6 / 60
第六話
しおりを挟む
「それで、あそこはなんだったの」
『......薬の工場だ』
ミーシャはすこしいいづらそうに答えた。
「薬、キャリアの工場。 それであそこにいたのは誰、マフィア?」
『何かの組織だ。 多分マフィアとは違う......』
「どうしてそう思うの?」
不思議に思い聞いた。
『あそこにあったものをみた』
「あそこに...... 何かの機械と何かの肉片」
「ああ、あれはディシーストだ。 ベースが人間のな』
「嘘でしょ! あれが人間! そんな簡単に作れるわけない!」
『ああ、普通の人間ならな』
「普通の人間...... まさか」
『ああ、あれは頭だけだった。 いや正確には脳だな』
「脳...... 一部分ってこと!? それじゃ麻薬の正体ってまさか......」
『ああ多分、脳内から成分を抽出している』
「いや、脳内物質なんて直接接種しても分解される。 麻薬になんてならない...... いや」
『そう普通ならな。 あれはネクロマンシーを使って甦らせた異質な脳だろう...... それを特殊な精製方法で脳内物質を薬物にしてるのかもしれないな』
「術を使った麻薬、それを使って依存者を作っている。 お金を稼ぐわけでもない。 なんのために」
『まだわからないが、最初に黒スーツの男が話していたことがある......』
「なんていってたの」
『【ディジーズ】というやつへの伝言だ。 依存性と肉体への感染実験の成果......』
(ディジーズ...... あだ名か)
「感染、なにか病気か。 取りあえず隊長に報告しよう」
ぼくたちは隊長へ連絡することにした。
「連絡してきたよ。 あっ!」
連絡をおえ、公園にかえってくるとミーシャはいつの間にか、ベンチでソーセージを食べている。
「だめだよ! そんなに塩分のあるもの! ネコは腎臓が弱いんだから!」
『こっちは毎日味のうすいものばっかりなんだぞ! この体はどうせ死体なんだからちょっとぐらい平気だ!』
そういうとミーシャはソーセージを腕で隠して食べきった。
「全くもう...... そのソーセージどうしたのさ」
ミーシャのみるほうにフライパンをもつ怒った人がいた。 精肉店の店員らしかった。
ぼくは平謝りして弁償した。
『で、カイルはなんだって』
ミーシャは満足そうに手をペロペロなめるとそう聞いた。
「調べてみると、キャリアって裏社会にかなり広がりつつあるらしい。 もちろんマフィアたちが黙ってるはずもなくて、それを扱う売人を狩っているそうなんだ」
『そりゃ、そんなものただで与えられたら商売できないしな。 それで』
「ただ、そのマフィアたちも失踪や死んでたりしている。 だからマフィアはかなり神経質になっているそうで、野良のネクロマンサーを雇ってしらみつぶしに探ってるそうだ」
『みたいだな......』
ミーシャが毛を逆立てている。 みると公園の地面の土が盛り上がり何かがでてきた。
「あれは蝉......」
蝉が地面からでてくると弾丸のように飛んできた。
ベンチに隠れると蝉はベンチの背もたれを撃ち抜いた。
「くっ! ネクロマンシー、ミーシャはいつものように!」
(どこから攻撃している! 操ってる蝉の数からおそらく近い!)
周囲を見回す。 正面の木に人影がみえた。
(あれか!!)
「彷徨える魂よ、我が声に答えよ...... 跳蛙弾《バウンドトード》!」
はなった弾丸は蛙となり、木の裏をうちぬく。 何かが割れた音がした。
「なんだ...... うっ」
後ろから頭に何かを突きつけられる。 おそらく銃だ。
(いつの間に後ろに......)
「......動くなよ。 動けば頭を吹き飛ばす」
そう低い声がする。
「あなたもね」
「なに......」
振りかえると、こちらに銃をむける白いスーツと帽子の男がいて、その後ろからミーシャの土のサルが、男のその首に手を掛けていた。
「いつの間に......」
「すぐ殺さなかったということは、情報がほしいのでしょう。 互いに情報を教えあいましょう」
「......どうやらあいつらの仲間ではなさそうだ。 わかった。 話をしようか」
そういって男は銃をさげた。
その人はハリザといい、マフィアに雇われたネクロマンサーといった。
「なるほど、キャリアをおって...... その若さで元ネクロマンサー部隊とはな。 恐れ入るぜ」
情報をえるため状況を嘘を交えて話した。
(この人も動きが普通じゃない。 多分元軍人だな。 向こうにいたのに急に後ろに...... あれはどうやったんだろう?)
「それでハリザさんもあれをおって」
「ああ、マフィアにとっては死活問題だ。 ただであんなものをばらまかれる上に、使用者をつかいものにならなくさせられてはな」
「それでマフィアは探ってたんですか」
「ああ、それで手下やネクロマンサーを雇ってアジトや工場を探させた。 だがことごとくやられた。 俺もやっとのことであの工場を見つけた。 そこで君がガで調べてるのを見た」
(みられていたのか、全く気づかなかった。 殺す気があったら死んでたな。 紙はあまり使わないようにしよう)
「それがまさかネクロマンシーを使った薬とはな。 まああの薬の効果からまともなものじゃないとは思っていたが......」
そういってハリザさんはベンチに座るとタバコに火をつけた。
「それで、他にわかったことはないんですか?」
「そうだな。 あの薬の常習者は、何らかの感染症を患っている」
「感染症......」
「ああ、とはいえ感染力は弱い。 せいぜい風邪程度だ。 何かの実験だろうが、詳しいことまではな。 ただ【クリア】という病院に関わっていることまでは調べた」
「そこまで話していいんですか」
「俺の任務は終わったからな。 工場の位置の特定で契約は完了だ。 あとは雇い主に伝えてさよならだ」
そういうとハリザさんは手を振り去っていった。
『......薬の工場だ』
ミーシャはすこしいいづらそうに答えた。
「薬、キャリアの工場。 それであそこにいたのは誰、マフィア?」
『何かの組織だ。 多分マフィアとは違う......』
「どうしてそう思うの?」
不思議に思い聞いた。
『あそこにあったものをみた』
「あそこに...... 何かの機械と何かの肉片」
「ああ、あれはディシーストだ。 ベースが人間のな』
「嘘でしょ! あれが人間! そんな簡単に作れるわけない!」
『ああ、普通の人間ならな』
「普通の人間...... まさか」
『ああ、あれは頭だけだった。 いや正確には脳だな』
「脳...... 一部分ってこと!? それじゃ麻薬の正体ってまさか......」
『ああ多分、脳内から成分を抽出している』
「いや、脳内物質なんて直接接種しても分解される。 麻薬になんてならない...... いや」
『そう普通ならな。 あれはネクロマンシーを使って甦らせた異質な脳だろう...... それを特殊な精製方法で脳内物質を薬物にしてるのかもしれないな』
「術を使った麻薬、それを使って依存者を作っている。 お金を稼ぐわけでもない。 なんのために」
『まだわからないが、最初に黒スーツの男が話していたことがある......』
「なんていってたの」
『【ディジーズ】というやつへの伝言だ。 依存性と肉体への感染実験の成果......』
(ディジーズ...... あだ名か)
「感染、なにか病気か。 取りあえず隊長に報告しよう」
ぼくたちは隊長へ連絡することにした。
「連絡してきたよ。 あっ!」
連絡をおえ、公園にかえってくるとミーシャはいつの間にか、ベンチでソーセージを食べている。
「だめだよ! そんなに塩分のあるもの! ネコは腎臓が弱いんだから!」
『こっちは毎日味のうすいものばっかりなんだぞ! この体はどうせ死体なんだからちょっとぐらい平気だ!』
そういうとミーシャはソーセージを腕で隠して食べきった。
「全くもう...... そのソーセージどうしたのさ」
ミーシャのみるほうにフライパンをもつ怒った人がいた。 精肉店の店員らしかった。
ぼくは平謝りして弁償した。
『で、カイルはなんだって』
ミーシャは満足そうに手をペロペロなめるとそう聞いた。
「調べてみると、キャリアって裏社会にかなり広がりつつあるらしい。 もちろんマフィアたちが黙ってるはずもなくて、それを扱う売人を狩っているそうなんだ」
『そりゃ、そんなものただで与えられたら商売できないしな。 それで』
「ただ、そのマフィアたちも失踪や死んでたりしている。 だからマフィアはかなり神経質になっているそうで、野良のネクロマンサーを雇ってしらみつぶしに探ってるそうだ」
『みたいだな......』
ミーシャが毛を逆立てている。 みると公園の地面の土が盛り上がり何かがでてきた。
「あれは蝉......」
蝉が地面からでてくると弾丸のように飛んできた。
ベンチに隠れると蝉はベンチの背もたれを撃ち抜いた。
「くっ! ネクロマンシー、ミーシャはいつものように!」
(どこから攻撃している! 操ってる蝉の数からおそらく近い!)
周囲を見回す。 正面の木に人影がみえた。
(あれか!!)
「彷徨える魂よ、我が声に答えよ...... 跳蛙弾《バウンドトード》!」
はなった弾丸は蛙となり、木の裏をうちぬく。 何かが割れた音がした。
「なんだ...... うっ」
後ろから頭に何かを突きつけられる。 おそらく銃だ。
(いつの間に後ろに......)
「......動くなよ。 動けば頭を吹き飛ばす」
そう低い声がする。
「あなたもね」
「なに......」
振りかえると、こちらに銃をむける白いスーツと帽子の男がいて、その後ろからミーシャの土のサルが、男のその首に手を掛けていた。
「いつの間に......」
「すぐ殺さなかったということは、情報がほしいのでしょう。 互いに情報を教えあいましょう」
「......どうやらあいつらの仲間ではなさそうだ。 わかった。 話をしようか」
そういって男は銃をさげた。
その人はハリザといい、マフィアに雇われたネクロマンサーといった。
「なるほど、キャリアをおって...... その若さで元ネクロマンサー部隊とはな。 恐れ入るぜ」
情報をえるため状況を嘘を交えて話した。
(この人も動きが普通じゃない。 多分元軍人だな。 向こうにいたのに急に後ろに...... あれはどうやったんだろう?)
「それでハリザさんもあれをおって」
「ああ、マフィアにとっては死活問題だ。 ただであんなものをばらまかれる上に、使用者をつかいものにならなくさせられてはな」
「それでマフィアは探ってたんですか」
「ああ、それで手下やネクロマンサーを雇ってアジトや工場を探させた。 だがことごとくやられた。 俺もやっとのことであの工場を見つけた。 そこで君がガで調べてるのを見た」
(みられていたのか、全く気づかなかった。 殺す気があったら死んでたな。 紙はあまり使わないようにしよう)
「それがまさかネクロマンシーを使った薬とはな。 まああの薬の効果からまともなものじゃないとは思っていたが......」
そういってハリザさんはベンチに座るとタバコに火をつけた。
「それで、他にわかったことはないんですか?」
「そうだな。 あの薬の常習者は、何らかの感染症を患っている」
「感染症......」
「ああ、とはいえ感染力は弱い。 せいぜい風邪程度だ。 何かの実験だろうが、詳しいことまではな。 ただ【クリア】という病院に関わっていることまでは調べた」
「そこまで話していいんですか」
「俺の任務は終わったからな。 工場の位置の特定で契約は完了だ。 あとは雇い主に伝えてさよならだ」
そういうとハリザさんは手を振り去っていった。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる