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第二十五話 捜索
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ヒミコさんの家にオレたちは帰った。
「とりあえず、オレたちは少しここで様子を見るよ。
魔法管理局とか、脱獄囚とか動くかもしれないし」
ヒミコさんに言われたことを、
いひかとエクスさんに伝える。
「じゃあ、私もここに住むわ」
「な、なに言ってるんですか!
いひかさん!!」
「だって、私、裏切ったもの。
魔法管理局にもう帰れないし、
ここにいたらタイガがいるしね」
いひかはオレにウインクする。
「......わかりました。
私もここに住まわせていただきます。
いま着替えを持ってきますので」
「なんでよ!」
いひかがそういうと、
エクスさんは微笑みを浮かべて屋敷をでていく。
「いいんすか、ヒミコさん」
「部屋ならあるからいいよ。
楽しくなりそうだ」
ヒミコさんはこの状況を望んでいるようだ。
それからしばらくして、
エクスさんが山のようなリュックを背負い帰ってきた。
「ああ、タイガさん。
帰って父に聞きました。
今魔法管理局は犯罪者を追うため、
こちらに人員をさく余裕はないようだとのことでした」
「そうか、じゃあ襲われる心配はないか」
「あ、あと父から、
タイガくん、わかっているよね......
とだけ伝えるようにいわれましたが、
どういうことですか?」
「はっはっはっ......
うん、いいんだ......」
そしてオレの脳裏に鬼の形相となった東金牧師の顔が浮かぶ。
「さてこれで残り三人か」
オレがいうとラクリマが答える。
「道化師《クラウン》と錬金術師《アルケミスト》は、
脱獄囚三人のうち死の道化師《デスピエロ》
と闇の錬金術師《アルケミスト》のふたりですね。
では影君主《シャドウロード》が王国《キングダム》......」
「そうなるが、
この三人をどうやって見つけるかだね」
「それなんだけど、
魔法管理局が探ってたところによると、
魔法使いの誘拐事件が頻発していたの。
......誘拐といえば、
織部 偶人《おりべ ぐうじん》が関係しているかも」
いひかがそう答えた。
「確か魔法使いをさらい、
そのまま姿を消すという。
話は聞いたことがあります」
エクスさんがいうと、いひかはうなづく。
「さらわれた人たちはどうなったんだ?」
「わからないわ......
ただ姿を隠してるということは、
結界魔法で隠蔽してる可能性が高いわ」
いひかはそういった。
その後夕食を終え、
各々の部屋にはいる。
「ぐふっ、
なんでいひかのやつオレにだけ、
自分の作ったものを食わすんだ......
自分すら食べないのに」
オレはいひかが作った、
かつて食材だったものを食べさせられ、
ぐったりしていた。
「それは愛だよ、愛、
我慢したまえ」
「ヒミコさんもう食べないから、
そんな簡単にいえるんすよ」
「僕はもう、あの恐怖から解放されたからね」
そういってヒミコさんは笑う。
「織部ってやつ、見つかんないんすよね。
ヒミコさんはどうやって捕まえたんですか?」
「ああ、彼は魔法使いを狙っていたといってたろう。
最近、僕も狙われたのさ、
そして返り討ちにした。
まあ、正確には誘ってだけどね」
「......やっぱりか、
じゃあ同じ方法で誘うのがいいんじゃないすか」
「うむ、それがいい、
ちょうど五名も可愛い娘がいるからね」
「ええ、ん?
五名......」
次の日、オレたちはある田舎まで来て歩いていた。
いひかとエクスさんとヒミコさんが笑いをこらえている。
しばらく歩いていると、
カーブミラーに四人の可愛い女性と、
髪がロングの個性的な顔の女性が映る。
それはオレだった。
「私は可愛いと思います」
「ありがとう、ラクリマだけだよ。
そういってくれるの......」
「ぷぷ......で、タイガ誘い出すのはわかったけど、
一体どこに行くのよ」
笑いをこらえながら、いひかに聞かれる。
「どうやら、織部 偶人《おりべ ぐうじん》は、
ここら辺の生まれらしい」
「ということは、
ここに隠れているということでしょうか?」
エクスさんはうなづく。
「確かに資料に書かれていたのはここだったわ。
でもこの辺りは詳しく調査しているはずだけど......」
「元々織部の家は、結界魔法の名家らしいんだよな」
「ええ、かなり古い家で、
この国でも指折りの結界魔法使いの家系ね。
元々西洋の血が入ってるらしいわ。
確かに昔からある結界魔法なら隠れられるかも」
いひかはそういうと考え込んでいる。
オレたちは観光客を装って話ながら道を歩く。
ある山道に入りかかると、
あたりに霧が立ち込めてくる。
「この霧......」
「ああ、かかったね」
ヒミコさんがそういった。
「とりあえず、オレたちは少しここで様子を見るよ。
魔法管理局とか、脱獄囚とか動くかもしれないし」
ヒミコさんに言われたことを、
いひかとエクスさんに伝える。
「じゃあ、私もここに住むわ」
「な、なに言ってるんですか!
いひかさん!!」
「だって、私、裏切ったもの。
魔法管理局にもう帰れないし、
ここにいたらタイガがいるしね」
いひかはオレにウインクする。
「......わかりました。
私もここに住まわせていただきます。
いま着替えを持ってきますので」
「なんでよ!」
いひかがそういうと、
エクスさんは微笑みを浮かべて屋敷をでていく。
「いいんすか、ヒミコさん」
「部屋ならあるからいいよ。
楽しくなりそうだ」
ヒミコさんはこの状況を望んでいるようだ。
それからしばらくして、
エクスさんが山のようなリュックを背負い帰ってきた。
「ああ、タイガさん。
帰って父に聞きました。
今魔法管理局は犯罪者を追うため、
こちらに人員をさく余裕はないようだとのことでした」
「そうか、じゃあ襲われる心配はないか」
「あ、あと父から、
タイガくん、わかっているよね......
とだけ伝えるようにいわれましたが、
どういうことですか?」
「はっはっはっ......
うん、いいんだ......」
そしてオレの脳裏に鬼の形相となった東金牧師の顔が浮かぶ。
「さてこれで残り三人か」
オレがいうとラクリマが答える。
「道化師《クラウン》と錬金術師《アルケミスト》は、
脱獄囚三人のうち死の道化師《デスピエロ》
と闇の錬金術師《アルケミスト》のふたりですね。
では影君主《シャドウロード》が王国《キングダム》......」
「そうなるが、
この三人をどうやって見つけるかだね」
「それなんだけど、
魔法管理局が探ってたところによると、
魔法使いの誘拐事件が頻発していたの。
......誘拐といえば、
織部 偶人《おりべ ぐうじん》が関係しているかも」
いひかがそう答えた。
「確か魔法使いをさらい、
そのまま姿を消すという。
話は聞いたことがあります」
エクスさんがいうと、いひかはうなづく。
「さらわれた人たちはどうなったんだ?」
「わからないわ......
ただ姿を隠してるということは、
結界魔法で隠蔽してる可能性が高いわ」
いひかはそういった。
その後夕食を終え、
各々の部屋にはいる。
「ぐふっ、
なんでいひかのやつオレにだけ、
自分の作ったものを食わすんだ......
自分すら食べないのに」
オレはいひかが作った、
かつて食材だったものを食べさせられ、
ぐったりしていた。
「それは愛だよ、愛、
我慢したまえ」
「ヒミコさんもう食べないから、
そんな簡単にいえるんすよ」
「僕はもう、あの恐怖から解放されたからね」
そういってヒミコさんは笑う。
「織部ってやつ、見つかんないんすよね。
ヒミコさんはどうやって捕まえたんですか?」
「ああ、彼は魔法使いを狙っていたといってたろう。
最近、僕も狙われたのさ、
そして返り討ちにした。
まあ、正確には誘ってだけどね」
「......やっぱりか、
じゃあ同じ方法で誘うのがいいんじゃないすか」
「うむ、それがいい、
ちょうど五名も可愛い娘がいるからね」
「ええ、ん?
五名......」
次の日、オレたちはある田舎まで来て歩いていた。
いひかとエクスさんとヒミコさんが笑いをこらえている。
しばらく歩いていると、
カーブミラーに四人の可愛い女性と、
髪がロングの個性的な顔の女性が映る。
それはオレだった。
「私は可愛いと思います」
「ありがとう、ラクリマだけだよ。
そういってくれるの......」
「ぷぷ......で、タイガ誘い出すのはわかったけど、
一体どこに行くのよ」
笑いをこらえながら、いひかに聞かれる。
「どうやら、織部 偶人《おりべ ぐうじん》は、
ここら辺の生まれらしい」
「ということは、
ここに隠れているということでしょうか?」
エクスさんはうなづく。
「確かに資料に書かれていたのはここだったわ。
でもこの辺りは詳しく調査しているはずだけど......」
「元々織部の家は、結界魔法の名家らしいんだよな」
「ええ、かなり古い家で、
この国でも指折りの結界魔法使いの家系ね。
元々西洋の血が入ってるらしいわ。
確かに昔からある結界魔法なら隠れられるかも」
いひかはそういうと考え込んでいる。
オレたちは観光客を装って話ながら道を歩く。
ある山道に入りかかると、
あたりに霧が立ち込めてくる。
「この霧......」
「ああ、かかったね」
ヒミコさんがそういった。
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