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第十二話
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「......なぜ教団に協力してたんですか。 あれほど嫌悪していたのに......」
「......元々私は信者、あれは教団にいわれてたの。 政府は嫌われていたから、警察官が教団に否定的なことをすれば、より信者が結束するからって」
落ち着いたレリーさんは素直に答えた。
「お姉さんを止めようとしてたのも嘘だったんですか」
「......スタリオは私の幼なじみで恋人でもあった。 それなのに姉さんと結婚するって......」
「それで」
「彼が死んだことを聞いて、よみがえれば私のものにできる。 姉さんさえいなければ...... そういう気持ちもあったのかもしれない」
「でも人が復活するなんてありえないことは、わかっていたんじゃないんですか」
「......本当は心のどこかでそう思っていた。 でもいつもあの人は私から奪っていくから、今度は奪い取ってやろうと......」
そうレリーさんは力なくこたえた。
「ぐっ、うう!!」
そのとき、急にレリーさんが苦しみだした。
『なにかおかしいぞ!』
「どうしました!?」
その時、神殿の方で爆発音が起こった。
「なんだ!? まずレリーさんを......」
「ぐあああああ!!」
レリーさんの腹部が異常に膨らんでいく。
『まずい! 彷徨える魂よ、我が声に答えよ! 砂鮃《サンドフラウンダー》」
ミーシャのヒラメはぼくたちを砂に押し付けた。
その瞬間爆発音がした。
「なっ! いまのは!?」
砂からでて目を開けると、さっきの場所にレリーさんはなく、ただ血の海になっていた。 そしてこげた肉の匂いがしている。 それは昔よく嗅いだ匂いだった。
「そ、そんな...... レリーさんが」
『クルス! 神殿にいくぞ!』
動揺するぼくたちが神殿に向かうと、煙が上がり、嫌な匂いが充満している。 そこにはそこら中に血だまりがあるだけだった。
「まさか...... みんな」
『ああ、あそこ!!』
煙の隙間からみえた丘に、三人の人影がみえた。
「あれはリジェクト!!」
もう二人は男女のようで、何かを唱えているようだった。 男女の周りに青い光が集まっている。
『まずい! あいつら星幽石を作り出してやがるのか!』
「くっ! 彷徨える魂よ、我が声に答えよ。 散弾蟻《シェルショットアント!」
ぼくのうちだした散弾は男女の前に現れた砂壁に防がれる。
「それなら、被覆鋼弾燕《フルメタルジャケットスワロー》で...... うっ」
ぐらついて膝をつく。
『クルス、もう無理だ...... これ以上使うな死ぬ......』
ミーシャもよたっている。
(くっ...... だが、このままだと)
「プリエステスは役目をはたしたわ。 あの子達もついでにもらっちゃいましょう」
「あれが、お前のいっていた......」
「面白そうね」
リジェクトと男女の声が聞こえ、近くに何かが迫る。 それは地面から現れた大きなムカデだった。
(せめてミーシャだけでも......)
見るとミーシャも倒れていた。 それをだきよせ身体を丸くした。
「氷鷲施条弾《アイスイーグルライフル》」
そう聞こえたとき、目の前に現れた大きな百足が凍りついた。
「あ、あれはたしか......」
そのまま意識が遠退いた。
「はっ! ミーシャ」
みるとある部屋のベッドに寝ていて、ミーシャもぼくのシーツの上で丸まって寝ていた。
「目が覚めたか」
そこには椅子に座る。 ぼくたちよりすこし年上の黒髪の青年がいた。 それは六番隊の隊員シュリエさんだった。
「なぜシュリエさんが......」
「隊長から、危険かもしれないから救援に向かえといわれてな。 ガリッ」
そういって氷を噛み砕いた。
「それで、あのディシーストたちは?」
「逃がした...... というより、逃げていってくれたというところだ。 あの三人相手は俺一人だと厳しかった。 目的を果たしたから無駄な戦闘をさけたんだろう」
「目的...... 星幽石か。 じゃああそこにいた人たちは...... でもどうやって」
「......さっきまで起きていたミーシャから、黒い錠剤を受け取って、四番隊へと送った。 たぶん爆発したのはあれだ」
「あの錠剤が......」
「どうやったかはわからん。 ネクロマンシーだろうが」
そう氷をかみながら、シュリエさんは考えている。
「体内で星幽石でディシーストを甦らせた」
「ああ、そして体内で爆発するものをつくり吹き飛ばした」
『ふぁーー』
そのとき、ミーシャが体を伸ばした。
「うっ!」
反応したシュリエさんをみて、ミーシャは口を意地悪く曲げる。
『シュリエ!』
シュリエさんに向かってミーシャは立ち上がる。
「ひっ!!」
シュリエさんは体を硬直させた。 顔が青くなっている。
「相変わらずネコ苦手なんですね。 あと女性も」
『情けないやつだなあ。 ネコと女の子が苦手なんて。 クールな【白銀のシュリエ】の名前が泣くぞ。 いい加減なれろ』
「や、やめ」
『にゃん』
「うわあああ!!」
ミーシャが抱きつくと、シュリエさんは飛び退いて部屋を飛び出していった。
「ミーシャ、やめなよ」
『ひひひひひ』
ミーシャはほくそえんでいる。
それをみてぼくはため息をついた。
(でも、彼らはやはり、星幽石を集めているのか。 一体なんのために)
「......元々私は信者、あれは教団にいわれてたの。 政府は嫌われていたから、警察官が教団に否定的なことをすれば、より信者が結束するからって」
落ち着いたレリーさんは素直に答えた。
「お姉さんを止めようとしてたのも嘘だったんですか」
「......スタリオは私の幼なじみで恋人でもあった。 それなのに姉さんと結婚するって......」
「それで」
「彼が死んだことを聞いて、よみがえれば私のものにできる。 姉さんさえいなければ...... そういう気持ちもあったのかもしれない」
「でも人が復活するなんてありえないことは、わかっていたんじゃないんですか」
「......本当は心のどこかでそう思っていた。 でもいつもあの人は私から奪っていくから、今度は奪い取ってやろうと......」
そうレリーさんは力なくこたえた。
「ぐっ、うう!!」
そのとき、急にレリーさんが苦しみだした。
『なにかおかしいぞ!』
「どうしました!?」
その時、神殿の方で爆発音が起こった。
「なんだ!? まずレリーさんを......」
「ぐあああああ!!」
レリーさんの腹部が異常に膨らんでいく。
『まずい! 彷徨える魂よ、我が声に答えよ! 砂鮃《サンドフラウンダー》」
ミーシャのヒラメはぼくたちを砂に押し付けた。
その瞬間爆発音がした。
「なっ! いまのは!?」
砂からでて目を開けると、さっきの場所にレリーさんはなく、ただ血の海になっていた。 そしてこげた肉の匂いがしている。 それは昔よく嗅いだ匂いだった。
「そ、そんな...... レリーさんが」
『クルス! 神殿にいくぞ!』
動揺するぼくたちが神殿に向かうと、煙が上がり、嫌な匂いが充満している。 そこにはそこら中に血だまりがあるだけだった。
「まさか...... みんな」
『ああ、あそこ!!』
煙の隙間からみえた丘に、三人の人影がみえた。
「あれはリジェクト!!」
もう二人は男女のようで、何かを唱えているようだった。 男女の周りに青い光が集まっている。
『まずい! あいつら星幽石を作り出してやがるのか!』
「くっ! 彷徨える魂よ、我が声に答えよ。 散弾蟻《シェルショットアント!」
ぼくのうちだした散弾は男女の前に現れた砂壁に防がれる。
「それなら、被覆鋼弾燕《フルメタルジャケットスワロー》で...... うっ」
ぐらついて膝をつく。
『クルス、もう無理だ...... これ以上使うな死ぬ......』
ミーシャもよたっている。
(くっ...... だが、このままだと)
「プリエステスは役目をはたしたわ。 あの子達もついでにもらっちゃいましょう」
「あれが、お前のいっていた......」
「面白そうね」
リジェクトと男女の声が聞こえ、近くに何かが迫る。 それは地面から現れた大きなムカデだった。
(せめてミーシャだけでも......)
見るとミーシャも倒れていた。 それをだきよせ身体を丸くした。
「氷鷲施条弾《アイスイーグルライフル》」
そう聞こえたとき、目の前に現れた大きな百足が凍りついた。
「あ、あれはたしか......」
そのまま意識が遠退いた。
「はっ! ミーシャ」
みるとある部屋のベッドに寝ていて、ミーシャもぼくのシーツの上で丸まって寝ていた。
「目が覚めたか」
そこには椅子に座る。 ぼくたちよりすこし年上の黒髪の青年がいた。 それは六番隊の隊員シュリエさんだった。
「なぜシュリエさんが......」
「隊長から、危険かもしれないから救援に向かえといわれてな。 ガリッ」
そういって氷を噛み砕いた。
「それで、あのディシーストたちは?」
「逃がした...... というより、逃げていってくれたというところだ。 あの三人相手は俺一人だと厳しかった。 目的を果たしたから無駄な戦闘をさけたんだろう」
「目的...... 星幽石か。 じゃああそこにいた人たちは...... でもどうやって」
「......さっきまで起きていたミーシャから、黒い錠剤を受け取って、四番隊へと送った。 たぶん爆発したのはあれだ」
「あの錠剤が......」
「どうやったかはわからん。 ネクロマンシーだろうが」
そう氷をかみながら、シュリエさんは考えている。
「体内で星幽石でディシーストを甦らせた」
「ああ、そして体内で爆発するものをつくり吹き飛ばした」
『ふぁーー』
そのとき、ミーシャが体を伸ばした。
「うっ!」
反応したシュリエさんをみて、ミーシャは口を意地悪く曲げる。
『シュリエ!』
シュリエさんに向かってミーシャは立ち上がる。
「ひっ!!」
シュリエさんは体を硬直させた。 顔が青くなっている。
「相変わらずネコ苦手なんですね。 あと女性も」
『情けないやつだなあ。 ネコと女の子が苦手なんて。 クールな【白銀のシュリエ】の名前が泣くぞ。 いい加減なれろ』
「や、やめ」
『にゃん』
「うわあああ!!」
ミーシャが抱きつくと、シュリエさんは飛び退いて部屋を飛び出していった。
「ミーシャ、やめなよ」
『ひひひひひ』
ミーシャはほくそえんでいる。
それをみてぼくはため息をついた。
(でも、彼らはやはり、星幽石を集めているのか。 一体なんのために)
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