やり直しの大魔王の弟子

曇天

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第四十四話 帰還

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 メリエールの魔法でサハギンの群れを撃退したマーメイドたちは一つ魔宝玉《マジックスフィア》を奪われたものの、他の里と連携をとり、更なる侵攻を防ぐことに成功する。
 オレはほっそほそから回復したあとマーメイドの里で休んでいた。

「ぷふー いいふあ。 ふおの暮らし」
 
「ぷふー ふおうじゃの。
 ふののままふふおで暮らすのふおアリじゃの」

 オレとメリエールはマーメイドたちに感謝され丁重にもてなされて、毎日食べては寝てを繰り返していた。

「なにやつ!」 

 マーメイド兵士が気絶されられた。
 見るとメルアたちがいた。

「ん? シンジの魔力をおってきたら、小型のオークとさらにちっさいオークしかいないじゃない」

「ふあれがオークだふあ!」
 
「ちがうぞメルア。
 あれはシンジだ。
 また太っておるだけだ。
 もう一人は......」

「さっさと帰るわよシンジ。
 あんたの分もボランティアさせられたんだからね。
 帰ったらこき使ってやるわ」

「そうですよ。
 シンジさんがいないと危険なアイテムを誰が試すんですか!」

 リーゼルがシンプルにひどいことをいった。

「いやふぁ! 帰ふあない! 
 帰ふえもまたおふあねに困り生活に困り、メルアに困らさふえるから帰ふあない!」

「何いってるかわかんないけど、何か反抗してるみたいで腹立つから殴って連れ帰るわ」

 ほとばしるオーラを出してメルアがズンズンちかづいてくる。

「やめるのじゃ! いやふあってるじゃろう!」

 メリエールが前に立ちふさがる。

「何この人型のふぐ」

「誰ふあふぐじゃ! 
 お主妖精ではないふあ! 
 ふあらふは精霊じゃ! 下がれおろふお!」

「精霊? 豚の?」

「誰ふあ豚の精霊じゃ! 
 聞いふあことないじゃろ!
 豚限定の精霊なんてふえ!」

「まあ精霊だかなんだか知らないけど関係ないわ。
 わたしに従わないものはすべからく待つのは死よ」

「ふおやつおかしいやつふあ.....」

 メリエールはメルアの圧力に負けてカタカタ震えている。

「何をしているのです!」

 その時デュエリアとマーメイドたちがやってきた。
 にらみ合いが続いた。
 
「このままだと怪我人がでるぞ。
 シンジ」

「ふお、しようがなふあい......
 帰るふあ」

「ふえーー! シンジこのふあまここにいるのじゃ!ーー」 

「そなたも来るのだメリエール」

「あのぶたまん、なんでふあらふあの名前ふお......
 ふおの魔力!? 
 ふあーー! ぶある様ーー!」 

 転がりながらメリエールはベルの元に走る。
 
「ほほほ、久しいな。
 元気であったか」

「ふあい......
 すみませぬ。
 勇者に負けてしまい封印ふあれてしもうふあ」

「かまわぬ。
 かまわぬよ」

 ベルは泣いているメルリールを撫でている。
 
「帰るのかシンジどの......」

 寂しそうにデュエリアがいう。

「ふああ、帰ふわ でゆえりふあ、またふあ」

「デブなのに何でカッコつけてんの」

 そうメルアにふつうにひどいことをいわれた。
 訴えてやりたい。
 オレはみんなと帰った。
 が、メルアに強制労働に従事させられ、急激に痩せた。

「帰ってくるんじゃなかったーー!」

 オレの叫びがこだまする。


「ふむ、三魔将の召喚師《サモンマスター》とな」

「ああ何とか追い返したけど、あいつら魔宝玉《マジックスフィア》とかいうアイテム探してたぜ」

 オレは海の中であったことをみんなに聞かせていた。

「まだ諦めてなかったようですね」

「うむ、またなんぞ企んでいるのだろう」

「そんなことより、ボランティアばっかりやらされてお金ないんだから、さっさと実入りのいい仕事やりましょうよ」

「働くなんてバカらしい。
 わらわはいやじゃ」

 そう言ってメリエールはプイッと横を向く。

「最近の金欠はあんたの食費なの!
 一番大食いのクセに働くのはいやだなんていえると思ってんの!」

 メルアはメリエールのほほを引っ張る。

「にゃにふんのにゃー おにゅし妖精のくせにぃ偉そうじゃにょ!」

 メリエールも引っ張り返す。

「止めぬか、メリエールよ生きるにはこのように社会になじまなくてはならん。 郷に入っては郷に従えだ」

「......はーい、ベル様」

 
 大人しくメリエールはうなづいた。
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