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2章 約束と忘れた思い出

22.怪しい魔法瓶

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「お、返事が返ってくるの今回は早かったな」

ピチチと鳴きながら姿を表した小鳥を手に乗せ、その小さな足で掴まれている紙を抜き取った

「流行り…ねぇ…?」


タージルはニヤリと笑い、フレールに声をかけた



◆◇◆◇◆
「急に出かけるぞって…!
 僕ら軟禁されてたんですよ?!!」
「まーまー、バレないから大丈夫だって」

髪色と髪型、そして服装も変えてしまえば気付かれないと魔法をかけられ部屋から抜け出し街へと降りた

「ふーむ、しかし平民を見る限りでは病が流行っている様子がないが…」
「貴族だけって事ですか…?」
「あー、まぁ聞いてみようか。
あぁ、すまない、そこのお嬢さん」

いや、なに。ちょいと聞きたいことがあるのですが。なんだい?あぁ、怪しまないで、私は国外の商人を営んでいる親戚からのお使いなんです。お使い?うちの商品を?いえ、流行りものを知りたいと…こちらの商品を買いますので──
そうタージルは野菜を売っている女性に話しかけ言葉巧みに情報を聞き出していた

「なるほどなるほど…」
「タージルさん、なにか分かったんですか?」
「うーん、分からないが、怪しい話は聞いたね
まぁ、他にも何人かに聞き込みをしないと断定は出来ないが…」

戻ってきたタージルは難しそうな顔をしてフレールにそう言葉を返した
いくつかの店で聞き込みをしてみたが、タージルの表情は険しくなる一方だった

「はーー、ダメだ。さっぱり分からないな」
「え、分からないんですか?!」
「いや、怪しい魔法瓶に葡萄酒を入れて飲むと美味くなると貴族ではやっている…
これしか原因は無いんだが…」
「それを訴えればいいんですね?!」
「いいや、原因は分かっても、その魔法瓶がなんなのか…
本当にただ魔法がかかっているだけかもしれないし」

はぁ、本当にめんどくさいと溜息をつきながらフレールに今日はもう収穫もないし戻ろうと声をかける

「これで解決出来なかったらどうするんですかぁ~!」

妹に会いたいと弱音を吐きながら、タージルの背を追うと彼はハハハと笑ってフレールに振り返った

「解決出来なかったら?いいやそれは有り得ない、
まぁ、それを解決と言えるのかと疑問はあるだろうが…
最悪迎えが来るし、無理ならこの国の王を殴って出ていけばいい!」
「いや、殴るのはダメでしょう…!国際問題とか、色々…!!」

タージルは笑みをそれはそれは深くし否定する

「確かに、私がただの商人だったらそうだ。
しかし、残念ながら私はそのただの商人ではない。
まぁ、虎の威を借る狐になってしまうがね」
「え…?」

さぁーて、早く部屋に帰って報告を書かなければ~とわざとらしそうにスキップを始めたタージルをフレールは慌てて追いかけた
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