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1章 出会いと記憶

3.今後のお話

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魔女が用事を終え部屋に戻るとエーデルとリオンは手紙を広げたまま泣いていた

「あら、まだ早かったかしら」
「あっ魔女さま、ごめんなさい」
「いいえ、私は別にいいけどあなた達が泣きすぎて干からびてしまうわ」

ぽんぽんと魔女が軽くテーブルを叩くと果実水の入った魔法瓶とふかふかのタオルが現れる

「これをお使いなさい
それで、お兄さんの手紙からはなんて?」
「ありがとうございます魔女さま。
義兄上は少しの間はまだ身を潜めていろと…」

エーデルほどでは無いが目が赤くなっているリオンは眉をひそめながらそう言った

「ふぅん…どうしてかしら?
国はもう滅んだのでしょう?」
「何でも、私の元婚約者であるイリスが私の事を探していると」
「どうも妻のことを逆恨みしているらしいのですが…
何故かエーデルの事を求めているようで…
…何をどう考えればエーデルさえ手にはいればまた玉座に戻れると思ったのか…」
「なんにしてもその男は愚かなものね」

たとえ無理矢理手にしても1度手放してしまったものは二度と元には戻らないのに
頭を抱えるリオンを横目に魔女は心の中でそう吐き出した

「それで、魔女さまに相談なのですが…」
「何かしら?」
「何処か隠れて過ごしやすい村や場所などを紹介して貰えないでしょうか…」
「あら…それならうちに住めばいいじゃない」
「え?いえあの、魔女さまにそこまでお世話になるわけには…」

ふむ、と魔女はひとつ頷きならばとエーデルとリオンに1つ提案をした

「そうね、なら住み込みで働くって言うのはどうかしら?
今知り合いの病院に調合した薬を降ろしているのだけれどなんせ量が多いの
人手が足りないのよエーデル、あなたが私の手伝いをして頂戴。
リオンも、最近じいやが歳で重いものが運べないと言っていたのよ」
「どうして…そこまで…」

驚くエーデルにいたずらっ子のような笑みを浮かべた魔女はクスリと笑いながら2人にいった

「それに、あなたのお兄さん
魔道具が作れるんですって?その手紙を持ってきた商人に素敵な魔道具のオルゴールを見せてもらったわ
とても繊細で私、気に入ってしまったのよ
だから、あなた達に恩を売るのは私のお気に入りの為。
それじゃあ理由にならないかしら」
「いえ…いえ!ありがとうございます。
この御恩、必ず返しますわ」
「言ったでしょ?私の為だと
それでも…と言うのならしっかりと働いてちょうだいね?」

クスクスと楽しそうな魔女の膝の上で黒猫はミャーンと機嫌良さそうに鳴いた
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