も優れている反面、祖父の持つ叛逆の心と祖母の持つ怨念のようなものも受け継いでいました。
そのため春子から孝子様の恩と徳川家から受けた恨みを聞かされ、いつかこの恨みを晴らしてくれと育てられました。
こうして志信は将軍家への復讐心が芽生えていきます。
祖母が元大奥の女中だった事と鷹司家に仕える宮守家の者だったので、彼女の大奥入りは容易かったのです」
「江島様はその事を知りながら自らの手元に置かれたのですか?」
「いえ、最初は知りませんでした。ひと通りの教育を受けて祖母も大奥の女中であったという事で機転の効く賢い娘だと思い、重用したのは確かです。
江島は宮守志信が初めて大奥に来た日の事を思い出していた。
⭐︎⭐︎⭐︎
「宮守志信でございます。どうぞお引き回しのほど、よろしくお願い申し上げます」
江島の前でそう恭しく平伏する宮守志信。
「そなたの祖母はその昔、大奥に勤めていたと聞いている。当面は辛島(からしま)と呼ぶ事にする。しばらくは私の部屋で大奥の様子をご覧なされ。心を入れ替えて務めるように」
「お方様にお願いがございます。誠に勝手ながら我が家は京の出。出来る事であればこのまま本名の宮守でお仕えしたく存じます」
その言葉を聞いて江島は怪訝に感じたが、宮守家が京の名門である事を思い出した。
これが将軍付き、御台付きの女中であればそんな我儘は許されないが、自分付きの見習いの身ならばそれくらいは構わぬか。
江島はそう考えて許可する事とした。
「そなたは京の宮守家の者であったな。この大奥に来たからには大奥のしきたりに習ってもらわねばならぬが、まあいいでしょう。では宮守、務めは果たすようにな」
「はい。この身に変えましても」
宮守は笑顔でそう答えたが、江島はそれだけ言うとお喜世の元へと向かって行った。
「あの女子、顔は笑っていても目は笑っていなかった。まるで人形のようじゃ。。」
「あれが江島。。」
宮守は冷たい汗をかいていた。
凛とした声に立ち振る舞い、他の者とは違う。
お喜世の方の右腕と言われ、大奥に勤めてわずか三年で最高位である御年寄の地位についたのもうなずける人物に宮守は内心恐れを抱いた。
「私もそれなりに知識と教養は身につけたつもしであったが、あの女は別格だ。。江島がいる限り、復讐は遂げられぬ。。」
名前を改名しなかったのはたとえ復讐のために大奥に潜入したとはいえ、徳川の定めた名前に変えるなどまっぴらごめんだという考えからであった。
「江島はあまり物事にこだわらない大雑把な性格と聞いていたがその通りであったな。これは付け入る隙があるというものよ」
⭐︎⭐︎⭐︎
左近は江島の話をしばらく聞いていた。
「普段から表情を表さない、まるで感情のない人形のような態度に違和感を感じて密かに調べたところ彼女の素性がわかり、継続して器用すべきか大奥から出て行ってもらうかを考えていました。それを宮守に察知されたのと私の僅かな気の緩みから十年前の事件に嵌められてしまったのです」
十年前の事件とは歴史上に残る「江島生島事件」の事である。
「江島様は月光院様をお助けする為に冤罪を承知で自ら犠牲になられたというのが私が知りうる限りの顛末でございます」
左近の言葉に江島は首を横に振る。
「私の失敗は僅かなボヤでも消し止めておかねば大火事になるという事を甘組みすぎていた事でした。気がついた時には全てが燃え尽きて廃墟と化していたという訳です」
江島は少し遠くを見るような眼差しで引き続き当時の事を語る。
はっきり言ってしまえば何もない殺風景な場所であった。
ここで十年もの間、このお方は外に出る事も大奥での生活を口外する事を禁じるために筆を持つ事すら許されずに日々を過ごしていたと考えると左近は内心身震いしていた。
自分ならこんな孤独な場所と生活に耐えられるであろうか。
おそらく耐えきれず自らの命を絶っていたかも知れない。
このお方は聡明なだけでなく鉄のような意志を持つ人なのだとあらためて思うのだった。
「初めまして。私は上様の御庭番、十文字左近と申します。この度は上様の命により江島様に謁見させて頂きたく参りました」
左近の挨拶に江島は表情を崩さずに答える。
「その左近殿が私に何用でございましょう?吉宗様と私は何の関係もございませんし、大奥の事であれば話す事は何もございません。ここまでご足労頂いて恐縮ではありますが、どうぞお引き取り願います」
さすがに大奥で御年寄を務めた人物である。
有無を言わせぬ雰囲気に左近は内心圧倒されながらも、引きがらなかった。
「単刀直入に申し上げます。月光院様のお命を狙う者が現れました。このままでは月光院様が危のうございます。何卒、江島様のお力をお貸し下さい」
月光院の命が危険という言葉に江島が微かだがピクリと反応した。
「。。今更私に何が出来ようか」
江島はうつむき加減に先程より少し小さな声でひと言漏らした。
「江島様の元にいた宮守志信が月光院様のお命を狙っております。おわかりであるならばお教え下さい。宮守志信とは何者なのですか?何故月光院様だけでなく天英院様や上様のお命まで狙おうとするのですか?」
「宮守が。。」
「既に月光院様は刺客に襲われています。辛うじて私たちの仲間がこれを阻止して事なきを得ていますが、この先さらに激しくなるのは必至。宮守は三日月党と名乗る連中を使ってまで月光院様を亡き者にしようとしてきます」
左近がそこまで言うと江島は声を荒立てた。
「そのような事はさせぬ!」
それには隣り部屋にいた屋敷の監視人二人も驚いて何事かと部屋に入ってくるほどであった。
「すみません。つい昔の癖で声を荒げてしまった。お二方、何でもございません。お下がりくださって構いません」
江島からそう言われて監視人二人は隣り部屋に戻り、江島は少し間を置くと静かに話し始めた。
「私が憂いを残したまま大奥を去らざるを得なくなったために月光院様を危険な目にさらしてしまう事になろうとは。。」
そこまで言って再び間をとり、核心となる話しに入った。
「あなたには私の知っている限りの事をお話しします。宮守志信は三代将軍家光の正室であった鷹司孝子様付きの女中の孫に当たる人物です」
江島の告白に左近は驚き目を見開く。
「この女中は名前を滝田春子といい、十五歳で孝子様付き女中となったのですが、機転の効く頭のいい子で孝子様がとても可愛がった人物でした。
春子は自分を重用してくれた孝子様に心酔するようになっていきます。
ですが、そなたも存じていようと思いますが、孝子様は家光公とは形だけの夫婦で、冷遇され、不遇の人生を送りました。
春子は十八歳の時に孝子様の勧めで小田原城主小笠原一徳に仕えていた秋津弾正に嫁ぐ事になります。そして三人の子供が生まれますが、その長女の娘が志信です」
「何と。。」
「春子は大恩ある孝子様が不遇の扱いを受けて、位も与えられず、亡くなられてからも僅か五十両しか与えられなかった事を知ると、その恨みを晴らすべく自身の子供に教育してきました。
この長女は大人しい性格で春子がいくら聞かせても興味も恨みも持たなかったのです。
その後長女は京の宮守家に嫁ぎ、二十歳の時に生まれたのが志信です。
宮守家は鷹司家に仕えていた家でした。
これも母である春子が宮守家を選んで嫁がせたのです。
志信は大人しい性格であった母よりも祖父弾正と祖母春子の性格を濃く継いでいた人物で、頭も良く人の上に立つ器量も優れている反面、祖父の持つ叛逆の心と祖母の持つ怨念のようなものも受け継いでいました。
そのため春子から孝子様の恩と徳川家から受けた恨みを聞かされ、いつかこの恨みを晴らしてくれと育てられました。
こうして志信は将軍家への復讐心が芽生えていきます。
祖母が元大奥の女中だった事と鷹司家に仕える宮守家の者だったので、彼女の大奥入りは容易かったのです」
「江島様はその事を知りながら自らの手元に置かれたのですか?」
「いえ、最初は知りませんでした。ひと通りの教育を受けて祖母も大奥の女中であったという事で機転の効く賢い娘だと思い、重用したのは確かです。
江島は宮守志信が初めて大奥に来た日の事を思い出していた。
⭐︎⭐︎⭐︎
「宮守志信でございます。どうぞお引き回しのほど、よろしくお願い申し上げます」
江島の前でそう恭しく平伏する宮守志信。
「そなたの祖母はその昔、大奥に勤めていたと聞いている。当面は辛島(からしま)と呼ぶ事にする。しばらくは私の部屋で大奥の様子をご覧なされ。心を入れ替えて務めるように」
「お方様にお願いがございます。誠に勝手ながら我が家は京の出。出来る事であればこのまま本名の宮守でお仕えしたく存じます」
その言葉を聞いて江島は怪訝に感じたが、宮守家が京の名門である事を思い出した。
これが将軍付き、御台付きの女中であればそんな我儘は許されないが、自分付きの見習いの身ならばそれくらいは構わぬか。
江島はそう考えて許可する事とした。
「そなたは京の宮守家の者であったな。この大奥に来たからには大奥のしきたりに習ってもらわねばならぬが、まあいいでしょう。では宮守、務めは果たすようにな」
「はい。この身に変えましても」
宮守は笑顔でそう答えたが、江島はそれだけ言うとお喜世の元へと向かって行った。
「あの女子、顔は笑っていても目は笑っていなかった。まるで人形のようじゃ。。」
「あれが江島。。」
宮守は冷たい汗をかいていた。
凛とした声に立ち振る舞い、他の者とは違う。
お喜世の方の右腕と言われ、大奥に勤めてわずか三年で最高位である御年寄の地位についたのもうなずける人物に宮守は内心恐れを抱いた。
「私もそれなりに知識と教養は身につけたつもしであったが、あの女は別格だ。。江島がいる限り、復讐は遂げられぬ。。」
名前を改名しなかったのはたとえ復讐のために大奥に潜入したとはいえ、徳川の定めた名前に変えるなどまっぴらごめんだという考えからであった。
「江島はあまり物事にこだわらない大雑把な性格と聞いていたがその通りであったな。これは付け入る隙があるというものよ」
⭐︎⭐︎⭐︎
左近は江島の話をしばらく聞いていた。
「普段から表情を表さない、まるで感情のない人形のような態度に違和感を感じて密かに調べたところ彼女の素性がわかり、継続して器用すべきか大奥から出て行ってもらうかを考えていました。それを宮守に察知されたのと私の僅かな気の緩みから十年前の事件に嵌められてしまったのです」
十年前の事件とは歴史上に残る「江島生島事件」の事である。
「江島様は月光院様をお助けする為に冤罪を承知で自ら犠牲になられたというのが私が知りうる限りの顛末でございます」
左近の言葉に江島は首を横に振る。
「私の失敗は僅かなボヤでも消し止めておかねば大火事になるという事を甘組みすぎていた事でした。気がついた時には全てが燃え尽きて廃墟と化していたという訳です」
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