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第五十九話
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「なんのつもり......」
城にダレスがきた。 王女はそう問いただす。
「なんのつもりとは...... そちらの子猫が奪った魔玉を返していただきにまいっただけ」
そうダレスがぼくを横目でみながらいった。
「それはエクロート、いや今はタルタニアのもの、返すのが道理。 それともバルチア王国は盗みを働くのが流儀か」
「それを言うなら我が王家の秘宝、魔喰の杖を返すべきではなくて。 いえタルタニアの王はあなたに殺されたのだったかしら、どちらにせよ、あなたのものではないわ」
そう王女は言い返す。
「これは元より私のもの。 タルタニア王は卑劣にもそなたの国が暗殺した。 ......まあよい、話し合いではまとまりませぬな。 それならば力ずくになるがよろしいか」
「そう簡単にいくかしら、あなたがタルタニア王を殺したことで、国は混乱して軍もまともに動かない。 その軍も元々魔力の糧にするつもりだったのだから、当然ね」
「......軍など動かさずともモンスターたちを操ればよいだけ、この国だけならばゴールデンバードの群れがいようと容易い」
「そうはいかん」
グラードがそういった。
「貴様...... エクロートの王子か」
(グラードさんが、エクロートの王子。 それでとらわれていたのか)
「我が国の残存兵も加えれば、モンスターの軍とも戦える。 今一度連合をたちあげる」
「ちっ」
ダレスが舌打ちした。
「どうせ、あなたはいずれ魔玉を使って、何かを起こそうとする。 ここで捕縛させてもらう」
「......まあよい。 つかの間の安寧を楽しむがよい。 いずれ、この世界は我が物となろう」
そういうと、ダレスは姿を消した。
「やはり分身か......」
「いえ、魔法珠でも見えなかった。 つまり本物ね」
「本物!?」
「一体どうやったのかしら...... でも、それは置いておきましょう。 今はそれよりどう対処するか。 必ず魔玉をとにくる。 グラード王子手を貸してくれるわよね」
「ああ、我が父も操られていたようだ。 その行動を怪しんだお陰で幽閉されていてトールと出会った」
「それであそこに」
「取りあえず、残った兵たちを集めていた。 国を取り戻すためにも力は貸そう」
「ええ、友好国にも連絡している。 連合国をつくりダレスと闘いましょう」
王女はそういった。
「どこだったかしら......」
ぼくは王女に呼ばれ車庫にいた。 王女は大量の文献や書物を持ち出して漁っている。
「どうやら、全ての元凶はダレスね。 もしかしたら私の両親も...... だけど、今はあれのことを調べないと...... 私以外興味をもたないから誰もしらないの」
「無限の魔玉のことですね」
「ええ、確かに魔法道具の話はみたことがあった...... あまりに荒唐無稽だから、おとぎ話かとながらみしてたの。 これね」
古い書物を一冊持ってきた。
「......はるか昔、邪悪な魔法使いがいた。 そのものは他の魔法使いを殺し、魔法を奪い尽くした。 そして奪った魔力を奪う杖を使い国をつくり人々を支配した...... それゆえ魔王とよばれる」
「魔力を奪う杖、魔王......」
「......しかし強欲なその魔王は自らの王国すら飲み込む。 しかし、人々がたちあがり、いく年月もかけ、不死なる魔王を破る魔玉、願望の魔玉をつくりだしてついに魔王を倒したーー だって」
「自らの王国を飲み込む...... 不死なる魔王」
「......魔力を奪う杖が、喰魔の杖...... 願望の魔玉って、願いが叶う魔法の玉ですよね」
リディオラさんがいう。
「ええ...... そしておそらくダレスが魔王の関係者、いえ不死なる魔王ならば、本人ということもありえるわ」
「数百年前の魔導王国ディシディア......」
「そのとおり......」
(なんだ、この声はどこから...... ぼくの後ろ!)
そう思ったとき、ぼくはそのままなにも考えられなくなった。
「トールどの!」
目をあけると、そこにリディオラさんがいた。 ガルバインさまやミネルバさま、グラードさま、サイゼルスさまもいる。
「リディオラさん...... ぼくは一体」
「実は......」
「えっ...... アシュテア王女がさらわれた! ぼくの後ろにいきなりりダレスが現れて、本当ですか!」
「ええ、一瞬のことでした。 ダレスは王女とともに消えてしまいました......」
リディオラさんは唇を噛む。
「そんな......」
「やられたな。 お前を殺さず牢に放り込んだのか。 いや俺の魔鉱石を奪わなかったのはそのためかもな......」
グラードさんがいった。
「そうか、捕まったときに何かか仕掛けていたのか」
「そして、魔玉と交換を申し出てきました。 交換場所にはトールさんあなたが一人で遺跡にくるようにと......」
リディオラさんが魔玉をみせた。
「わかりました...... いってきます」
「とはいえ、それを渡して本当に王女が返してくれるのか」
ミネルバさまがそううつむく。
「ああ、その魔玉でモンスターの軍団を作り出すだろうな」
サイゼルスさんも拳を握る。
「ぼくを指定してきたことには意味があるのでしょう...... 必ず王女は助け出しますので、皆さんは戦争に備えてください」
「そうだな。 なにをなすかわからん。 だが王女も救わねばならない」
「では私もいきます!」
「ああ私も!」
リディオラさんとサイゼルスさまがそういう。
「相手はぼくを指定してきている。 二人は兵の指揮を取ってください。 ぼく一人でいきます」
「ピィ......」
「ごめんね。 こむぎ」
そういうとこむぎはそっと抱きついて、離れた。
「ありがとう」
「では、これを......」
リディオラさんは指輪を渡してくれた。
「これは封魔の指輪」
「何かに使えるかもしれません。 王女を頼みます」
「わかりました」
ぼくは指輪を預かり、城を出た。
城にダレスがきた。 王女はそう問いただす。
「なんのつもりとは...... そちらの子猫が奪った魔玉を返していただきにまいっただけ」
そうダレスがぼくを横目でみながらいった。
「それはエクロート、いや今はタルタニアのもの、返すのが道理。 それともバルチア王国は盗みを働くのが流儀か」
「それを言うなら我が王家の秘宝、魔喰の杖を返すべきではなくて。 いえタルタニアの王はあなたに殺されたのだったかしら、どちらにせよ、あなたのものではないわ」
そう王女は言い返す。
「これは元より私のもの。 タルタニア王は卑劣にもそなたの国が暗殺した。 ......まあよい、話し合いではまとまりませぬな。 それならば力ずくになるがよろしいか」
「そう簡単にいくかしら、あなたがタルタニア王を殺したことで、国は混乱して軍もまともに動かない。 その軍も元々魔力の糧にするつもりだったのだから、当然ね」
「......軍など動かさずともモンスターたちを操ればよいだけ、この国だけならばゴールデンバードの群れがいようと容易い」
「そうはいかん」
グラードがそういった。
「貴様...... エクロートの王子か」
(グラードさんが、エクロートの王子。 それでとらわれていたのか)
「我が国の残存兵も加えれば、モンスターの軍とも戦える。 今一度連合をたちあげる」
「ちっ」
ダレスが舌打ちした。
「どうせ、あなたはいずれ魔玉を使って、何かを起こそうとする。 ここで捕縛させてもらう」
「......まあよい。 つかの間の安寧を楽しむがよい。 いずれ、この世界は我が物となろう」
そういうと、ダレスは姿を消した。
「やはり分身か......」
「いえ、魔法珠でも見えなかった。 つまり本物ね」
「本物!?」
「一体どうやったのかしら...... でも、それは置いておきましょう。 今はそれよりどう対処するか。 必ず魔玉をとにくる。 グラード王子手を貸してくれるわよね」
「ああ、我が父も操られていたようだ。 その行動を怪しんだお陰で幽閉されていてトールと出会った」
「それであそこに」
「取りあえず、残った兵たちを集めていた。 国を取り戻すためにも力は貸そう」
「ええ、友好国にも連絡している。 連合国をつくりダレスと闘いましょう」
王女はそういった。
「どこだったかしら......」
ぼくは王女に呼ばれ車庫にいた。 王女は大量の文献や書物を持ち出して漁っている。
「どうやら、全ての元凶はダレスね。 もしかしたら私の両親も...... だけど、今はあれのことを調べないと...... 私以外興味をもたないから誰もしらないの」
「無限の魔玉のことですね」
「ええ、確かに魔法道具の話はみたことがあった...... あまりに荒唐無稽だから、おとぎ話かとながらみしてたの。 これね」
古い書物を一冊持ってきた。
「......はるか昔、邪悪な魔法使いがいた。 そのものは他の魔法使いを殺し、魔法を奪い尽くした。 そして奪った魔力を奪う杖を使い国をつくり人々を支配した...... それゆえ魔王とよばれる」
「魔力を奪う杖、魔王......」
「......しかし強欲なその魔王は自らの王国すら飲み込む。 しかし、人々がたちあがり、いく年月もかけ、不死なる魔王を破る魔玉、願望の魔玉をつくりだしてついに魔王を倒したーー だって」
「自らの王国を飲み込む...... 不死なる魔王」
「......魔力を奪う杖が、喰魔の杖...... 願望の魔玉って、願いが叶う魔法の玉ですよね」
リディオラさんがいう。
「ええ...... そしておそらくダレスが魔王の関係者、いえ不死なる魔王ならば、本人ということもありえるわ」
「数百年前の魔導王国ディシディア......」
「そのとおり......」
(なんだ、この声はどこから...... ぼくの後ろ!)
そう思ったとき、ぼくはそのままなにも考えられなくなった。
「トールどの!」
目をあけると、そこにリディオラさんがいた。 ガルバインさまやミネルバさま、グラードさま、サイゼルスさまもいる。
「リディオラさん...... ぼくは一体」
「実は......」
「えっ...... アシュテア王女がさらわれた! ぼくの後ろにいきなりりダレスが現れて、本当ですか!」
「ええ、一瞬のことでした。 ダレスは王女とともに消えてしまいました......」
リディオラさんは唇を噛む。
「そんな......」
「やられたな。 お前を殺さず牢に放り込んだのか。 いや俺の魔鉱石を奪わなかったのはそのためかもな......」
グラードさんがいった。
「そうか、捕まったときに何かか仕掛けていたのか」
「そして、魔玉と交換を申し出てきました。 交換場所にはトールさんあなたが一人で遺跡にくるようにと......」
リディオラさんが魔玉をみせた。
「わかりました...... いってきます」
「とはいえ、それを渡して本当に王女が返してくれるのか」
ミネルバさまがそううつむく。
「ああ、その魔玉でモンスターの軍団を作り出すだろうな」
サイゼルスさんも拳を握る。
「ぼくを指定してきたことには意味があるのでしょう...... 必ず王女は助け出しますので、皆さんは戦争に備えてください」
「そうだな。 なにをなすかわからん。 だが王女も救わねばならない」
「では私もいきます!」
「ああ私も!」
リディオラさんとサイゼルスさまがそういう。
「相手はぼくを指定してきている。 二人は兵の指揮を取ってください。 ぼく一人でいきます」
「ピィ......」
「ごめんね。 こむぎ」
そういうとこむぎはそっと抱きついて、離れた。
「ありがとう」
「では、これを......」
リディオラさんは指輪を渡してくれた。
「これは封魔の指輪」
「何かに使えるかもしれません。 王女を頼みます」
「わかりました」
ぼくは指輪を預かり、城を出た。
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