やり直しの大魔王の弟子

曇天

文字の大きさ
上 下
46 / 63

第四十六話 妖精女王

しおりを挟む
 オレたちが妖精たちに近づくと、気づいた妖精たちは四方に慌てて逃げていく。

「ええ!? なんかかなしー」  

「しょうがないわよ。
 妖精ってのは本来、臆病て保守的な種族なの」

「お前と真逆だな」

 ドガッ! バイン! ドサッ!!

「ぐほお!!」

「ほー、かなり高くバウンドしたの!」

「な、殴るな一瞬目の前に妖精さんが飛び回ったろ!」

「うるさい!」

 前から人がやってきた。

「お待ちしておりました。
 私はメイゼリナ こちらへどうぞ」

 その金髪で優雅な物腰の女性はそういった。
 オレたちはメイゼリナについていく。
 そこはいくつもの大きな木に巣箱みたいな小さな家が連なる。

「ほー、これが妖精の国か、なんか童話の世界だな」

「それより、あのものおそらく精霊だな」

「わらわもそう思いますベル様」

 メイゼリナは人間サイズの大きな宮殿にオレたちを招く。

「どうぞみなさん。 こちらへ」

 通された宮殿の奥、王座に座る女性がいる。

「我が国の女王、ディルティナです」

 そう紹介されて礼をする。

「このような場所によく参られた。
 わたくしが女王ディルティナ。
 そこにおかけください」

 女王からいわれ椅子に腰かける。

「オレたちは、シンジ、ベル、メリエール、そしてメルアです」

 そういうと、女王はうなずきメルアの方に視線を移す。

「それで女王様。
 オレたちに何のご用でしょうか」  

「......ええ、実は世界樹というこの奥にそびえる大樹に異変が起こっているのです」  

「異変というのは?」

「我らの森は世界樹の加護でモンスターなどから守られているのですが、モンスターたちが増えているようなのです。
 このままモンスターたちが増え我らの森を脅かす前に、この異変の謎を探らねばなりません」

「なるほどそれをオレたちが探ればいいんですね」

 その時メルアが立ち上がった。

「そんなの自分たちでやればいいじゃない!!」

「いやメルアさん。
 これお仕事ですよ......」

 オレが止めようとするも止まらない。

「だいたい妖精も精霊も力があるくせに何にもしないで、こんな森の中で引き込もってるだけ!
 自分達ではなにもしようとせず、ただ嵐が過ぎそうるのを待つだけ!」

「まあ、わらわもメルアに同意見じゃがな」

「わたくしたちには力がある。
 ゆえに軽々しく振るうわけにはいかないのです」

「ふん!
 やってやるわよ!
 異変だかなんだか、一人でもできるんだから!
 みてなさい臆病者!」

 そういうとメルアは一人でていく。

「メルア!
 しゃーないいくか!」

「うむ」

「わらわここにいていい?」

「じゃあ、いってきます!」

 そういうとオレはメリエールを背負いメルアをおった。

「わらわここにいたいのにぃぃぃぃ!」


「ほんとあきれちゃう!」

 プリプリ怒るメルアについていく。

「まあまあ、そういうなって。
 妖精さんには妖精さんの考えがあるんだって。
 オレだってあれだよ、戦わなくてだらけて生きていけるならそうしてんだよ」
 
「そうだぞメルア。
 その者にはその者たちの生き方があるのだ。
 一方の生き方がよいわけではあるまい。
 自分以外の者の考え方も尊重せねばならん。

「なにいってんのよ!!
 あいつら十年前の大戦ですら引き込もってたのよ!
 自分達に降りかかることすら人任せなんて!」

「まあ妖精や精霊は自然に生きるのが普通だからの。
 滅びも受け入れるのだろうな」

「そんなのわたしはイヤ!
 わたしはわたしのために生きるの!」

「いやだから、妖精さんも同じだろ」

「違う! あれは考えることを放棄してんの! 
 考えたくないだけ!」

 そういうとメルアはズンズン進んでいく。
 
「まあ、あいつの性格上しゃーないか」

「まあな、しかしそれだけではなさそうだがな」

「お子ちゃまよな。
 わらわなら面倒なのはスルーじゃ、スルー」

 オレたちはメルアについていった。


「これが世界樹......
 上が見えねえ、なんてでかさだよ」

「うむ、我も一度しか来たことはなかったが、千年でまた大きくなった気がするな」

 オレたちは世界樹の根本にきていた。

「で、どうすんだモンスターが増えた原因なんてわかんのかよ」

「何か感じるの......
 中に入ればわかるわ。
 あそこから入りましょう」

 メルアが指差した所に穴があいていてオレたちは中にはいった。
 穴の中はかなり広い空洞になっていて迷宮《ダンジョン》のようになっていた。

「えっ! これ腐ってんじゃない。
 すごい空洞になってるけど」

「大丈夫よ。
 世界樹にとってはかすりきずみたいなものよ」

 オレたちが進むとモンスターたちが数多くいた。
 
「おいおい、結構強めのモンスターがいるぞ」

「ええ、モンスターがふえてるってのは間違いなさそうね」

「オレも魔力感知が使えん」

「うむ、この世界樹の魔力が大きすぎて感知が惑わされるな」

「しかし、なんか奥の方に変な感じかするのじゃ」

「メリエール? 変な感じか」

「精霊だから何か感じるのかも知れないわね」


 オレはいやな予感を感じていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

冷宮の人形姫

りーさん
ファンタジー
冷宮に閉じ込められて育てられた姫がいた。父親である皇帝には関心を持たれず、少しの使用人と母親と共に育ってきた。 幼少の頃からの虐待により、感情を表に出せなくなった姫は、5歳になった時に母親が亡くなった。そんな時、皇帝が姫を迎えに来た。 ※すみません、完全にファンタジーになりそうなので、ファンタジーにしますね。 ※皇帝のミドルネームを、イント→レントに変えます。(第一皇妃のミドルネームと被りそうなので) そして、レンド→レクトに変えます。(皇帝のミドルネームと似てしまうため)変わってないよというところがあれば教えてください。

【完結】おじいちゃんは元勇者

三園 七詩
ファンタジー
元勇者のおじいさんに拾われた子供の話… 親に捨てられ、周りからも見放され生きる事をあきらめた子供の前に国から追放された元勇者のおじいさんが現れる。 エイトを息子のように可愛がり…いつしか子供は強くなり過ぎてしまっていた…

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

召喚アラサー女~ 自由に生きています!

マツユキ
ファンタジー
異世界に召喚された海藤美奈子32才。召喚されたものの、牢屋行きとなってしまう。 牢から出た美奈子は、冒険者となる。助け、助けられながら信頼できる仲間を得て行く美奈子。地球で大好きだった事もしつつ、異世界でも自由に生きる美奈子 信頼できる仲間と共に、異世界で奮闘する。 初めは一人だった美奈子のの周りには、いつの間にか仲間が集まって行き、家が村に、村が街にとどんどんと大きくなっていくのだった *** 異世界でも元の世界で出来ていた事をやっています。苦手、または気に入らないと言うかたは読まれない方が良いかと思います かなりの無茶振りと、作者の妄想で出来たあり得ない魔法や設定が出てきます。こちらも抵抗のある方は読まれない方が良いかと思います

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

処理中です...