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第二章  冒険の始まり

騎士の処置-5-

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 「あなたここはあぶないわ、直ぐに———」
 カレンの母親が夫に言うと、気の抜けた返事をする。
 「。どうした、立ち上がれないのか」
 夫の一言を聞き終えると、カレンの母親の視界は通常の明るさを取り戻す。瞼を開ける。足の草は緩み、外せる。
 (絶対に捕まえてやる)
 カレンの母親は立ち上がりながら思うのだった。
 アーウェン達はバザーで冒険に役立ちそうな物を探していた。保存がきく、スパイス、ハーブ、缶詰、瓶詰、焼いたり、乾燥させたりしてる物を買っていると、後ろから声をかけられる。聞き馴染みはあるが、如何やら切迫しているようだ。
 「ここを出た方がいい」
 バニラにしては単刀直入な言い方だ。
 「わかった、歩きながら念話で話そう」
 アーウェンが言うと、バニラは頷く。
 カレンの母親のことを聞き、パートナー狩りがいると聞いた。こちらの不意打ちが効いたからまだ良かったが対策がとられれば、ひとたまりもない。だから早くここを出たいと言うのだ。
 『うん、わかった、とりあえず面が割れている、バニラ達は、ブラックボックスに入ってもらって、出てもらうのは一人にして…テントって出来ているなら、ここを出て行く感じかな』
 タスクが言う。
 『まだ、出来てない。旅に出て、途中で仕上げるのにも時間かかる…』
 アーリーが言う。
 『ん~それじゃあ一旦、ブラックボックスに戻ってもらって。今ブラックボックスに戻れる』
 アーウェンが言うと、返事が帰ってくる。
 『うん、人混みに入ったら戻るね……………戻った』
 アーリーが言う。他の皆も戻れた様だ。
 買い物も終わり、宿屋に行く事にした。帰り道すがらカレンの母親とやらの特徴を聞き、注意深く見つつ、宿屋に着いた。少し安堵したが、気を抜けない。フー、ルー、アメリア全員いる。ツインの部屋に行き皆を出す。夕飯の軽食を食べ、ここからテント作りを行う。
 フー、ルーとアメリアは戦力外、他の皆で作っていたら、アメリアがその場で開発した、どこでもミシンによって産業革命がおきる。予定より早くできた。ここからは眠れない夜になりそうだ。
 小鳥が鳴く声、日差し、人の声。朝なのは確かだ、時間の流れがわからなくほどに求め合った。
 バニラが急ぎ、支度をしている。それを見ていたが、アーウェンはクロムに抱きつき、顔を擦り付ける。クロムもそれに気づき。抱きしめる。
 「いいから、早く支度してくださいな」
 バニラがイライラが伝わって来る。
 「うん、わかったよ」
 アーウェンはクロムにくちづけをし、みんなにも同じ起こし方をする。最後に、バニラにしようとしたが断られてしまった。
 この後のことを考える事にした。
 まず宿屋を全員出る。出る順番は、アーウェン、バニラ、フー、ルー、アメリア、アーリー、バニラ、クロムの順に出る。カレンの母親とやらがいなければ、路地に入り、皆をブラックボックスに入れる。
 「どうやらいない様だね」
 そうなると、門の前で待っているだろう。僕一人なら、気づかれず、出れるだろう。門がある大通りを歩いていると、そこには女性が一人でポツンと立っていた。彼女に警戒しつつ、前に進む。
 「貴方を探していましたの」
 落ち着いた声だが狂気をはらんでいる。
 喉元にはナイフを置かれ、身動きが取れない。皆をブラックボックスから出すこともできない。遠目に見ても、刃は薄く、女性が、肩を組んでる様にしか見えない。それはそれでおかしいと思うのだが。
 彼女が一歩一歩と引きずり後ろに下がる。行き先は路地の様だ。
 路地の手前まで来る。アーウェンは下がると同時に、彼女の下顎に頭突きをし、ナイフを当ててる手の間に腕を入れ、体を脱力させ、蛇の様に逃げる。
 「まっ………っ」
 カレンの母親は今まで感じたことのない衝撃を受ける。
 
 
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