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第十九話

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「あいつらか悪そうな奴らだ。 それでどうするんだリン?」

「ええ、待ってて」

 机から書類の束をだし、すべてに目を通す。 

「【映像記憶】、よし帰ろう」

 私たちは町に戻った。

 ラグオーンのや屋敷でみた書類に似た紙を買って帰り、宿にはいる。

「紙なんてどうするんだ?」 

「写すのよ」

「写す?」

 机においた紙に手をおいた。

「【念写】《スコトグラフ》」

【映像記憶】で完全に記憶したものを、【念写】《スコトグラフ》で
紙へ転写する。

「わっ! 文字が紙に浮かび上がってきた!」

 アエルが驚いている。

「ええ、これはラグオーンの持っていた書類。 とはいえ少ししか私には読めないけど...... 脱税やら傷害のもみけし、メモリアの使用か...... ヤゼルオを重罰にできるのかわからないな」

(【催眠】《ヒュプノシス》をつかって悪事を証明してもいいけど、魔法などで見抜かれた場合厄介なことになるからな。 やはり......)

「これをつきだすのか」

「それだけじゃだめだよ。 アエルは少しまってて」

 アエルを宿において、私は動く。

 帰ってから、とりあえずサフィナさんに話を聞きにいった。

「脱税、傷害...... 貴族ならばたいした罪にはならないね。 誰のやったことなんだい? これはメモリア使用!
本当かい!」

 サフィナさんが驚いて声をだした。

「メモリアとはなんですか?」

「メモリア、違法薬だよ。 それは快楽を得るために金持ちたちか使用するらしいね」

(麻薬みたいなものか......)

「元々古代に記憶を戻すために作られたとかなんとか......」

「記憶......」

「使用は重罪だよ。 死罪だ」

(死罪...... なら使えるな)

「どうもラグオーンはそれらを作ってるようなんですが」

「......本当かい。 でもかなり高額で庶民に買えるものじゃないらしい。 金持ちたちの道楽だ。 どこで売ってるかもわからない。 証拠を見つけるのは難しいね」

(証拠か、まず製造場所を見つけるか......)

 サフィナさんにお礼をいうと外にでた。

「違法薬を作っている所を探すのか?」 

「ええ、まずお金持ちや貴族をあたろう」

 高級住宅地を歩いている貴族や金持ちの心を調べると、販売の場所がなんとかわかった。


「ここか、何か高そうな店だぞ」

 アエルが指差す店は、貴金属や服などを扱う高級店だった。

「うわぁ」

 広い店のなかにはいるとアエルはおかれている貴金属をみて声をだし、キョロキョロと興味深そうにみている。

(アエルはこういうものにも興味があるのか)

「お客様......」

 店員が近づいてくる。 その顔から不快そうな表情がみてとれた。

「これをもらえる?」

 アエルがじっとみていたペンダントを渡した。

「頭に声が...... 魔法使い、いえ冒険者のかたですか」

「すまないけど、あの違法薬のことを聞きたいんだけど」

 そういうとペンダントを箱に積めようとした店員の手がとまる。

(なぜその事を...... メモリアを調べているのか、最近嗅ぎ回っているものがいるときく)

「始めてきたんだがある大貴族から聞いてね。 お金ならある」

 そういって袋から金貨を見せた。

「いえ、どういうことか存じませんが......」

(合言葉を知らないなら......)

「アベルネ」  

 店員の心に浮かんだ言葉をいった。

「失礼しました...... こちらにどうぞ」

 店員のあとについていく。 アエルにペンダントを渡すと嬉しそうにしている。

 部屋の奥に行くと、応接室のような所に通される。

「こちらがメモリアです」

 店員はそう箱を開け、青い液体の入った小さな小瓶を見せてきた。

「どこで作っているのかな......」 

「それは残念ですが、教えることはできません」

 店員から心を読む。 場所はわかった。

「そうだろうね。 出所から安全かどうかを知りたかったんだけど、体に害があってはいけないからね」

「ええもちろん。 依存性や体への悪影響はありません。 ただ違法とされているだけなのです。 なぜこの薬が違法なのか、不思議なくらいですよ」

 店員は嘘をいっていなかった。

(体に害悪がない......)

「ああ、ただ何か不思議な世界を見るとか、そういう話しはありますね」

「不思議な世界...... 幻覚か」

「ええ、かなり現実に近い、しかしこの世界ではない世界の映像、それだけです」

(それだけ...... なのに違法か)

 私たちは薬を買いそのまま帰った。
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