2 / 38
第二話
しおりを挟む
「ふぅ、言葉はわかるようでよかった...... なんとか中に入れたな。 お前を隠してて、衛兵に見とがめられたときは一緒に殺されるかと思った」
「ぴー」
町にはいるとき隠していたスラリーニョが見つかり、衛兵に囲まれるが、モンスターと契約したことを伝えると、驚きなからも中に入らせてくれた。
(どうやら契約とはかなり絶対的なものらしいな)
ただ町をいきかう人たちは若干怯えているようにもみえる。
「とはいえ、これからどうするかだ? お金もないから宿にも泊まれんし......」
「んペッ、ペッ」
チャリン
「こら! そんなところにつばはいたらだめ...... ってチャリン!?」
スラリーニョが金色の硬貨をいくつか吐き出した。
「これお金か!? やった! すごいぞスラリーニョ!」
オレはそれを拾い宿へと向かう。 宿の店主はスライムに驚いていたが、契約の模様をみて落ち着いたようだ。
「いや、まさかモンスターをテイムできる人がいるなんて」
「他のはテイムできる人間もいるってこと?」
「ええ、獣とか鳥とかのビーストテイマー、魔法の人形を操るドールマスターとか、でもモンスターテイマーなんてきいたこともない、まあ契約は絶対だからいいんですがね」
そう説明してくれた。
(ふーん、それでみんな驚いてもなにも言ってこないのか)
「おじさん、これで足りるかな?」
オレが五枚の硬貨をみせる。
「えっ? ええ、これひとつで100ゴールド、一泊分ですよ。 なんかこれネチョってしてません?」
(なるほど、なら五日は泊まれるか......)
「それで、オレが働けるような働き口とかないかな。 なんでもいいんだけど」
(最悪なきゃ、スラリーニョを操る大道芸でもしながら金を稼ぐしかないな)
店主は少し考えている。
「まあ、危険ですがね。 モンスターをテイムできるんなら、冒険者はできるんじゃないですかね」
「冒険者?」
「ええ、依頼を受けて仕事をする何でも屋ですよ。 モンスターと戦うことも多いから、強ければなれますし、資格なんかもいらないですからね。 ただ当然危険ですからおすすめはしませんが......」
(冒険者か...... 明日調べてみるか)
オレとスラリーニョは宿に泊まる。
次の日、朝から店主に聞いた冒険者の団体【冒険者ギルド】があるという場所へと向かった。 大きな白い建物が見えてきた。
「あれかな。 町の中心にあるでかい建物つってたしな」
オレは白い建物へとはいる。 入ると中の男女が一斉にこっちをみる。
(いかつい奴らばかり、なんか剣とか槍なんかの武具を持ってんな。 そうかスラリーニョをみてんのか)
カウンターの受付にいる若い男に話しかける。
「あのぉ、冒険者ってオレでもなれますか?」
「ええ、なれますが、ただとても危険ですよ。 君のような少年では、辞めた方が......」
そういう男にスラリーニョを持ち上げてみせた。
「ひっ! スライム!?」
「オレの仲間です」
「契約したんですか!? モンスターをテイムするなんて......」
男は驚いて口を開けている。
「ま、まあ、そんな特殊な能力を持っているなら、大丈夫かもしれませんね。 それならここに署名の方おねがいします」
そういって何かの皮のような紙を出した。
(うむ、やはり読めるし書けるな。 なになに契約か、えーと冒険者のランクとギルドの紹介料としての取り分、失敗したときのペナルティか......)
オレは名前をかいた。 どうやらこの世界の文字もわかる。
「これは契約となりますので、破ることはできませんがよろしいですか、今なら取り消すことも可能ですよ」
「破ったらどうなるの?」
「死にますね」
そう事も無げに言った。
(な、なるほど、それで契約に絶対に信頼度があるのか)
「はい、確認しました。 トラさまを冒険者として当ギルドはお迎えします。 ではあちらの掲示板から張られている依頼の方、確認してください。 そしてこれ」
銀色のガードを一枚差し出した。
「これは冒険者カードとなっております。 倒したモンスターなどはこのカードをかざしていただければ、その魔力を確認し、こちらで回収させていただきますのでお納めください」
「はい、ありがと」
オレはカードを受けとると早速掲示板へとむかう。
「なるほどな。 モンスター討伐に植物や鉱物あつめ、護衛に配達、確かに何でも屋だな。 さてどうするか......」
「ぴーぴー! ぴー!」
スラリーニョが体の形を変えてなにかを伝えようとしている。
「左右に伸ばしてパタパタ...... そうか! 鳥にリベンジしたいのか、確かに討伐対象のこのウィンドバードってあいつのことだな...... しかし昨日の今日、対策をしないと昨日と同じだ」
周囲を見るとみなが武器を持っている。
「やはり武具を手に入れるしかないな」
「ぴー」
「よし! 武器を買おう」
オレはギルドをでて町を歩く。
「ふむ、ヨーロッパのような町並みだな。 しかし部屋には灯りや風呂もあったし、町には街灯やガラスなんかもある。 宿の親父は魔法でできているといっていたけど、かなりいびつな文明だな」
そうあるいていると剣や槍を並べている店があった。
「ここか」
入ると店主らしきおっさんがぎょっとしている。
「ああ、大丈夫、このスラリーニョは契約しているから」
「そ、そうなんですね。 それにしてもモンスターをつれ歩けるとはお客さん大したもんですな」
「まあそうかな。 でなんか200ゴールドぐらいで手頃な装備が欲しいんだけど」
「200か...... ならこの木の盾と銅の剣ぐらいですね」
「なんか軽いな! 本物? 剣も木製じゃないの」
渡された剣を振り回すと軽さに驚いていった。
「いえいえ、魔法がかかっていて軽くなっておるんですよ」
「ならこれちょうだい」
「ぴー!」
「なにお前も欲しいのか、なんかスライムが持てそうなものある?」
「ス、スライムがですか? えっと、手もないしな...... ああこの兜なんてどうでしょうこれなら被れるはず、古いからおまけでつけますよ」
「ならそれで」
「毎度」
スライムに兜をはめるとピッタリだった。 ピョンピョン跳び跳ねている。
「ぴーぴ!!」
「ふむ、気に入ったか、よしあの鳥を倒しにいこう」
「ちょっとまってください!」
店主がそう話しかけてきた。
「なに? ちゃんとお金払ったけど」
「ええそれは、モンスターを倒しにいくんですか?」
「そう冒険者になったんだ」
「まさか、そのままいくつもりですか。 魔法のアイテムせめてポーションがないと死にますよ」
「ポーション?」
(ゲームにでてきた回復薬だな)
「いや、それほんとに回復すんの? 栄養剤とかじゃなくて」
「ええ、魔法を使って作りますからね。 持ってるのと持ってないのとでは生死に関わりますよ。 あの道具屋に売ってますから買っておいた方がいいです」
「そうなのか、わかったありがと」
オレたちは道具屋でポーションを5つばかりかい、さっそく町の外にでてウィンドバードを探しにでた。 町の外にでて草原を歩く。
(これ一個20ゴールドするから、もう装備とこみで300も使っちまった。 残り100ゴールドだから宿一日しか泊まれん。 なんとしても依頼をこなさないといけないな)
青い液体が入った瓶のポーションをみる。
「あの鳥は通る人に無差別に攻撃しているらしい、確実に500ゴールドの報酬をもらうぞスラリーニョ!」
「ぴーぴー!」
スラリーニョが跳び跳ねている。
「ん? どうした。 うわぁ!!」
その瞬間突風がおこり飛ばされて地面を転がった。
「ぐっ! なんだ! あれは!!」
少しはなれた空に青い鳥が羽ばたいている。
「ウィンドバード!! くそ! 空に剣が届かない!」
ウィンドバードは滑空し高速で横を通る。
「いて!!」
痛みで腕を見るとかなり切れて血が流れている。
「なんだ!! これ風の刃か、お前は大丈夫かスラリーニョ!」
「ぴー!!」
少し切られていたが再生している。
「ふぅ、再生するのかよかった...... いやどうする」
空に舞い上がり旋回してこちらに向かってきた。 その目は赤く光っている。
「速すぎて切れる気がしない......」
「ぴーー!!」
近づいてくるウィンドバードにスラリーニョが跳ねてぶつかる。 突然ぶつかられてウィンドバードは止まり羽ばたいた。
「いまだ!」
オレは片翼を切り裂いた。
「ギャッ!!」
ウィンドバードは地面に落ち、オレは木の盾で押さえつけた。 最初暴れていたが、体力がなくなったのかおとなしくなった。
「死んだのか......」
だがかすかに体が上下している。
(死んでない。 今なら簡単に切れるが......)
「ぴー......」
スラリーニョが悲しそうに鳴いた。
(この依頼は町の人を襲うからだから、襲わせなきゃ無理に殺す必要もないか)
「......おい、言葉はわかるか、人を襲わないなら助けてやる。 もう二度と人を襲わないとオレに誓え」
「ク、クァ......」
ウィンドバードは赤い目から黒い目になっていた。 オレは直感的に理解したと思い、ポーションをウィンドバードへ飲ませる。
「おお! 翼の傷がなおる! 本当に効果あるんだな!」
ウィンドバードは立ち上がり、動かずにこちらをみている。
「いいか約束だぞ。 人を襲うなよ。 でないと殺さなきゃいけないからな」
そうオレが立ち上がると、ウィンドバードが後ろから足をついばむ。
「ん? どうした?」
見るとウィンドバードの翼に模様が光っている。
「これ契約か!」
「クア!」
ウィンドバードは羽ばたいた。
「お前もくるのか!」
「クア、クア!!」
「おお!! 仲間が増えた! よし! お前はあおまると名付ける」
「クァ!!!」
オレはウィンドバードのあおまるを仲間にした。
そしてギルドへと戻る。
「また、増えてる!!」
ギルドの受付の男、マクロは肩に乗るあおまるをみて驚いていった。
「倒さなかったけど、襲わないように契約したから依頼達成でいい?」
「え、ええ、まあ、契約して襲われるのを阻止したので達成と見なします。 では冒険者カードをお預かりします」
そしてカードを返してくれる。
「このカードに入金しましたので、ご使用ください」
「これにお金はいってるの?」
「ええ、それでお店などで購入できますよ」
(電子マネーみたいだな。 魔法のアイテムか)
オレは掲示板へと向かい、依頼を物色する。
「なにかいいものは...... 正直モンスターを殺すのはあまり気がすすまないな」
「クァ!」
「ん? どうしたあおまる」
あおまるがひとつの依頼書をつつく。
「これは、かつて祖母が落とした白金のペンダントを探してください。 落とし物か、報酬は高いが見つかるか...... あっ! まさかあおまるみたのか!」
「クァ」
うなづいているようだ。
「よし! これにしよう報酬10000だ! ラッキー!!」
オレたちは依頼を受け宿に泊まると次の日さっそくむかった。
「ぴー」
町にはいるとき隠していたスラリーニョが見つかり、衛兵に囲まれるが、モンスターと契約したことを伝えると、驚きなからも中に入らせてくれた。
(どうやら契約とはかなり絶対的なものらしいな)
ただ町をいきかう人たちは若干怯えているようにもみえる。
「とはいえ、これからどうするかだ? お金もないから宿にも泊まれんし......」
「んペッ、ペッ」
チャリン
「こら! そんなところにつばはいたらだめ...... ってチャリン!?」
スラリーニョが金色の硬貨をいくつか吐き出した。
「これお金か!? やった! すごいぞスラリーニョ!」
オレはそれを拾い宿へと向かう。 宿の店主はスライムに驚いていたが、契約の模様をみて落ち着いたようだ。
「いや、まさかモンスターをテイムできる人がいるなんて」
「他のはテイムできる人間もいるってこと?」
「ええ、獣とか鳥とかのビーストテイマー、魔法の人形を操るドールマスターとか、でもモンスターテイマーなんてきいたこともない、まあ契約は絶対だからいいんですがね」
そう説明してくれた。
(ふーん、それでみんな驚いてもなにも言ってこないのか)
「おじさん、これで足りるかな?」
オレが五枚の硬貨をみせる。
「えっ? ええ、これひとつで100ゴールド、一泊分ですよ。 なんかこれネチョってしてません?」
(なるほど、なら五日は泊まれるか......)
「それで、オレが働けるような働き口とかないかな。 なんでもいいんだけど」
(最悪なきゃ、スラリーニョを操る大道芸でもしながら金を稼ぐしかないな)
店主は少し考えている。
「まあ、危険ですがね。 モンスターをテイムできるんなら、冒険者はできるんじゃないですかね」
「冒険者?」
「ええ、依頼を受けて仕事をする何でも屋ですよ。 モンスターと戦うことも多いから、強ければなれますし、資格なんかもいらないですからね。 ただ当然危険ですからおすすめはしませんが......」
(冒険者か...... 明日調べてみるか)
オレとスラリーニョは宿に泊まる。
次の日、朝から店主に聞いた冒険者の団体【冒険者ギルド】があるという場所へと向かった。 大きな白い建物が見えてきた。
「あれかな。 町の中心にあるでかい建物つってたしな」
オレは白い建物へとはいる。 入ると中の男女が一斉にこっちをみる。
(いかつい奴らばかり、なんか剣とか槍なんかの武具を持ってんな。 そうかスラリーニョをみてんのか)
カウンターの受付にいる若い男に話しかける。
「あのぉ、冒険者ってオレでもなれますか?」
「ええ、なれますが、ただとても危険ですよ。 君のような少年では、辞めた方が......」
そういう男にスラリーニョを持ち上げてみせた。
「ひっ! スライム!?」
「オレの仲間です」
「契約したんですか!? モンスターをテイムするなんて......」
男は驚いて口を開けている。
「ま、まあ、そんな特殊な能力を持っているなら、大丈夫かもしれませんね。 それならここに署名の方おねがいします」
そういって何かの皮のような紙を出した。
(うむ、やはり読めるし書けるな。 なになに契約か、えーと冒険者のランクとギルドの紹介料としての取り分、失敗したときのペナルティか......)
オレは名前をかいた。 どうやらこの世界の文字もわかる。
「これは契約となりますので、破ることはできませんがよろしいですか、今なら取り消すことも可能ですよ」
「破ったらどうなるの?」
「死にますね」
そう事も無げに言った。
(な、なるほど、それで契約に絶対に信頼度があるのか)
「はい、確認しました。 トラさまを冒険者として当ギルドはお迎えします。 ではあちらの掲示板から張られている依頼の方、確認してください。 そしてこれ」
銀色のガードを一枚差し出した。
「これは冒険者カードとなっております。 倒したモンスターなどはこのカードをかざしていただければ、その魔力を確認し、こちらで回収させていただきますのでお納めください」
「はい、ありがと」
オレはカードを受けとると早速掲示板へとむかう。
「なるほどな。 モンスター討伐に植物や鉱物あつめ、護衛に配達、確かに何でも屋だな。 さてどうするか......」
「ぴーぴー! ぴー!」
スラリーニョが体の形を変えてなにかを伝えようとしている。
「左右に伸ばしてパタパタ...... そうか! 鳥にリベンジしたいのか、確かに討伐対象のこのウィンドバードってあいつのことだな...... しかし昨日の今日、対策をしないと昨日と同じだ」
周囲を見るとみなが武器を持っている。
「やはり武具を手に入れるしかないな」
「ぴー」
「よし! 武器を買おう」
オレはギルドをでて町を歩く。
「ふむ、ヨーロッパのような町並みだな。 しかし部屋には灯りや風呂もあったし、町には街灯やガラスなんかもある。 宿の親父は魔法でできているといっていたけど、かなりいびつな文明だな」
そうあるいていると剣や槍を並べている店があった。
「ここか」
入ると店主らしきおっさんがぎょっとしている。
「ああ、大丈夫、このスラリーニョは契約しているから」
「そ、そうなんですね。 それにしてもモンスターをつれ歩けるとはお客さん大したもんですな」
「まあそうかな。 でなんか200ゴールドぐらいで手頃な装備が欲しいんだけど」
「200か...... ならこの木の盾と銅の剣ぐらいですね」
「なんか軽いな! 本物? 剣も木製じゃないの」
渡された剣を振り回すと軽さに驚いていった。
「いえいえ、魔法がかかっていて軽くなっておるんですよ」
「ならこれちょうだい」
「ぴー!」
「なにお前も欲しいのか、なんかスライムが持てそうなものある?」
「ス、スライムがですか? えっと、手もないしな...... ああこの兜なんてどうでしょうこれなら被れるはず、古いからおまけでつけますよ」
「ならそれで」
「毎度」
スライムに兜をはめるとピッタリだった。 ピョンピョン跳び跳ねている。
「ぴーぴ!!」
「ふむ、気に入ったか、よしあの鳥を倒しにいこう」
「ちょっとまってください!」
店主がそう話しかけてきた。
「なに? ちゃんとお金払ったけど」
「ええそれは、モンスターを倒しにいくんですか?」
「そう冒険者になったんだ」
「まさか、そのままいくつもりですか。 魔法のアイテムせめてポーションがないと死にますよ」
「ポーション?」
(ゲームにでてきた回復薬だな)
「いや、それほんとに回復すんの? 栄養剤とかじゃなくて」
「ええ、魔法を使って作りますからね。 持ってるのと持ってないのとでは生死に関わりますよ。 あの道具屋に売ってますから買っておいた方がいいです」
「そうなのか、わかったありがと」
オレたちは道具屋でポーションを5つばかりかい、さっそく町の外にでてウィンドバードを探しにでた。 町の外にでて草原を歩く。
(これ一個20ゴールドするから、もう装備とこみで300も使っちまった。 残り100ゴールドだから宿一日しか泊まれん。 なんとしても依頼をこなさないといけないな)
青い液体が入った瓶のポーションをみる。
「あの鳥は通る人に無差別に攻撃しているらしい、確実に500ゴールドの報酬をもらうぞスラリーニョ!」
「ぴーぴー!」
スラリーニョが跳び跳ねている。
「ん? どうした。 うわぁ!!」
その瞬間突風がおこり飛ばされて地面を転がった。
「ぐっ! なんだ! あれは!!」
少しはなれた空に青い鳥が羽ばたいている。
「ウィンドバード!! くそ! 空に剣が届かない!」
ウィンドバードは滑空し高速で横を通る。
「いて!!」
痛みで腕を見るとかなり切れて血が流れている。
「なんだ!! これ風の刃か、お前は大丈夫かスラリーニョ!」
「ぴー!!」
少し切られていたが再生している。
「ふぅ、再生するのかよかった...... いやどうする」
空に舞い上がり旋回してこちらに向かってきた。 その目は赤く光っている。
「速すぎて切れる気がしない......」
「ぴーー!!」
近づいてくるウィンドバードにスラリーニョが跳ねてぶつかる。 突然ぶつかられてウィンドバードは止まり羽ばたいた。
「いまだ!」
オレは片翼を切り裂いた。
「ギャッ!!」
ウィンドバードは地面に落ち、オレは木の盾で押さえつけた。 最初暴れていたが、体力がなくなったのかおとなしくなった。
「死んだのか......」
だがかすかに体が上下している。
(死んでない。 今なら簡単に切れるが......)
「ぴー......」
スラリーニョが悲しそうに鳴いた。
(この依頼は町の人を襲うからだから、襲わせなきゃ無理に殺す必要もないか)
「......おい、言葉はわかるか、人を襲わないなら助けてやる。 もう二度と人を襲わないとオレに誓え」
「ク、クァ......」
ウィンドバードは赤い目から黒い目になっていた。 オレは直感的に理解したと思い、ポーションをウィンドバードへ飲ませる。
「おお! 翼の傷がなおる! 本当に効果あるんだな!」
ウィンドバードは立ち上がり、動かずにこちらをみている。
「いいか約束だぞ。 人を襲うなよ。 でないと殺さなきゃいけないからな」
そうオレが立ち上がると、ウィンドバードが後ろから足をついばむ。
「ん? どうした?」
見るとウィンドバードの翼に模様が光っている。
「これ契約か!」
「クア!」
ウィンドバードは羽ばたいた。
「お前もくるのか!」
「クア、クア!!」
「おお!! 仲間が増えた! よし! お前はあおまると名付ける」
「クァ!!!」
オレはウィンドバードのあおまるを仲間にした。
そしてギルドへと戻る。
「また、増えてる!!」
ギルドの受付の男、マクロは肩に乗るあおまるをみて驚いていった。
「倒さなかったけど、襲わないように契約したから依頼達成でいい?」
「え、ええ、まあ、契約して襲われるのを阻止したので達成と見なします。 では冒険者カードをお預かりします」
そしてカードを返してくれる。
「このカードに入金しましたので、ご使用ください」
「これにお金はいってるの?」
「ええ、それでお店などで購入できますよ」
(電子マネーみたいだな。 魔法のアイテムか)
オレは掲示板へと向かい、依頼を物色する。
「なにかいいものは...... 正直モンスターを殺すのはあまり気がすすまないな」
「クァ!」
「ん? どうしたあおまる」
あおまるがひとつの依頼書をつつく。
「これは、かつて祖母が落とした白金のペンダントを探してください。 落とし物か、報酬は高いが見つかるか...... あっ! まさかあおまるみたのか!」
「クァ」
うなづいているようだ。
「よし! これにしよう報酬10000だ! ラッキー!!」
オレたちは依頼を受け宿に泊まると次の日さっそくむかった。
0
お気に入りに追加
144
あなたにおすすめの小説
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!
芽狐
ファンタジー
⭐️チート薬学3巻発売中⭐️
ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。
嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる!
転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。
新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか??
更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!
乙女ゲームに悪役転生な無自覚チートの異世界譚
水魔沙希
ファンタジー
モブに徹していた少年がなくなり、転生したら乙女ゲームの悪役になっていた。しかも、王族に生まれながらも、1歳の頃に誘拐され、王族に恨みを持つ少年に転生してしまったのだ!
そんな運命なんてクソくらえだ!前世ではモブに徹していたんだから、この悪役かなりの高いスペックを持っているから、それを活用して、なんとか生き残って、前世ではできなかった事をやってやるんだ!!
最近よくある乙女ゲームの悪役転生ものの話です。
だんだんチート(無自覚)になっていく主人公の冒険譚です(予定)です。
チートの成長率ってよく分からないです。
初めての投稿で、駄文ですが、どうぞよろしくお願いいたします。
会話文が多いので、本当に状況がうまく伝えられずにすみません!!
あ、ちなみにこんな乙女ゲームないよ!!という感想はご遠慮ください。
あと、戦いの部分は得意ではございません。ご了承ください。
巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
娘の命を救うために生贄として殺されました・・・でも、娘が蔑ろにされたら地獄からでも参上します
古里@10/25シーモア発売『王子に婚約
ファンタジー
第11回ネット小説大賞一次選考通過作品。
「愛するアデラの代わりに生贄になってくれ」愛した婚約者の皇太子の口からは思いもしなかった言葉が飛び出してクローディアは絶望の淵に叩き落された。
元々18年前クローディアの義母コニーが祖国ダレル王国に侵攻してきた蛮族を倒すために魔導爆弾の生贄になるのを、クローディアの実の母シャラがその対価に病気のクローディアに高価な薬を与えて命に代えても大切に育てるとの申し出を、信用して自ら生贄となって蛮族を消滅させていたのだ。しかし、その伯爵夫妻には実の娘アデラも生まれてクローディアは肩身の狭い思いで生活していた。唯一の救いは婚約者となった皇太子がクローディアに優しくしてくれたことだった。そんな時に隣国の大国マーマ王国が大軍をもって攻めてきて・・・・
しかし地獄に落とされていたシャラがそのような事を許す訳はなく、「おのれ、コニー!ヘボ国王!もう許さん!」怒り狂ったシャラは・・・
怒涛の逆襲が始まります!史上最強の「ざまー」が展開。
そして、第二章 幸せに暮らしていたシャラとクローディアを新たな敵が襲います。「娘の幸せを邪魔するやつは許さん❢」
シャラの怒りが爆発して国が次々と制圧されます。
下記の話の1000年前のシャラザール帝国建国記
皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!
https://www.alphapolis.co.jp/novel/237012270/129494952
小説家になろう カクヨムでも記載中です
病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~
於田縫紀
ファンタジー
ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。
しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。
そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。
対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~
しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」
病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?!
女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。
そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!?
そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?!
しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。
異世界転生の王道を行く最強無双劇!!!
ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!!
小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる