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第十八話
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「なんだ、あれは」
戦っている男は双剣をふるっている。
「あれが、魔刃のグールか。 楽しんでいるような戦いかただ」
ミーシャのディシーストはかなり押されている。
(でもミーシャはなんだ焦っているような。 どうした)
ぼくは狙撃するため、よくねらった。
「彷徨える魂よ、我が声に答えよ、 被覆鋼弾燕《フルメタルジャケットスワロー》」
グールのその腕へ命中したが、弾かれた。
(なんだ弾いた! リガントのように周りにはなにもないのに!)
ぼくは走って近づく。
「おい、邪魔をするなよ。 今このネコをばらしてやるとこなんだ!」
そうグールは笑みを浮かべる。
「させると思うか!」
『まて! クルス!』
ミーシャのヒラメがグールを遮るが、それをグールは切り裂いた。 星幽石が砕ける。 その包帯を巻いた両腕の刃が動いてこちらを向く。
(ヒラメが! なんだ!? これは剣じゃない!)
腕から刃物のようなものがでていた。 目の前に石のサルが割り込む。
『こっちだ!』
そのすきにミーシャの方へむかった。
「あいつはなんなんだ。 腕に刃物がついている」
『ああ、あれは多分、自分の骨にネクロマンシーをかけているんだ』
「自分の骨にディシーストをつくってる!?」
確かに石のサルと戦っているその腕は、肘までヒレのように動く刃物がついている。
『そうだ。 魔刃グール、あれで私を襲ったんだ』
「なっ!? あいつが!」
『ああ、やつは戦争時、軍のネクロマンサーだった。 連絡をすると見せかけ、私が所属する部隊のものを次々と殺したんだ』
「なんのために......」
『やつは戦いそのものを楽しんでいた。 強いやつと戦いたい、そういって私と戦い、私は切られた』
石のサルがきられ星幽石が砕けた。
「おい、こんなものかネコ。 お前は昔、俺を戦場で追い詰めたガキのディシーストを使うから期待していたんだがな」
「お前たちは国に反乱するつもりなのか」
「あ? ああ、奴らはそんなことをいっていたな。 俺にはそんなことどうでもいい。 ただ俺は命をかけた戦いをしたいのさ」
『なら、やつらと戦えばいいだろ』
「あいつらは興がのらない。 お前らみたいに必死じゃない。 どこか空虚なんだよ。 お前たちみたいに必死に抗う奴らと、命のやり取りをするのが俺は好きなのさ」
そういうと両腕の刃を動かしている。
「俺を楽しませてくれ!!」
そういってこちらに近づいてくる。
「くっ! 熱蜻蛉矛《ヒートドラゴンフライハルバード》」
ガスライターで炎の矛をつくり、グールの刃を防ぐ。
「くくっ! それはリガントのか。 だが!」
クールの脚から刃物が立ち上がり、蹴りをくらって矛を弾かれる。
(脚にも隠していたのか!)
左右と脚の斬撃で攻め立ててくる。
(くっ、いなすので精一杯だ! ネクロマンシーもつかう隙がない)
『彷徨える魂よ、我が声に答えよ。 土山嵐《アースポーキュパイン》』
「ちっ!」
土から生まれた巨大なヤマアラシが背中の針を向けると、グールは距離をとる。
「こいつももってるのか。 まさしくあのガキと同じだな! 面白い!」
そしてヤマアラシの針を切り裂いている。
『どうする...... もう手持ちがあれしかない。 でも使うと動けなくなる』
ミーシャはつかれているようで肩で息をしている。
(これはあと一回が限度か...... ぼくもあと銃の二発と手持ちの星幽石の一個だけ......)
「よし、あれをやるよ」
『......わかった』
「邪魔な獣め!」
ヤマアラシを切り裂いたグールはこちらにちかづく。
ぼくは銃を構えた。
「その火傷だ、かなり体力を奪われているな。 あと一、二回、術を使うのか限界か」
余裕があるのか笑みを浮かべている。
(やはり実戦経験が多いから、こちらの状態を読まれているな)
「彷徨える魂よ、我が声に答えよ。 【被覆鋼弾燕《フルメタルジャケットスワロー》!」
撃った弾がツバメとなって放たれる。
「こんなもの!」
防ごうとするグールの刃を貫通した。
(通る!!)
「くっ! 彷徨える魂よ、我が声に答えよ! 【骨瘡魚】《ホーンロックフィッシュ》!」
グールの体前側からヒレが何本もでて弾をその場にとどめた。
「くっ!」
「くくっ、かなり威力のある弾丸だが、惜しかったな...... これで万策つきたようだ。 ネコともどもバラバラにしてやろう」
体からでた刃物のようなヒレを動かしちかづいてくる。
(やはり、ほかにも体の骨に星幽石を...... だが)
「散弾蟻《シェルショットアント》!」
グールの胸にとめていた弾丸が弾け、ヒレを吹き飛ばす。
「がっ!」
その衝撃でグールが倒れた。
戦っている男は双剣をふるっている。
「あれが、魔刃のグールか。 楽しんでいるような戦いかただ」
ミーシャのディシーストはかなり押されている。
(でもミーシャはなんだ焦っているような。 どうした)
ぼくは狙撃するため、よくねらった。
「彷徨える魂よ、我が声に答えよ、 被覆鋼弾燕《フルメタルジャケットスワロー》」
グールのその腕へ命中したが、弾かれた。
(なんだ弾いた! リガントのように周りにはなにもないのに!)
ぼくは走って近づく。
「おい、邪魔をするなよ。 今このネコをばらしてやるとこなんだ!」
そうグールは笑みを浮かべる。
「させると思うか!」
『まて! クルス!』
ミーシャのヒラメがグールを遮るが、それをグールは切り裂いた。 星幽石が砕ける。 その包帯を巻いた両腕の刃が動いてこちらを向く。
(ヒラメが! なんだ!? これは剣じゃない!)
腕から刃物のようなものがでていた。 目の前に石のサルが割り込む。
『こっちだ!』
そのすきにミーシャの方へむかった。
「あいつはなんなんだ。 腕に刃物がついている」
『ああ、あれは多分、自分の骨にネクロマンシーをかけているんだ』
「自分の骨にディシーストをつくってる!?」
確かに石のサルと戦っているその腕は、肘までヒレのように動く刃物がついている。
『そうだ。 魔刃グール、あれで私を襲ったんだ』
「なっ!? あいつが!」
『ああ、やつは戦争時、軍のネクロマンサーだった。 連絡をすると見せかけ、私が所属する部隊のものを次々と殺したんだ』
「なんのために......」
『やつは戦いそのものを楽しんでいた。 強いやつと戦いたい、そういって私と戦い、私は切られた』
石のサルがきられ星幽石が砕けた。
「おい、こんなものかネコ。 お前は昔、俺を戦場で追い詰めたガキのディシーストを使うから期待していたんだがな」
「お前たちは国に反乱するつもりなのか」
「あ? ああ、奴らはそんなことをいっていたな。 俺にはそんなことどうでもいい。 ただ俺は命をかけた戦いをしたいのさ」
『なら、やつらと戦えばいいだろ』
「あいつらは興がのらない。 お前らみたいに必死じゃない。 どこか空虚なんだよ。 お前たちみたいに必死に抗う奴らと、命のやり取りをするのが俺は好きなのさ」
そういうと両腕の刃を動かしている。
「俺を楽しませてくれ!!」
そういってこちらに近づいてくる。
「くっ! 熱蜻蛉矛《ヒートドラゴンフライハルバード》」
ガスライターで炎の矛をつくり、グールの刃を防ぐ。
「くくっ! それはリガントのか。 だが!」
クールの脚から刃物が立ち上がり、蹴りをくらって矛を弾かれる。
(脚にも隠していたのか!)
左右と脚の斬撃で攻め立ててくる。
(くっ、いなすので精一杯だ! ネクロマンシーもつかう隙がない)
『彷徨える魂よ、我が声に答えよ。 土山嵐《アースポーキュパイン》』
「ちっ!」
土から生まれた巨大なヤマアラシが背中の針を向けると、グールは距離をとる。
「こいつももってるのか。 まさしくあのガキと同じだな! 面白い!」
そしてヤマアラシの針を切り裂いている。
『どうする...... もう手持ちがあれしかない。 でも使うと動けなくなる』
ミーシャはつかれているようで肩で息をしている。
(これはあと一回が限度か...... ぼくもあと銃の二発と手持ちの星幽石の一個だけ......)
「よし、あれをやるよ」
『......わかった』
「邪魔な獣め!」
ヤマアラシを切り裂いたグールはこちらにちかづく。
ぼくは銃を構えた。
「その火傷だ、かなり体力を奪われているな。 あと一、二回、術を使うのか限界か」
余裕があるのか笑みを浮かべている。
(やはり実戦経験が多いから、こちらの状態を読まれているな)
「彷徨える魂よ、我が声に答えよ。 【被覆鋼弾燕《フルメタルジャケットスワロー》!」
撃った弾がツバメとなって放たれる。
「こんなもの!」
防ごうとするグールの刃を貫通した。
(通る!!)
「くっ! 彷徨える魂よ、我が声に答えよ! 【骨瘡魚】《ホーンロックフィッシュ》!」
グールの体前側からヒレが何本もでて弾をその場にとどめた。
「くっ!」
「くくっ、かなり威力のある弾丸だが、惜しかったな...... これで万策つきたようだ。 ネコともどもバラバラにしてやろう」
体からでた刃物のようなヒレを動かしちかづいてくる。
(やはり、ほかにも体の骨に星幽石を...... だが)
「散弾蟻《シェルショットアント》!」
グールの胸にとめていた弾丸が弾け、ヒレを吹き飛ばす。
「がっ!」
その衝撃でグールが倒れた。
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