34 / 38
第三十四話
しおりを挟む
それから数ヶ月、オレたちはモンスター保護と魔王島から魔王城への物資の移動も始めた。 魔王島の船は五十隻をこえ、交易も活発におこなっている。
「かなりモンスターも増えて、文化的にも進んだな」
「ええ、魔王城の軍事力も教育や衛生面も進みました。 もはや国家といっても差し支えはないでしょう。 完全なる新たな魔王の誕生ですな!」
城の会議室で、わーちゃんはゴブリンたちと両手をあげて喜んでいる。
「よせやい! 魔王なんてテレる!」
「ですが、モンスターの王であることは間違いありませんね」
ミリエルが笑顔でそういうと、クエリアはうなづく。
「そうだな。 しかし国交を結べんのが残念だ」
「でもさ、でもさ、クエリアが皇帝になれば結べんじゃない」
マゼルダがオレの肩にのって足をバタバタさせてそういっている。
「そうだな。 私が皇帝をつげればな......」
「まあ、そうなればいいな。 ああ、それでマティナスあれはなんだったかわかった?」
「ああ、お前たちが持ち込んだあの球体の欠片だな。 お前たちの予想通りやはり魔力をためるものだった。 おそらくドワーフが作ったものだろうな」
「やはりか......」
「だが、それだけではない。 あれを逆流して使えば魔力暴走を引き起こせるということもわかった」
「それじゃあ......」
「おそらく、各地のモンスター暴走の原因だろう」
「ということは帝国絡みか...... 法王国にまでその手を伸ばしていたとはな」
クエリアがそういって黙る。
「まあ、帝国の動向は調べさせているし、今のところ動きもない。 だから今は更に多くのモンスターや物資を魔王城に移すのと、交易による発展、更なる技術の獲得、それらを進めていこう」
オレはみんなにそう頼んだ。 それぞれが部屋を出ていった。
「トラとわーちゃん少し話がある......」
「何だマティナス」
オレとわーちゃんは部屋に残り、マティナスと話をする。
「トラ...... そなた私たちに隠し事があるか......」
「えっ? どういうこと」
「フィニシスオーバーは神の御力なしで、操れるものではない。 ましてただの人間ならなおのこと、モンスターテイムのことといい、そなた何者だ」
「マティナスさま! 何をおっしゃいます! マスターはなにも隠し事など......」
「何か関係していることをしらねば、この先さまざまな障害も出よう。 他言するつもりもない」
「しかし」
「わーちゃんいいよ」
「マスター......」
「まあ、おかしいと思われて当然だ。 オレも隠していたつもりもない。 説明してもわからないと思ったからだ。 わーちゃんは聞かなかったが、最初から気づいていただろ」
「......は、はいまあ、へんな老人からもらったとおっしゃっていましたし......」
そう少し遠慮ぎみにわーちゃんは答えた。
「そうだな...... なぜオレがこの力を持ってるのかから話そう」
オレはこの世界の人間ではなく、死んでこの世界に転生し、この力は老人に与えられたことなど、伝えられることはすべて伝えた。
「......そんな、異世界」
「ふむ、狭間とやらにいた老人か......」
「オレが知ってるのはそれだけ、なぜこの力を与えられたのかも、なぜこの世界にいるのかもわからん。 まあ信じてもらえるはわからないけど」
「何をおっしゃいます信じます! それに私はあなたが何者だろうが構いません!」
わーちゃんは興奮していった。
「ああ、別に疑っているわけではない。 お前は正直で極めて単純な男だ。 たいした策謀など企めんしな」
そういってマティナスは笑う。
「それほめてる? バカにされてるの?」
「まあしかし、マスターに力を与えたものか...... 何者でしょうな?」
「わからんがかなりの力を持つものだろう。 だが、この世界を救えとはどういうことか......」
「うーん、なぞね」
「おわっ!! マゼルダ!? お前いつの間に」
「普通にいたわよ。 隠蔽の魔法でね。 私をのけ者にしようなんて百年速いわ」
マゼルダはにっと笑うと肩に乗った。
「まあ、いいか、でも他にはいうなよ。 混乱するかもしれん」
「聞いたところでみんなの態度が変わるとは思えないけど、元々あんた人間なんだし」
「そんなことはわかってるけど、変に気をつかわれんのもしんどいんだよ」
「わかったわよ。 はい」
マゼルダはオレの前にその小さな両手をだした。
「なにその手?」
「口止め料」
「お金とんの!?」
「当然じゃない、この世はなにかを得るには対価が必要なのよ」
「わかったよ...... 今月あんま残ってないんだけど...... ミリエルは結構お金に厳しいんだ。 オレ、おこづかい制なんだから」
オレはおこづかいからお金をマゼルダに渡した。
「まいどありー!」
「ん」
マティナスが手をだした。
「......マティナスなに?」
「我にも口止め料」
「なんで!?」
「得られるときに得る。 これも世の摂理だ」
「くそっ......」
オレはなけなしのおこずかいをとられた。 もしやと思いわーちゃんをみる。
「だ、大丈夫です。 私には必要ありませんので!」
そうわーちゃんはいってくれた。
そこから一年あまり、何事もなく魔王島から魔王城の移動ははすすむ。 交易により財政が潤い、かなりの貯蓄はできた。
「魔王城への財貨の移送も完了した。 これで最悪この島になにかあっても大丈夫だな」
「でも、こんなところ誰も攻めてこないでしょ、もぐっ」
マゼルダは俺の肩にお菓子をこぼしながらいう。
「しかし、これだけ大量かつ高品質な生産物の製造、交易を行っているのに、どこの国でもないことは、さすがに気づかれているはず、どこかの国がこの島の存在を知るのも時間の問題かと」
わーちゃんは机に広げた地図をみながらいう。
「ええ、この近辺に他国の偵察の船舶らしきものをみたと警戒中のマーマンとマーメイドたちがみています」
「モンスターの減少により他に兵力や余力を回せるからな。 調査などをする余裕ができたのだろう」
クエリアがそういった。
「オレたちがモンスターを保護しているからか...... まあしかたないな」
「冒険者と交易を行うモンスター以外、魔王城に移しておきましょう」
「だな」
わーちゃんに同意する。
「それでマティナス、ギュレル、他の場所へ設置の方できたかな?」
「ああ、各地の辺境に装置は完成し、すぐに配置した」
「大変だったぞ復元するのは、技術が失われていたからな。 確認してみろ」
装置のある魔王島の洞窟へと向かう。
そこには左右に柱がたちその上に二つの球体がある。
「これが完成品か」
「ああ、トロールの里にあった魔王城への装置と同じ技術を複製したものだ」
オレにマティナスが答える。
両柱の中央にたつとその瞬間、魔王城のみえる草原にいた。
「すごいな! 転送装置! これを各国に設置したのか」
「ああ、人のいない小島や洞窟内に、結界をはる魔法装置と共に置いた。 これで世界各地へと移動もできる」
「もう各地へと船の移動をすませた。 そこから交易も行える」
「ありがとう二人とも、でもあの神殿どうする?」
「アイディメナスか...... あの棺だけ移動させるか」
「頼めるかマティナス」
「わかったやっておこう」
「これで、なにか起こっても平気だな。 とりあえず更にモンスターの保護、交易やここの発展に力をつくそう」
それから一年は何事もなく進んだ。 魔王城にこの世界の多くのモンスターが保護され、それらと契約と名前をつける日々が続いた。
「マスター、ミリエルどの。 今日の契約は終了です」
わーちゃんが書類に目をやりながらいった。
「ふひぃ! 終わった......」
「はい、今日は1000はいったんじゃないでしょうか」
魔力供給をしてくれていたミリエル大きくなったイータを膝にのせ、そういった。
「そんなに、かなりの数契約できるようになったな」
「さすが! マスター! まさに王!」
わーちゃんが誉めてくれる。
「よせやい!」
「かなり魔力が増えているようだな」
クエリアが感心したようにいう。
「ええ、マスターはもはや、この世界に並ぶもののいないほどの魔力を保有していると考えられます」
わーちゃんはわがことのように誇らしく胸を張る。
「そういえば多くのモンスターが進化しておりますね」
「えっ、そうなのミリエル」
「はい、冒険者となったもの以外でも、モンスターが進化していますよ。 ごーぶさん、ファガーさんやブルルさん、エイバムさん、クワロさんやリシェエラさんなどそれぞれの長たちも進化しています」
「どういうこと? 進化するのって戦闘だけじゃないの」
「いいや感情の変化が魔力の発生に関係してる。 必ずしも憎しみや憎悪ではなく、幸福や安心なども魔力を発生させるのだ。 それで進化したのだと思う」
ギュレルの言葉にマティナスはうなづいた。
「つまりここが心地いいからってことか、いいことだな」
「それもこれも、マスターの尽力につきますな!」
「よせやい...... ここまでこれたのはみんなのお陰だよ。 ありがとう」
「そうよ! わかってんじゃない!」
マゼルダはそういって頭に乗っかってきた。
「そうですね。 みなさんのおかげです」
「よい仲間がいたからだな」
ミリエルとクエリアは笑顔で答えた。
「まさか、モンスターたちが共存できる日が来るとはな」
「いかにもです」
マティナスとギュレルは感慨深げだ。
「だけど、まだ終わりじゃない」
「ですな」
オレとわーちゃんはうなづいた。
「なによ。 もうやることなんてないでしょ」
マゼルダは頭の上から覗き込んでくる。
「いいや、人間とモンスターの共存させることだ」
「共存...... そんなのできないから、この城にみんなをつれてきたんじゃないの?」
「今はな。 だが、事情を知るものたちが増えて、みんながモンスターを受け入れてくれるようになることが、一番だろ」
「まあね......」
「いずれそうなるように、それを目指していくんだ」
「素晴らしい考えですトラさま」
「......それが可能なら、いや可能にしたいものだ」
ミリエルとクエリアはうなづいた。
「それはいままでだれもなせなかった夢物語......」
「しかし、トラ、いやここの皆ならばあるいは......」
ギュレルとマティナスもうなづく。
「やりましょう! マスターなら、いや私たちならばそれ可能!」
「よし!! 今からかんばるぞー!!」
オレたちがそう決意を新たにした四日後、グランディオス帝国皇帝の死去の一報が届いた。
「かなりモンスターも増えて、文化的にも進んだな」
「ええ、魔王城の軍事力も教育や衛生面も進みました。 もはや国家といっても差し支えはないでしょう。 完全なる新たな魔王の誕生ですな!」
城の会議室で、わーちゃんはゴブリンたちと両手をあげて喜んでいる。
「よせやい! 魔王なんてテレる!」
「ですが、モンスターの王であることは間違いありませんね」
ミリエルが笑顔でそういうと、クエリアはうなづく。
「そうだな。 しかし国交を結べんのが残念だ」
「でもさ、でもさ、クエリアが皇帝になれば結べんじゃない」
マゼルダがオレの肩にのって足をバタバタさせてそういっている。
「そうだな。 私が皇帝をつげればな......」
「まあ、そうなればいいな。 ああ、それでマティナスあれはなんだったかわかった?」
「ああ、お前たちが持ち込んだあの球体の欠片だな。 お前たちの予想通りやはり魔力をためるものだった。 おそらくドワーフが作ったものだろうな」
「やはりか......」
「だが、それだけではない。 あれを逆流して使えば魔力暴走を引き起こせるということもわかった」
「それじゃあ......」
「おそらく、各地のモンスター暴走の原因だろう」
「ということは帝国絡みか...... 法王国にまでその手を伸ばしていたとはな」
クエリアがそういって黙る。
「まあ、帝国の動向は調べさせているし、今のところ動きもない。 だから今は更に多くのモンスターや物資を魔王城に移すのと、交易による発展、更なる技術の獲得、それらを進めていこう」
オレはみんなにそう頼んだ。 それぞれが部屋を出ていった。
「トラとわーちゃん少し話がある......」
「何だマティナス」
オレとわーちゃんは部屋に残り、マティナスと話をする。
「トラ...... そなた私たちに隠し事があるか......」
「えっ? どういうこと」
「フィニシスオーバーは神の御力なしで、操れるものではない。 ましてただの人間ならなおのこと、モンスターテイムのことといい、そなた何者だ」
「マティナスさま! 何をおっしゃいます! マスターはなにも隠し事など......」
「何か関係していることをしらねば、この先さまざまな障害も出よう。 他言するつもりもない」
「しかし」
「わーちゃんいいよ」
「マスター......」
「まあ、おかしいと思われて当然だ。 オレも隠していたつもりもない。 説明してもわからないと思ったからだ。 わーちゃんは聞かなかったが、最初から気づいていただろ」
「......は、はいまあ、へんな老人からもらったとおっしゃっていましたし......」
そう少し遠慮ぎみにわーちゃんは答えた。
「そうだな...... なぜオレがこの力を持ってるのかから話そう」
オレはこの世界の人間ではなく、死んでこの世界に転生し、この力は老人に与えられたことなど、伝えられることはすべて伝えた。
「......そんな、異世界」
「ふむ、狭間とやらにいた老人か......」
「オレが知ってるのはそれだけ、なぜこの力を与えられたのかも、なぜこの世界にいるのかもわからん。 まあ信じてもらえるはわからないけど」
「何をおっしゃいます信じます! それに私はあなたが何者だろうが構いません!」
わーちゃんは興奮していった。
「ああ、別に疑っているわけではない。 お前は正直で極めて単純な男だ。 たいした策謀など企めんしな」
そういってマティナスは笑う。
「それほめてる? バカにされてるの?」
「まあしかし、マスターに力を与えたものか...... 何者でしょうな?」
「わからんがかなりの力を持つものだろう。 だが、この世界を救えとはどういうことか......」
「うーん、なぞね」
「おわっ!! マゼルダ!? お前いつの間に」
「普通にいたわよ。 隠蔽の魔法でね。 私をのけ者にしようなんて百年速いわ」
マゼルダはにっと笑うと肩に乗った。
「まあ、いいか、でも他にはいうなよ。 混乱するかもしれん」
「聞いたところでみんなの態度が変わるとは思えないけど、元々あんた人間なんだし」
「そんなことはわかってるけど、変に気をつかわれんのもしんどいんだよ」
「わかったわよ。 はい」
マゼルダはオレの前にその小さな両手をだした。
「なにその手?」
「口止め料」
「お金とんの!?」
「当然じゃない、この世はなにかを得るには対価が必要なのよ」
「わかったよ...... 今月あんま残ってないんだけど...... ミリエルは結構お金に厳しいんだ。 オレ、おこづかい制なんだから」
オレはおこづかいからお金をマゼルダに渡した。
「まいどありー!」
「ん」
マティナスが手をだした。
「......マティナスなに?」
「我にも口止め料」
「なんで!?」
「得られるときに得る。 これも世の摂理だ」
「くそっ......」
オレはなけなしのおこずかいをとられた。 もしやと思いわーちゃんをみる。
「だ、大丈夫です。 私には必要ありませんので!」
そうわーちゃんはいってくれた。
そこから一年あまり、何事もなく魔王島から魔王城の移動ははすすむ。 交易により財政が潤い、かなりの貯蓄はできた。
「魔王城への財貨の移送も完了した。 これで最悪この島になにかあっても大丈夫だな」
「でも、こんなところ誰も攻めてこないでしょ、もぐっ」
マゼルダは俺の肩にお菓子をこぼしながらいう。
「しかし、これだけ大量かつ高品質な生産物の製造、交易を行っているのに、どこの国でもないことは、さすがに気づかれているはず、どこかの国がこの島の存在を知るのも時間の問題かと」
わーちゃんは机に広げた地図をみながらいう。
「ええ、この近辺に他国の偵察の船舶らしきものをみたと警戒中のマーマンとマーメイドたちがみています」
「モンスターの減少により他に兵力や余力を回せるからな。 調査などをする余裕ができたのだろう」
クエリアがそういった。
「オレたちがモンスターを保護しているからか...... まあしかたないな」
「冒険者と交易を行うモンスター以外、魔王城に移しておきましょう」
「だな」
わーちゃんに同意する。
「それでマティナス、ギュレル、他の場所へ設置の方できたかな?」
「ああ、各地の辺境に装置は完成し、すぐに配置した」
「大変だったぞ復元するのは、技術が失われていたからな。 確認してみろ」
装置のある魔王島の洞窟へと向かう。
そこには左右に柱がたちその上に二つの球体がある。
「これが完成品か」
「ああ、トロールの里にあった魔王城への装置と同じ技術を複製したものだ」
オレにマティナスが答える。
両柱の中央にたつとその瞬間、魔王城のみえる草原にいた。
「すごいな! 転送装置! これを各国に設置したのか」
「ああ、人のいない小島や洞窟内に、結界をはる魔法装置と共に置いた。 これで世界各地へと移動もできる」
「もう各地へと船の移動をすませた。 そこから交易も行える」
「ありがとう二人とも、でもあの神殿どうする?」
「アイディメナスか...... あの棺だけ移動させるか」
「頼めるかマティナス」
「わかったやっておこう」
「これで、なにか起こっても平気だな。 とりあえず更にモンスターの保護、交易やここの発展に力をつくそう」
それから一年は何事もなく進んだ。 魔王城にこの世界の多くのモンスターが保護され、それらと契約と名前をつける日々が続いた。
「マスター、ミリエルどの。 今日の契約は終了です」
わーちゃんが書類に目をやりながらいった。
「ふひぃ! 終わった......」
「はい、今日は1000はいったんじゃないでしょうか」
魔力供給をしてくれていたミリエル大きくなったイータを膝にのせ、そういった。
「そんなに、かなりの数契約できるようになったな」
「さすが! マスター! まさに王!」
わーちゃんが誉めてくれる。
「よせやい!」
「かなり魔力が増えているようだな」
クエリアが感心したようにいう。
「ええ、マスターはもはや、この世界に並ぶもののいないほどの魔力を保有していると考えられます」
わーちゃんはわがことのように誇らしく胸を張る。
「そういえば多くのモンスターが進化しておりますね」
「えっ、そうなのミリエル」
「はい、冒険者となったもの以外でも、モンスターが進化していますよ。 ごーぶさん、ファガーさんやブルルさん、エイバムさん、クワロさんやリシェエラさんなどそれぞれの長たちも進化しています」
「どういうこと? 進化するのって戦闘だけじゃないの」
「いいや感情の変化が魔力の発生に関係してる。 必ずしも憎しみや憎悪ではなく、幸福や安心なども魔力を発生させるのだ。 それで進化したのだと思う」
ギュレルの言葉にマティナスはうなづいた。
「つまりここが心地いいからってことか、いいことだな」
「それもこれも、マスターの尽力につきますな!」
「よせやい...... ここまでこれたのはみんなのお陰だよ。 ありがとう」
「そうよ! わかってんじゃない!」
マゼルダはそういって頭に乗っかってきた。
「そうですね。 みなさんのおかげです」
「よい仲間がいたからだな」
ミリエルとクエリアは笑顔で答えた。
「まさか、モンスターたちが共存できる日が来るとはな」
「いかにもです」
マティナスとギュレルは感慨深げだ。
「だけど、まだ終わりじゃない」
「ですな」
オレとわーちゃんはうなづいた。
「なによ。 もうやることなんてないでしょ」
マゼルダは頭の上から覗き込んでくる。
「いいや、人間とモンスターの共存させることだ」
「共存...... そんなのできないから、この城にみんなをつれてきたんじゃないの?」
「今はな。 だが、事情を知るものたちが増えて、みんながモンスターを受け入れてくれるようになることが、一番だろ」
「まあね......」
「いずれそうなるように、それを目指していくんだ」
「素晴らしい考えですトラさま」
「......それが可能なら、いや可能にしたいものだ」
ミリエルとクエリアはうなづいた。
「それはいままでだれもなせなかった夢物語......」
「しかし、トラ、いやここの皆ならばあるいは......」
ギュレルとマティナスもうなづく。
「やりましょう! マスターなら、いや私たちならばそれ可能!」
「よし!! 今からかんばるぞー!!」
オレたちがそう決意を新たにした四日後、グランディオス帝国皇帝の死去の一報が届いた。
0
お気に入りに追加
144
あなたにおすすめの小説
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
乙女ゲームに悪役転生な無自覚チートの異世界譚
水魔沙希
ファンタジー
モブに徹していた少年がなくなり、転生したら乙女ゲームの悪役になっていた。しかも、王族に生まれながらも、1歳の頃に誘拐され、王族に恨みを持つ少年に転生してしまったのだ!
そんな運命なんてクソくらえだ!前世ではモブに徹していたんだから、この悪役かなりの高いスペックを持っているから、それを活用して、なんとか生き残って、前世ではできなかった事をやってやるんだ!!
最近よくある乙女ゲームの悪役転生ものの話です。
だんだんチート(無自覚)になっていく主人公の冒険譚です(予定)です。
チートの成長率ってよく分からないです。
初めての投稿で、駄文ですが、どうぞよろしくお願いいたします。
会話文が多いので、本当に状況がうまく伝えられずにすみません!!
あ、ちなみにこんな乙女ゲームないよ!!という感想はご遠慮ください。
あと、戦いの部分は得意ではございません。ご了承ください。
若返ったおっさん、第2の人生は異世界無双
たまゆら
ファンタジー
事故で死んだネトゲ廃人のおっさん主人公が、ネトゲと酷似した異世界に転移。
ゲームの知識を活かして成り上がります。
圧倒的効率で金を稼ぎ、レベルを上げ、無双します。
称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~
しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」
病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?!
女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。
そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!?
そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?!
しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。
異世界転生の王道を行く最強無双劇!!!
ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!!
小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!
異世界定食屋 八百万の日替わり定食日記 ー素人料理はじめましたー 幻想食材シリーズ
夜刀神一輝
ファンタジー
異世界定食屋 八百万 -素人料理はじめましたー
八意斗真、田舎から便利な都会に出る人が多い中、都会の生活に疲れ、田舎の定食屋をほぼただ同然で借りて生活する。
田舎の中でも端っこにある、この店、来るのは定期的に食材を注文する配達員が来ること以外人はほとんど来ない、そのはずだった。
でかい厨房で自分のご飯を作っていると、店の外に人影が?こんな田舎に人影?まさか物の怪か?と思い開けてみると、そこには人が、しかもけもみみ、コスプレじゃなく本物っぽい!?
どういう原理か知らないが、異世界の何処かの国?の端っこに俺の店は繋がっているみたいだ。
だからどうしたと、俺は引きこもり、生活をしているのだが、料理を作ると、その匂いに釣られて人が一人二人とちらほら、しょうがないから、そいつらの分も作ってやっていると、いつの間にか、料理の店と勘違いされる事に、料理人でもないので大した料理は作れないのだが・・・。
そんな主人公が時には、異世界の食材を使い、めんどくさい時はインスタント食品までが飛び交う、そんな素人料理屋、八百万、異世界人に急かされ、渋々開店!?
病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~
於田縫紀
ファンタジー
ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。
しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。
そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。
対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
転生テイマー、異世界生活を楽しむ
さっちさん
ファンタジー
題名変更しました。
内容がどんどんかけ離れていくので…
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
ありきたりな転生ものの予定です。
主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。
一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。
まっ、なんとかなるっしょ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる