やり直しの大魔王の弟子

曇天

文字の大きさ
上 下
10 / 63

第十話 ジャイアントスネーク

しおりを挟む
 暗い洞窟にオレたちは入った。

「ここか暗いな。
 それにじめじめしてる」

「えー、あたしこんなとこムリ~」

「お前が欲しいって言ったんだろ!」
   
「あたしは蛇革が欲しいって言ったの!
 別に洞穴には入りたいっていってない!」
 
 二人で頬を引っ張りあう。 
 それを見てベルがいう。

「まあ早く行くとしよう。
 暗くなるとモンスターが活発になる。
 帰りのことを考えねば、モンスターを倒しても帰れぬよ」

「そうだな。
 ジャイアントスネークってただのデカイ蛇だろ」

「そうだけど、魔力で身体を強化してるから打撃は効きづらいわね」

「だからこそ、魔法の鍛錬となる」 

「それにしてもなんか生臭いしうす暗いわね。
 明かりをつけるわ」

 メルアが魔法を唱えようとした瞬間真っ暗になった。

「なっ! 明かりどころか真っ暗になった!
 どんな魔法だよ!」

「バカね! まだ使ってないわよ!」

 そう言うと。

「光よ、我が眼前を照らしだせ。 エーテルライト」

 眩しく球体の光が浮きあがり辺りを照らす。

「ん、なんかおかしくないか......
 壁が赤い......」

 そう思った瞬間激しく地面が動きだした。

「地震か!?  いや違う!」

 洞穴は坂のようになりオレたちは落ちていった。

 バシャッ!

 何か浅い水辺に落ちた。

「あんたたち大丈夫!!」

 飛んでいて無事だったメルアが 上から光の球体と降りてくる。

「ああ、でも大丈夫ではないなこれ......」 
   
「うむ」
 
「どうしたの!? どっか怪我した!」

「いいや、これ何かの腹の中だ。
 どうしよう......」

「ええーーーーー!!」
 
 メルアの声がこだまする。


「つまり、この洞穴がジャイアントスネークのお腹のなかってこと!?」

「うむ、多分な......
 魔力を感じなかったから、魔力隠蔽《マジックハイド》の能力をもつユニークモンスターだったようだな」 

「ど、どうする! そうだ魔法!
 メルアの魔法ぶっぱなせば穴あくんじゃないか!」

 オレが焦ってベルに聞く。

「無理だな。 メルアの魔法では......
 この壁...... いや腹か......
 かなりの厚さがあるみたいだ」

 ベルが壁を叩いていった。

「じゃあ、ウンチで出るの!?
 あたしイヤよそんなの!」

「その前に消化されるだろ!
 この上から落ちてくる液体、消化液だろ!」

「いやーーーー!!」

 オレとメルアが一緒に叫ぶ。

「仕方ない!! 
 もうグランブレイク使うぞ!」

「待て」

 ベルが止める。

「シンジよ。
 魔法でこの壁を撃ち抜くのだ」

「なにいってんの! あたしでも無理なのにシンジになんか無理に決まってるじゃない!」

「そうだぞ! オレなんかに無理に決まってるじゃない!」

「......まあ、やってみよ。
 形や動きを考えるのだ。
 お主ならやれよう」

「ほんとお?」

 少しだけやる気になったオレは試してみることにした。

(まあ、このままじゃどうせ溶かされて死ぬしな。
 え~と、形か貫くなら四角、立方体、いやもっと貫通力のある形。
 で動きは回転だな。
 よし!)

 オレは両手を前にだし魔力を集める。
 ドリルのような形状に近づけた。

「これ何? 何か貝みたいだけど......」

「ドリルだ。
 オレの世界じゃ穴を掘る時にこの形状にする。 
 ちょっと不格好だけど貫通力はあるはず」

「うむ、確かにその形状ならば穴を空けられよう。
 しかし小さいな、もう少し大きくしなければならん」

「これ撃って回転させるには魔力が足りねえよ」

「私がそれを風の魔法でうちだすわ!」

「なるほど!  
 やってみよう」

 オレは魔力をほとんどを使ってドリルを丸太ぐらいの大きくする。
 
「いいかメルア!」

「いくわよ!」

 そういうと風の魔法の呪文を唱える。

「いけーー!」

「風よ! 我が声に耳を傾けその大いなる力を我が前に示せ! ウィンドストーム!」

 オレが撃ち出した魔法をメルアの風が回転させる。
 ドリルは壁に当たると血を撒き散らして奥へと進む。
 その瞬間から周りが激しく動き始めた。

「そのまま、撃ちぬくのだ」

「おりゃーーー!」

「いっけーーー!」

 激しく動いていた地面と壁が動かなくなると一筋の光が指した。
 
「やった!」


 オレたちが光の方に走る。
 外に出ると巨大なジャイアントスネークが息絶えていた。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

転生したら赤ん坊だった 奴隷だったお母さんと何とか幸せになっていきます

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
転生したら奴隷の赤ん坊だった お母さんと離れ離れになりそうだったけど、何とか強くなって帰ってくることができました。 全力でお母さんと幸せを手に入れます ーーー カムイイムカです 今製作中の話ではないのですが前に作った話を投稿いたします 少しいいことがありましたので投稿したくなってしまいました^^ 最後まで行かないシリーズですのでご了承ください 23話でおしまいになります

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

ズボラ通販生活

ice
ファンタジー
西野桃(にしのもも)35歳の独身、オタクが神様のミスで異世界へ!貪欲に通販スキル、時間停止アイテムボックス容量無限、結界魔法…さらには、お金まで貰う。商人無双や!とか言いつつ、楽に、ゆるーく、商売をしていく。淋しい独身者、旦那という名の奴隷まで?!ズボラなオバサンが異世界に転移して好き勝手生活する!

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

処理中です...