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最終章 最後の戦い
復活の狼煙
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仇打ちと称して神宮寺稀を倒しに行った志穂が返り討ちにされたという報告が草刈愛梨の元にもたらされると愛梨は信じられないといった表情を浮かべた。
「バカな。。志穂がやられるとは。神宮寺稀とやらは十五年前に法元様を封じ込めた奴らとは無関係だったからまったくノーマークだった。法元様の支障となるようであれば排除せねばならぬ」
愛梨は取り急ぎこの件を法元に伝えたが、法元は捨てておけと志穂を切り捨てた。
「俺にはお前一人居れば十分だ。霊媒師志穂だか何だか知らぬ奴が誰に負けようと知った事ではない。それよりも俺を封印した奴らを叩き潰す方が先だ」
法元の言葉に愛梨は平伏する。
「法元様、いよいよ奴らを誘き出すのでございますね。お身体の具合はいかがですか?」
「おお、具合はいいぞ。眠る前にほぼ戻っている。愛梨、準備は出来ておろうな」
「もちろんでございます。この日が来るのを待っていたのですから。して、決行の日はいつになさいますか?」
「そうよな。今すぐでも構わぬぞ。俺の体も封印前の状態にほぼ戻った。こうなればもう待つ事などないからな」
「では早速準備をさせましょう。奴らがこの教団本部に入ったら最後、二度と出られないようにするために信者を総動員致します。無論、奴らを片付けるのは法元様にお任せ致します。私たちは奴らの逃げ道を塞ぐ防波堤となりましょう」
愛梨の言葉に法元は満足そうにうなづく。
そして大きく深呼吸をすると体中に霊気を溜め込んだ。
「虫ケラどもを誘き出す気を放つ。俺の復活を祝う打ち上げ花火だ」
法元が全身から気を解き放つとその凄まじい霊波動は一気に聖菜の住む南町全体を覆い尽くすかのように広がっていった。
この巨大で強力な気に聖菜と那由多だけでなく他の人たちも気がついた。
藤村桐子、西巻明日香、そして神宮寺稀。
聖菜が今まで助け、共に戦ってきた仲間たちも巨大な気にとてつもない事が起きる気配を感じていた。
気を感じる事は出来ないが、ピリピリとした空気から嫌な予感を感じていた零と麻里奈。
「麻里奈、異様な空気を感じないか?」
「感じる。。私たちでさえわかるくらいだから聖菜さんたちも気づいているんだろうね」
神宮寺稀は目の前にある水晶が黒く変化するのを見て不安を募らせる。
「この水晶がこんなに黒くなるのは初めて。。狭間法元の霊力は想像よりも遥かに上という事なのね」
「稀様、このような邪悪を感じる気は今まで経験した事がありません」
「一体何が起こっているのですか?」
瑠奈と莉乃も初めて肌で感じる法元の凄まじい霊波動に驚きと恐怖も感じていた。
「瑠奈、莉乃。私に付く以上は死を覚悟するつもりでと話した事がありましたね。いよいよその時が来たのかも知れませんわ」
「では、稀様がおっしゃっていた狭間法元という人物が目覚めたという事ですか?」
「おそらく。。聖菜さんもきっと気がついていると思いますわ」
稀自身、初めて感じる法元の巨大な気に背筋に悪寒が走る。
恐山で蓮香からも聞いたし聖菜の母である美里からも聞いてはいたが、想像してたよりも十倍は上であろう。
今の稀の力でもまともにやり合ってはひとたまりもない。
やはり美里から伝授された「あの技」を使わないと勝ち目はなさそうだと思うのだった。
「凛、感じるか?」
「ああ。嫌と言うほどな。あの時の記憶が蘇って来て悪寒がするよ」
「雪乃様、これが狭間法元なのですか?」
黒澤真美の問いに雪乃の凛が同時にうなづく。
「間違いない。この恐ろしいほどの霊力、悪気はあいつ以外に考えられない。美里さんの滅天悪(メテオ)の結界が破れてしまったようだな」
雪乃と凛、真美の三人は来るべき時が来たと全員が聖菜のいる千葉の南町へ向かう準備を始めた。
「本来なら私たちは聖菜さんに顔を合わせられるような立場じゃない。。美里さんを助けられずに死なせてしまった事に対して聖菜さんからいかに咎められようと一切の言い訳もするつもりはない」
雪乃はそこまで言って顔を上げた
「だが、今度こそは必ず狭間法元を打ち倒して聖菜さんを守る。そのためにこの十五年修業して来たんだ」
「あの時はまだみんな十代だった。甘っちょろいガキだったと今思い出してもそう思う。だが、ボクたちもあの時よりも遥かにレベルアップしている。今度こそ必ず奴を仕留めてやる」
「真美、蓮香と舞美の二人とは今だに連絡が取れないのか?」
「はい。お二人とも恐山に入ったのを最後に本日まで消息が掴めておりません」
「そうか。でもあの二人なら法元の気を感じたら必ず駆けつけてくれる。我々はひと足先に聖菜さんと合流するとしよう。凛、真美。行くぞ」
「おう!」
「はい!」
「バカな。。志穂がやられるとは。神宮寺稀とやらは十五年前に法元様を封じ込めた奴らとは無関係だったからまったくノーマークだった。法元様の支障となるようであれば排除せねばならぬ」
愛梨は取り急ぎこの件を法元に伝えたが、法元は捨てておけと志穂を切り捨てた。
「俺にはお前一人居れば十分だ。霊媒師志穂だか何だか知らぬ奴が誰に負けようと知った事ではない。それよりも俺を封印した奴らを叩き潰す方が先だ」
法元の言葉に愛梨は平伏する。
「法元様、いよいよ奴らを誘き出すのでございますね。お身体の具合はいかがですか?」
「おお、具合はいいぞ。眠る前にほぼ戻っている。愛梨、準備は出来ておろうな」
「もちろんでございます。この日が来るのを待っていたのですから。して、決行の日はいつになさいますか?」
「そうよな。今すぐでも構わぬぞ。俺の体も封印前の状態にほぼ戻った。こうなればもう待つ事などないからな」
「では早速準備をさせましょう。奴らがこの教団本部に入ったら最後、二度と出られないようにするために信者を総動員致します。無論、奴らを片付けるのは法元様にお任せ致します。私たちは奴らの逃げ道を塞ぐ防波堤となりましょう」
愛梨の言葉に法元は満足そうにうなづく。
そして大きく深呼吸をすると体中に霊気を溜め込んだ。
「虫ケラどもを誘き出す気を放つ。俺の復活を祝う打ち上げ花火だ」
法元が全身から気を解き放つとその凄まじい霊波動は一気に聖菜の住む南町全体を覆い尽くすかのように広がっていった。
この巨大で強力な気に聖菜と那由多だけでなく他の人たちも気がついた。
藤村桐子、西巻明日香、そして神宮寺稀。
聖菜が今まで助け、共に戦ってきた仲間たちも巨大な気にとてつもない事が起きる気配を感じていた。
気を感じる事は出来ないが、ピリピリとした空気から嫌な予感を感じていた零と麻里奈。
「麻里奈、異様な空気を感じないか?」
「感じる。。私たちでさえわかるくらいだから聖菜さんたちも気づいているんだろうね」
神宮寺稀は目の前にある水晶が黒く変化するのを見て不安を募らせる。
「この水晶がこんなに黒くなるのは初めて。。狭間法元の霊力は想像よりも遥かに上という事なのね」
「稀様、このような邪悪を感じる気は今まで経験した事がありません」
「一体何が起こっているのですか?」
瑠奈と莉乃も初めて肌で感じる法元の凄まじい霊波動に驚きと恐怖も感じていた。
「瑠奈、莉乃。私に付く以上は死を覚悟するつもりでと話した事がありましたね。いよいよその時が来たのかも知れませんわ」
「では、稀様がおっしゃっていた狭間法元という人物が目覚めたという事ですか?」
「おそらく。。聖菜さんもきっと気がついていると思いますわ」
稀自身、初めて感じる法元の巨大な気に背筋に悪寒が走る。
恐山で蓮香からも聞いたし聖菜の母である美里からも聞いてはいたが、想像してたよりも十倍は上であろう。
今の稀の力でもまともにやり合ってはひとたまりもない。
やはり美里から伝授された「あの技」を使わないと勝ち目はなさそうだと思うのだった。
「凛、感じるか?」
「ああ。嫌と言うほどな。あの時の記憶が蘇って来て悪寒がするよ」
「雪乃様、これが狭間法元なのですか?」
黒澤真美の問いに雪乃の凛が同時にうなづく。
「間違いない。この恐ろしいほどの霊力、悪気はあいつ以外に考えられない。美里さんの滅天悪(メテオ)の結界が破れてしまったようだな」
雪乃と凛、真美の三人は来るべき時が来たと全員が聖菜のいる千葉の南町へ向かう準備を始めた。
「本来なら私たちは聖菜さんに顔を合わせられるような立場じゃない。。美里さんを助けられずに死なせてしまった事に対して聖菜さんからいかに咎められようと一切の言い訳もするつもりはない」
雪乃はそこまで言って顔を上げた
「だが、今度こそは必ず狭間法元を打ち倒して聖菜さんを守る。そのためにこの十五年修業して来たんだ」
「あの時はまだみんな十代だった。甘っちょろいガキだったと今思い出してもそう思う。だが、ボクたちもあの時よりも遥かにレベルアップしている。今度こそ必ず奴を仕留めてやる」
「真美、蓮香と舞美の二人とは今だに連絡が取れないのか?」
「はい。お二人とも恐山に入ったのを最後に本日まで消息が掴めておりません」
「そうか。でもあの二人なら法元の気を感じたら必ず駆けつけてくれる。我々はひと足先に聖菜さんと合流するとしよう。凛、真美。行くぞ」
「おう!」
「はい!」
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