50 / 60
第五十話
しおりを挟む
「ふぅ、ひどい目にあったね。 こむぎ」
「ピィ」
ぼくたちは疲れたまま店に戻る。 そしてこむぎと添い寝する。
「さて、ラクサをこちらでも作るとして...... あれを作ろうかな」
「ピ?」
その日は構想をねり、次の日、前から考えていたパンの製作にかかる。
「さて、頼んでおいたものも届いてたし、まずはパンを作ってから、これを......」
「ピィ!!?」
ぼくのもってるものをみて、こむぎが後ずさる。
「ふふっ、この間、勝手に食べたからね」
(町の食料品店でマスタードシードがあったから、つくってみたんだ)
「ワインビネガーはお酒だから、一応、米酢にしてみた。 さてあとは」
完熟トマトを鍋の熱湯にいれ取り出し皮をむいて、きってニンニクや玉ねぎとともに細かくきる。
(ぼく、ケットシーなのに玉ねぎ平気なんだよな。 やっぱりネコじゃないからかな。 紅茶とかも、でも甲殻類はまだためしてない怖いし......)
「ベライドの支店だと、亜人が食べるものを気を遣って玉ねぎとか、お酒とか動物に危険なものは使わなかったけど...... 何が期限か一応聞いたけど人間とかわらないんだよね」
「ピィ?」
「まあ、いいか。 これを鍋にいれて......」
へらで潰しながら、砂糖、胡椒、香草、お酢とコトコトにこみつつ、キャベツを千切りにする。
「よし! できたケチャップ!」
鍋でボイルしていた頼んだソーセージを取り出し、フライパンで少しやく。
そしてつくってたパンにキャベツ、ソーセージ、ケチャップ、マスタードをかけて完成した。
「ホットドッグだ!」
「ピィ......」
こむぎは匂いにつられ近づいてくるが、前にマスタードを勝手に食べてパニックになったから、躊躇している。
「大丈夫、ハチミツをいれたハニーマスタードだから」
そういってこむぎにホットドッグを口もとにもっていく。
「ピィ...... ピィ! パクッ」
こむぎは匂いに勝てずかぶりつく。
「ピ! ピィ~」
美味しかったのかパクパク食べている。
「うん、少し甘いけど、ほんのり辛みもあって美味しい! 香りも香草、マスタードとケチャップ、ソーセージの匂いが食欲をそそるな」
そのとき、扉が激しく叩かれた。
「はい、はい」
扉を開けると、慌てたようすのアスティナさんがいた。
「アスティナさんどうしたんですか?」
「ああ、少しいいか」
「あっ、はい、どうぞ」
部屋に招きお茶とホットドッグをだす。 アスティナさんはそれを一気に食べお茶を飲み干した。
「ふぅ、なんだこれ!? うまい!」
「そんなに慌ててどうしたんですか?」
「あ、ああ、実は......」
アスティナさんの懐から一匹の蛇がでた。
「うわっ!」
ぼくは後ろに飛び退いた。
「ビックリした!! なにするんですか!」
「ああ、すまん。 これはボイススネーク。 ホーリーモンスターだ」
「そうなんですか......」
(やっぱネコだ。 蛇は苦手だ)
「これは音声を覚えさせられる。 聞いてくれ」
そういうとアスティナさんは蛇に魔力を加えた。
『聞こえるかアスティナ......』
蛇から男の人の声が聞こえる。
『私は今、捕らえられている...... ここはどこだかわからないが、潮の匂いがする。 お前のことも狙うつもりだ。 すぐに逃げろ......』
「これは!?」
「おやじの声だ......」
「おやじ...... マフトレインさん。 捕らえられているって......」
「ああ、頼む。 おやじを...... 父を探してくれ!」
そう頭を下げた。 ぼくはこむぎと向き合う。
「......わかりました。 でもアスティナさんは王女のところへ」
「私もいく」
「だめです! お父さんが狙われるって言ってたでしょう!」
「頼む。 連れていってくれ!」
そう必死に頼むアスティナさんをみて、心が揺れる。
「でも、この姿と魔力を消す魔鉱石を持って隠れていてください」
ぼくは魔鉱石を渡した。
「わかった......」
「ただ、潮の匂いだけではどこかわかりませんね。 サンセスタの近くでしょうか」
「いや、違う。 この子に海藻がついていた」
そういって蒼い海藻の切れ端をみせた。
「これは」
「これは【青草】、この国の南、アースラント領内のライコス海で取れる珍しい海藻だ」
「アースラント...... あっ! 王女の叔父のアースラント伯爵か」
「ああ、その領内におやじはいる」
「わかりました。 まずは王女に手紙を送っておきます」
ぼくは手紙をかくと、それをおくる。
アスティナさん、こむぎとアースラント領へとむかった。
「ピィ」
ぼくたちは疲れたまま店に戻る。 そしてこむぎと添い寝する。
「さて、ラクサをこちらでも作るとして...... あれを作ろうかな」
「ピ?」
その日は構想をねり、次の日、前から考えていたパンの製作にかかる。
「さて、頼んでおいたものも届いてたし、まずはパンを作ってから、これを......」
「ピィ!!?」
ぼくのもってるものをみて、こむぎが後ずさる。
「ふふっ、この間、勝手に食べたからね」
(町の食料品店でマスタードシードがあったから、つくってみたんだ)
「ワインビネガーはお酒だから、一応、米酢にしてみた。 さてあとは」
完熟トマトを鍋の熱湯にいれ取り出し皮をむいて、きってニンニクや玉ねぎとともに細かくきる。
(ぼく、ケットシーなのに玉ねぎ平気なんだよな。 やっぱりネコじゃないからかな。 紅茶とかも、でも甲殻類はまだためしてない怖いし......)
「ベライドの支店だと、亜人が食べるものを気を遣って玉ねぎとか、お酒とか動物に危険なものは使わなかったけど...... 何が期限か一応聞いたけど人間とかわらないんだよね」
「ピィ?」
「まあ、いいか。 これを鍋にいれて......」
へらで潰しながら、砂糖、胡椒、香草、お酢とコトコトにこみつつ、キャベツを千切りにする。
「よし! できたケチャップ!」
鍋でボイルしていた頼んだソーセージを取り出し、フライパンで少しやく。
そしてつくってたパンにキャベツ、ソーセージ、ケチャップ、マスタードをかけて完成した。
「ホットドッグだ!」
「ピィ......」
こむぎは匂いにつられ近づいてくるが、前にマスタードを勝手に食べてパニックになったから、躊躇している。
「大丈夫、ハチミツをいれたハニーマスタードだから」
そういってこむぎにホットドッグを口もとにもっていく。
「ピィ...... ピィ! パクッ」
こむぎは匂いに勝てずかぶりつく。
「ピ! ピィ~」
美味しかったのかパクパク食べている。
「うん、少し甘いけど、ほんのり辛みもあって美味しい! 香りも香草、マスタードとケチャップ、ソーセージの匂いが食欲をそそるな」
そのとき、扉が激しく叩かれた。
「はい、はい」
扉を開けると、慌てたようすのアスティナさんがいた。
「アスティナさんどうしたんですか?」
「ああ、少しいいか」
「あっ、はい、どうぞ」
部屋に招きお茶とホットドッグをだす。 アスティナさんはそれを一気に食べお茶を飲み干した。
「ふぅ、なんだこれ!? うまい!」
「そんなに慌ててどうしたんですか?」
「あ、ああ、実は......」
アスティナさんの懐から一匹の蛇がでた。
「うわっ!」
ぼくは後ろに飛び退いた。
「ビックリした!! なにするんですか!」
「ああ、すまん。 これはボイススネーク。 ホーリーモンスターだ」
「そうなんですか......」
(やっぱネコだ。 蛇は苦手だ)
「これは音声を覚えさせられる。 聞いてくれ」
そういうとアスティナさんは蛇に魔力を加えた。
『聞こえるかアスティナ......』
蛇から男の人の声が聞こえる。
『私は今、捕らえられている...... ここはどこだかわからないが、潮の匂いがする。 お前のことも狙うつもりだ。 すぐに逃げろ......』
「これは!?」
「おやじの声だ......」
「おやじ...... マフトレインさん。 捕らえられているって......」
「ああ、頼む。 おやじを...... 父を探してくれ!」
そう頭を下げた。 ぼくはこむぎと向き合う。
「......わかりました。 でもアスティナさんは王女のところへ」
「私もいく」
「だめです! お父さんが狙われるって言ってたでしょう!」
「頼む。 連れていってくれ!」
そう必死に頼むアスティナさんをみて、心が揺れる。
「でも、この姿と魔力を消す魔鉱石を持って隠れていてください」
ぼくは魔鉱石を渡した。
「わかった......」
「ただ、潮の匂いだけではどこかわかりませんね。 サンセスタの近くでしょうか」
「いや、違う。 この子に海藻がついていた」
そういって蒼い海藻の切れ端をみせた。
「これは」
「これは【青草】、この国の南、アースラント領内のライコス海で取れる珍しい海藻だ」
「アースラント...... あっ! 王女の叔父のアースラント伯爵か」
「ああ、その領内におやじはいる」
「わかりました。 まずは王女に手紙を送っておきます」
ぼくは手紙をかくと、それをおくる。
アスティナさん、こむぎとアースラント領へとむかった。
22
お気に入りに追加
125
あなたにおすすめの小説
異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~
夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。
しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。
とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。
エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。
スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。
*小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み
巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
平民として生まれた男、努力でスキルと魔法が使える様になる。〜イージーな世界に生まれ変わった。
モンド
ファンタジー
1人の男が異世界に転生した。
日本に住んでいた頃の記憶を持ったまま、男は前世でサラリーマンとして長年働いてきた経験から。
今度生まれ変われるなら、自由に旅をしながら生きてみたいと思い描いていたのだ。
そんな彼が、15歳の成人の儀式の際に過去の記憶を思い出して旅立つことにした。
特に使命や野心のない男は、好きなように生きることにした。
底辺動画主、配信を切り忘れてスライムを育成していたらバズった
椎名 富比路
ファンタジー
ダンジョンが世界じゅうに存在する世界。ダンジョン配信業が世間でさかんに行われている。
底辺冒険者であり配信者のツヨシは、あるとき弱っていたスライムを持ち帰る。
ワラビと名付けられたスライムは、元気に成長した。
だがツヨシは、うっかり配信を切り忘れて眠りについてしまう。
翌朝目覚めると、めっちゃバズっていた。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!
チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!
芽狐
ファンタジー
⭐️チート薬学3巻発売中⭐️
ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。
嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる!
転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。
新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか??
更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる