蛍

蛍

清流にいる蛍
静かな夏の夜の闇の中で淡い光を放つ蛍
一匹捕まえて
掌の隙間からそっと覗く
掌の中で淡く優しい光を放つ蛍

清流にいたあなた
月の光の中で優しい光を放っていた
あなたを捕まえて
あなたの手を握った

蛍もあなたもずっと掴んでいると
光を失う
だから直ぐに手を離し
逃がした

ずっと掴んでいたいのに
ずっと優しさに包まれていたいのに
蛍もあなたも離さないと
光を失ってしまう
何て切なく哀しいの…

蛍とあなた
ずっとずっと私の手の中にいて欲しいのに
弱すぎて手を離さずにはいられない

私が蛍になれたら
あなたは私を捕まえてくれる？
ずっと優しく包んでくれる？
あなたの掌の中で光を失い
命を失うなら幸せな想いでひと夏を終わることが出来る…