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第七十四話
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「セファイラはどこに消えたの?」
ガイルクーダがなくなり倒れたオルグレアスの骸の横で、エルティッタがそう聞く。
「わからない...... 気づかれて糸を斬られた」
「なぜばれたんだ」
エイゼルマンがそういう。
「多分、魔石を懐に忍ばせてたんだろう。 おれが姿を消すことをしってたからだろうな。 それよりセファイラを斬ったとき金属音がした」
「ああ、固いなにかが体の中にあった。 それで刃を止められていた」
(なにかがある......)
「さてどうするこいつら」
エルティッタさんが、その場にいたローブのものたちを捕縛していた。
「聞き出すのは無理だね」
「ああ、なにもしゃべらん。 お前たちは滅べ、というだけだな」
「なら、リズベンダだな。 はやく向かおう」
「すまないが、私もついていってかまうまいか。 せめて父が起こしたことの償いをすこしでもしたいのだ」
オルグレアスをみていたクリエスラが、真剣な顔でそういって近づいてきた。
「......ああ、わかった」
おれたちは舟で待つデューラに事情を話す。
「そうか、ここにいるものたちはそちらの町ほと護送しよう」
「頼むよ」
そのまま舟にのり、ワイゼンフラムからセメンドリアに向かった。
城につくと、慌てたマヌエス大臣が現れた。
「トーマどの! リズベンダが大変だ! すぐに向かってくれ!」
「リズベンダが!? メリムたちがいる! はやくいこう!」
おれたちはリズベンダへむかった。
「これは......」
そこには戦火のあとがあった。 町には大勢の死体が城へとつづく。
「これはほとんどが古い死体だな...... 武器すらもってない」
「ガイルクーダか! あいつら島でこれをしていたのか! メリムたちは!」
城に向かうと、メギアナ女王とミリアナがむかえてくれた。
「......よくきたな。 といいたいところだがすまん」
メギアナ女王が謝り、ミリアナが静かにいった。
「メリムがさらわれましたわ......」
「そんな...... なぜ!?」
「わからん。 突然死者の大群が襲ってきた。 それらは倒しても倒してもきりがなく。 城を包囲した。 そして八極剣を渡すようにといってきてな...... 民をまもるためにやむなく渡した」
メギアナ女王はふがいないと頭をさげた。
「その時、空からきた大きな骨の竜がメリムをさらっていったのです。 そしてトーマにベムベイトにこい、と手紙を落として指示してきたのですわ...... 今レフィーネたちはむかっています」
ミリアナは悲しそうにいった。
「わざわざ自分たちの居場所を...... わかった。 それでベムベイトとは?」
「大陸中央にあるアドレティア帝国のあった地、いまは砂漠におおわれ不毛の地となっている。 ここから東にいったところだ」
「アドレティアの場所......」
おれたちは馬車で向かった。
「ミリアナもついてくるのか」
「ええ、メリムはお友達、戦友ですわ。 国はお母様に任せて向かいましょう」
「メギアナ様のもっていた八極剣、【時洸剣】が奪われた。 それならあと【創造剣】と【冥皓剣】の二本か......」
エイゼルマンがそういう。
(だがやつはもう一本をもっている風だった......)
「メリムをさらってどうするつもりなのかしら」
エルティッタさんがそう悩むようにつぶやく。
「ああ、単なる人質か、もうすぐ目的が達成するから、おれたちごと葬ろうとしているか...... または別の目的か」
「しかし、ベムベイト...... あそこは神剣戦争の影響で、人のすめない土地になっていたが」
クリエスラが怪訝そうにいった。
「どなたですの?」
そうミリアナがきくので、説明した。
「古代の国の皇太子!? もうなんでもありですわね。 そこまで神剣の力があるとは...... ですが、ベムベイトは砂漠地帯で今も人はすむことはできません。 なるほど隠れるにはうってつけ、といいたいところですが、水すらない場所にどうやって......」
「私のような神剣の力で水でもだしているのかもね」
「おそらく復神教団のアジトがあるのか」
「復神教団でわかったことがあります」
ミリアナがそういってつづけた。
「復神教団の最高位はドノンバルトという人物らしいのてすわ」
「ドノンバルト...... それって」
「知ってるの? エルティッタさん」
「ええ、エレスレア教の法王だわ。 いやだっただわ......」
「エレスレア教...... 最大宗派の。 法王と言えば王にも匹敵、いえ上回る権威がある。 確か前法王は権力失脚したというが......」
エイゼルマンがそういう。
「......失脚、なにか起こしたのか」
「そう。 その権威を借りて、様々な魔石の違法な実験をしていた。 結果追放、姿を消したとされるわ」
「ええ、私が生まれる前の話ですわね。 そんな話を聞いたことがありますわ。 とても口では表せないようなひどいことをしていたと......」
「その人物が復神教団をたちあげた......」
「そうみたいね。 かつてドレンバルトは自らを神と同格視させていたといわれるわ」
(神と同格......)
おれたちが話していると、向こうに砂漠が見えてきた。
ガイルクーダがなくなり倒れたオルグレアスの骸の横で、エルティッタがそう聞く。
「わからない...... 気づかれて糸を斬られた」
「なぜばれたんだ」
エイゼルマンがそういう。
「多分、魔石を懐に忍ばせてたんだろう。 おれが姿を消すことをしってたからだろうな。 それよりセファイラを斬ったとき金属音がした」
「ああ、固いなにかが体の中にあった。 それで刃を止められていた」
(なにかがある......)
「さてどうするこいつら」
エルティッタさんが、その場にいたローブのものたちを捕縛していた。
「聞き出すのは無理だね」
「ああ、なにもしゃべらん。 お前たちは滅べ、というだけだな」
「なら、リズベンダだな。 はやく向かおう」
「すまないが、私もついていってかまうまいか。 せめて父が起こしたことの償いをすこしでもしたいのだ」
オルグレアスをみていたクリエスラが、真剣な顔でそういって近づいてきた。
「......ああ、わかった」
おれたちは舟で待つデューラに事情を話す。
「そうか、ここにいるものたちはそちらの町ほと護送しよう」
「頼むよ」
そのまま舟にのり、ワイゼンフラムからセメンドリアに向かった。
城につくと、慌てたマヌエス大臣が現れた。
「トーマどの! リズベンダが大変だ! すぐに向かってくれ!」
「リズベンダが!? メリムたちがいる! はやくいこう!」
おれたちはリズベンダへむかった。
「これは......」
そこには戦火のあとがあった。 町には大勢の死体が城へとつづく。
「これはほとんどが古い死体だな...... 武器すらもってない」
「ガイルクーダか! あいつら島でこれをしていたのか! メリムたちは!」
城に向かうと、メギアナ女王とミリアナがむかえてくれた。
「......よくきたな。 といいたいところだがすまん」
メギアナ女王が謝り、ミリアナが静かにいった。
「メリムがさらわれましたわ......」
「そんな...... なぜ!?」
「わからん。 突然死者の大群が襲ってきた。 それらは倒しても倒してもきりがなく。 城を包囲した。 そして八極剣を渡すようにといってきてな...... 民をまもるためにやむなく渡した」
メギアナ女王はふがいないと頭をさげた。
「その時、空からきた大きな骨の竜がメリムをさらっていったのです。 そしてトーマにベムベイトにこい、と手紙を落として指示してきたのですわ...... 今レフィーネたちはむかっています」
ミリアナは悲しそうにいった。
「わざわざ自分たちの居場所を...... わかった。 それでベムベイトとは?」
「大陸中央にあるアドレティア帝国のあった地、いまは砂漠におおわれ不毛の地となっている。 ここから東にいったところだ」
「アドレティアの場所......」
おれたちは馬車で向かった。
「ミリアナもついてくるのか」
「ええ、メリムはお友達、戦友ですわ。 国はお母様に任せて向かいましょう」
「メギアナ様のもっていた八極剣、【時洸剣】が奪われた。 それならあと【創造剣】と【冥皓剣】の二本か......」
エイゼルマンがそういう。
(だがやつはもう一本をもっている風だった......)
「メリムをさらってどうするつもりなのかしら」
エルティッタさんがそう悩むようにつぶやく。
「ああ、単なる人質か、もうすぐ目的が達成するから、おれたちごと葬ろうとしているか...... または別の目的か」
「しかし、ベムベイト...... あそこは神剣戦争の影響で、人のすめない土地になっていたが」
クリエスラが怪訝そうにいった。
「どなたですの?」
そうミリアナがきくので、説明した。
「古代の国の皇太子!? もうなんでもありですわね。 そこまで神剣の力があるとは...... ですが、ベムベイトは砂漠地帯で今も人はすむことはできません。 なるほど隠れるにはうってつけ、といいたいところですが、水すらない場所にどうやって......」
「私のような神剣の力で水でもだしているのかもね」
「おそらく復神教団のアジトがあるのか」
「復神教団でわかったことがあります」
ミリアナがそういってつづけた。
「復神教団の最高位はドノンバルトという人物らしいのてすわ」
「ドノンバルト...... それって」
「知ってるの? エルティッタさん」
「ええ、エレスレア教の法王だわ。 いやだっただわ......」
「エレスレア教...... 最大宗派の。 法王と言えば王にも匹敵、いえ上回る権威がある。 確か前法王は権力失脚したというが......」
エイゼルマンがそういう。
「......失脚、なにか起こしたのか」
「そう。 その権威を借りて、様々な魔石の違法な実験をしていた。 結果追放、姿を消したとされるわ」
「ええ、私が生まれる前の話ですわね。 そんな話を聞いたことがありますわ。 とても口では表せないようなひどいことをしていたと......」
「その人物が復神教団をたちあげた......」
「そうみたいね。 かつてドレンバルトは自らを神と同格視させていたといわれるわ」
(神と同格......)
おれたちが話していると、向こうに砂漠が見えてきた。
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